勝負ごとには全力で取り組むのが棋士の性。それを全力で表したのが佐藤天彦九段(34)、佐々木大地七段(27)、梶浦宏孝七段(26)の3人だ。将棋界の早指し団体戦「第5回ABEMAトーナメント」でチームを結成した3人が予選対局を前に集結。チームの結束力を高めるための動画収録に参加し、テクノスポーツの「HADO」に挑戦した。
【動画】第5回ABEMAトーナメント ドラフト結果&リーグ組み合わせ
HADOは拡張現実技術を使った日本発の次世代ARスポーツ。専用のアームセンサーとゴーグルを装着し、架空の“エナジーボール”をドッジボールの要領で打ち合う新感覚競技だ。インストラクターから「相手がどんな動きをするか、一手先を読んで戦略を組み立てることが重要」と説明を受けると、3人は一気に戦闘モードに。梶浦七段は「将棋につながる部分がある」、佐々木七段は「棋士の威厳がかかってる」と闘志を燃やした。
練習試合の個人戦から、早々に佐藤九段の才能が開花。早さ重視の攻撃的な姿勢で抜群のセンスを見せつけた。対局中の姿からは想像できない軽快な動きにファンもビックリ。「天彦先生のフットワークの軽さよ」「熱い天彦先生すごい」と多数のコメントが寄せられた。
いよいよ本番の団体戦。綿密な作戦会議が開かれ、佐藤九段が攻撃重視、梶浦七段は守備重視、佐々木七段はバランス重視とそれぞれの“戦型”が決定。佐藤九段のアグレッシブルな攻撃姿勢で先制点を奪うと、敵チームも本気モードでリーダーに集中攻撃を仕掛けた。すると佐藤九段が横っ飛びで打撃を避けつつ、逆に攻撃を繰り出す美技も披露。自軍からも敵チームからも歓声が沸いた。1回戦は3-8で完敗、佐々木七段はすぐに再戦を申し込んだ。
苦杯をなめた初戦の経験を活かし、2回戦では要所でのチーム力が光った。梶浦七段の防御シールドの裏から佐々木七段が攻撃を仕掛けるコンビネーション技で1点先取。攻撃に徹する佐藤九段が「シールド頼む!」の一声にはすかさず佐々木七段が反応した。相手陣からの攻撃を恐れず身を挺してリーダーを堅守。熱戦はドローから延長戦にもつれ込み、最後は角の動きのような斜めからの佐藤九段の一撃で勝利を決めた。
わずかに汗がにじむ3人。佐藤九段は「将棋は個人の戦いだけど、今回は棋風を活かしたポジショニングを組んでやれたので文字通りチーム力が高まった」と晴れやかな表情だった。「盤上でもHADO砲を打ち込んでいきましょう」とチーム名も「HADO」に決定。ファンからは「これは神回」「本気モードの天彦先生最高」「貴族じゃなくて騎士だった」「棋士は勝負なら何でも真剣になるんですね」と絶賛のコメントが寄せられていた。
◆第5回ABEMAトーナメント 第1、2回は個人戦、第3回からは3人1組の団体戦として開催。ドラフト会議で14人のリーダー棋士が2人ずつ指名。残り1チームは、指名を漏れた棋士がトーナメントを実施、上位3人がチームとなり全15チームで戦う。対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行われる。チームの対戦は予選リーグ、本戦トーナメント通じて5本先取の9本勝負。予選は3チームずつ5リーグに分かれて実施。上位2チーム、計10チームが本戦トーナメントに進む。優勝賞金は1000万円。
(ABEMA/将棋チャンネルより)