りんたろー。「男性が女性の姓になったと聞くと“マスオさんかな”“家庭での権限が小さいのかな”と思ってしまう空気がある」 選択的夫婦別姓を阻む固定観念、婚姻届“不受理”の想田和弘監督と考える
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 14日に閣議決定された「男女共同参画白書」。若年男性のデート経験に関する調査結果などが盛んに報じられているが、メインテーマは“人生100年時代における結婚と家族~家族の姿の変化と課題にどう向き合うか~”だ。

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 映画監督でジャーナリストの想田和弘氏は「僕としては夫婦別姓の件が少ししか書かれていないなと感じた。“多様性”と言いながら、なぜそれが出てこないのか」と指摘する。「通称の使用に苦しんでいる人も多いし、税金や保険の関係で“ペーパー離婚”をわざわざ選ぶカップルもいる。そんな面倒くさいことを強いることなく、すっきり働けるようにしてくれたらと思う」。

りんたろー。「男性が女性の姓になったと聞くと“マスオさんかな”“家庭での権限が小さいのかな”と思ってしまう空気がある」 選択的夫婦別姓を阻む固定観念、婚姻届“不受理”の想田和弘監督と考える

 1993年から映画プロデューサーの柏木規与子氏とニューヨークで暮らし、97年に結婚した想田氏。27年間にわたる米国生活を終えて去年、帰国。今週、妻で映画プロデューサーの柏木規与子氏と千代田区役所を訪れ、婚姻届は提出した想田氏。しかし届出は不受理だった。

 「姓を統一するというのは、一方がもう一方に混じるというか、同化する感じがある。僕達の結婚観は、それぞれに歴史やアイデンティティや人格、活動があって全く違う人間だけど仲良くやっていきたい、というものだ。ただ、日本で婚姻届を提出する場合、姓をどちらかに統一しなくてはいけない。つまり夫婦同姓を強制されることになる。

 しかし日本以外、夫婦別姓が選択できない国は一つもない。アメリカでも姓を統一することも、別のままでいることもできるので、それぞれの姓で活動を続けてきた僕たちとしては、迷わず別姓でニューヨーク市役所に届を提出した。日本でも別姓が選択できるようになったら提出しようと話していたが、そのうちに20年以上が過ぎてしまった。

りんたろー。「男性が女性の姓になったと聞くと“マスオさんかな”“家庭での権限が小さいのかな”と思ってしまう空気がある」 選択的夫婦別姓を阻む固定観念、婚姻届“不受理”の想田和弘監督と考える

 そんな頃、夫婦別姓訴訟弁護団の方々と会う機会があった。アメリカでの婚姻が日本の法律上も有効であることを確認してもらう、そして戸籍にも記載してもらう、という訴えを起こさないかと提案され、2018年、東京地裁に訴訟を提起した。判決では、婚姻は日本でも成立していることが確認された。ただし戸籍への記載については家庭裁判所に不服申し立てをしてくれ、ということだったので、前段階として今月13日に区役所に婚姻届を提出し、受理されるかどうかを待っていた。結果、不受理になった、というのが経緯だ。

 アメリカの法律上も日本の法律上も、僕たちの結婚は成立している。にもかかわらず戸籍には載せられない。つまり戸籍制度は僕らの婚姻を把握できておらず、戸籍上は2人とも独身のままの状態だということだ。逆に言えば、僕が別の女性と婚姻届を提出すれば、おそらく受理されてしまうだろう。いわば“重婚”ができてしまうのに、日本の戸籍のシステムにはそれを防げない法律上の矛盾、欠陥がある。このことを明らかにした上で、家庭裁判所に申し立てをするというプロセスを踏んだということだ。

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 選択的夫婦別姓の導入に慎重な立場を取る人からは、旧姓の通称使用の拡大によって不都合は解消されるとの意見も根強いが、想田氏は「不都合はある」と反論する。

 「例えばクレジットカードや銀行口座の名義も書き換えをしなければならない。パスポートと実際の氏名が違っているだけで、海外では混乱が生じやすく、身分証明書として機能しなくなってしまう。僕自身は別姓が選べるようになり、戸籍にも個人として登録できるようになればいいと考えているし、家に対する観念も変化していると思う。それでも家として登録する必要がある今の戸籍制度を急に変えることには抵抗のある人も多いと思うので、とりあえずは今の制度の下で選択肢を増やし、多様性を広げるような改革を進めていただきたい。

 例えばニューヨークでは『Marriage Certificate』という結婚証明書が発行されるので、これを見せれば婚姻関係にあることが証明できる。しかし日本の場合、戸籍を見せる以外に証明することができない。今の僕たちの場合、戸籍上は独身なので、東京地裁の判決文をいちいち見せなければならないが、それは大変だ。そうではなく、例えば行政に結婚証明書のようなもの発行していただけるだけでもありがたい」。

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 とはいえ、アメリカにも日本にも保守的な思想も根付いている。「男女共同参画白書」によれば、「結婚したら夫婦で同じ名字・姓を名乗るべきである」について、20~30代の女性では「反対」が「賛成」を上回っており、4人に1人が積極的な結婚の意思がない理由について「姓の変更が嫌・面倒だから」と回答している。想田氏は次のように話す。

 「僕は最近、岡山県の牛窓という港町に住んでいるが、ここには昔ながらのコミュニティが残っている。回覧板が回ってくるし、神社の椅子を新調するのにも皆で話し合って、誰がいくら出すかを決める。みんなが互いを気遣っているし、孤独死することもない。僕はそういう、昔ながらの人間関係が大好きだ。

 一方で、日本にいると、妻が“柏木です”と自己紹介しているにも関わらず、“想田さん”と呼ばれてしまいがちだ。そこに“女の人は姓を変えるものだ”という無言のプレッシャーを感じると思う。法律上は“どちらを選んでもよい”となっているものの、カップルの実に96%が男性の名字を選んでいるのが実態だ。これも“女が男の家に入るべきだ”という価値観が共有されているからだと思う。

 確かに女性が結婚したくない理由の中には、名字を変えなくてはいけないからというものもある。しかし男性の中には、“自分の姓は変わらないものだし、変えないでいい”という意識があると思う。それは特権だと思う」。

りんたろー。「男性が女性の姓になったと聞くと“マスオさんかな”“家庭での権限が小さいのかな”と思ってしまう空気がある」 選択的夫婦別姓を阻む固定観念、婚姻届“不受理”の想田和弘監督と考える

 EXIT兼近大樹は「昔からの固定観念の中で育ってきている人もいるし、“みんながそうならないと嫌だ”とか、“娘が相手の姓にならないのは結婚ではない”という考え方の人もいる。でも、それも結婚だし、幸せなんだと思うし、どんなに“夫婦別姓がいい”と言ったところで、“なんで”としかならない。だからこそ“嫌かもしれないけれど、あなたの権利は何も侵されていませんよ”というのを少しずつ広めていくしかないと思う」とコメント。

 EXITのりんたろー。は「男性が女性の姓になったと聞くと、やっぱり“婿養子かな”“マスオさんかな”などと思ってしまうのではないか。もっと言うと、“家庭では権限がないんだろう”とか“声が小さい男性なんだろう”と思われてしまう空気すらあると思う。やっぱりテクニカルな部分が追い付いていかなければダメだ」と話していた。(『ABEMA Prime』より)
 

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