今夏の電力ひっ迫に備え“大ベテラン”の火力発電所を再稼働へ 揚水発電が“切り札”も「建設にどれだけ費用がかかるか」
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 老朽化で停止していた千葉県・市原市にある姉崎火力発電所が、来月の再稼働を前に公開された。この夏の電力需要のひっ迫に備える。

【映像】老朽化で停止の姉崎火力発電所を公開、揚水発電所の内部

 東京電力と中部電力の合弁会社「JERA」は、老朽化などで停止していた姉崎火力発電所5号機を、7月1日から8月31日まで再稼働する。これによって、最大で一般家庭170万世帯分の電力を供給できる。

 政府は、7月が猛暑となる場合、供給の余力を示す予備率が東京・中部・東北エリアで3.1%と、過去5年間で最も厳しくなると予測している。姉崎と愛知県の知多火力発電所の再稼働によって、供給予備率は4%程度に改善する見通しだ。

 今夏の電力需給の見通し、また“切り札”だという揚水発電について、現地を取材したテレビ朝日経済部の延増惇記者が伝える。

今夏の電力ひっ迫に備え“大ベテラン”の火力発電所を再稼働へ 揚水発電が“切り札”も「建設にどれだけ費用がかかるか」

Q.電力はなぜひっ迫している?
 大きくいうと、脱炭素化の流れがあって、CO2を排出する電源は縮小傾向にある。CO2を排出する火力発電所などから電気を買うことは、当然、CO2を削減していないということにつながる。再生可能エネルギー、クリーンなエネルギーを買うことがステータスになる時代なので、発電所を運営する会社もできれば火力発電所をたたんで、再生可能エネルギーを伸ばしていきたいというのが思惑。将来的に火力発電所で作った電気が売れる保証がないので、引退させようとしている。特に、今年は福島県沖の地震で一部の火力発電所が停止し、それがまだ再開できていないことで、ギリギリの状況になっている。

Q.今年3月に「電力需給ひっ迫警報」が出されていたが、今夏も警報が出る可能性がある?
 これは完全に否定することはできないと思う。経産省の中では、電力の予備率をよく野球で例えている。今のメンバーは9人ギリギリで、どうしても交代要員がほしいという状況の中、“夏の大会”に向けてメンバーを募集した。そこで1人手をあげのが“姉崎さん”、つまり姉崎火力発電所。姉崎さんは引退しているOBで、その年45歳。発電所界では大ベテランだ。

今夏の電力ひっ迫に備え“大ベテラン”の火力発電所を再稼働へ 揚水発電が“切り札”も「建設にどれだけ費用がかかるか」

 姉崎さんの長所は、打率が高く、コンスタントにヒットを打ってくれる。つまり、どんな時も電力を安定供給できる。一方、短所もたくさんあって、ギャラが高い。稼働させるには、いかんせん年を取っているのでマッサージ(=メンテナンス)が必要で、そのための膨大な人件費などもかかる。また、引退した選手なので、ケガのリスクが他よりも高く、トラブルが起きても不思議ではない。

 さらに、姉崎さんの主食はLNG(液化天然ガス)ということで、CO2を排出する。つまり、脱炭素化の流れにどうしても逆行してしまう。電力関係者は「採算がとれない。できれば使いたくない」と漏らしていて、今回の姉崎さんの再雇用は苦肉の策だった。ただ、安定した成績は残してくれるので、これらによって予備率が3.1%から4%に改善される見通しだ。資源エネルギー庁の幹部は「姉崎が入るので、不測の事態がなければ警報や注意報を出すようなことはないだろう」と話している。

Q.それでも電力が足りない場合の“切り札”だという「揚水発電」も取材したということだが。
 揚水発電の仕組みはとてもシンプルで、汲み上げた水をおろして、タービンを回して発電するもの。私は今回、山の中にある栃木・那須塩原市にある塩原発電所を取材した。上ダムと下ダムの間に発電所があり、上ダムに溜めた水を必要な時におろして、水車が回って発電するというわけだ。

今夏の電力ひっ迫に備え“大ベテラン”の火力発電所を再稼働へ 揚水発電が“切り札”も「建設にどれだけ費用がかかるか」

 よくできた仕組みだと思ったのが、汲み上げるための電気はどうするのかということ。これは、日中の太陽光発電が余剰した時に、その余った電気を動力に汲み上げたり、電力需要が減る夜間に汲み上げるようになっている。要するに電池と同じで、余った動力を貯めておくという原理になっている。

Q.今夏や、冬にもカギを握りそう?
 重要な役割を果たしそうだ。先ほどの野球に例えると、“揚水さん”はどのポジションも守れるユーティリティプレイヤーと言える。天候にも左右されず、安定した成績を残す。これから火力がケガをしたり、再エネが稼働しないという時に、揚水さんは貯めておけばいつでも電力供給源となる。不測の事態が起きた時に、ピッチャーもできるし、キャッチャーもできるといった具合に、カバーができる。

 「じゃあ、揚水発電を増やせばいいんじゃないか?」と思って、電力会社の関係者に当ててみたが、「作れるわけないですよ」と即答された。まず山を掘らなければならないし、下と上にダムを作らないといけない。「どれだけ費用がかかると思ってるんですか。バブルの時代だからこそできた発電所なんです」と強調していた。この不景気で、電力会社も赤字が出ている中で、新しく作るにはコストがかかることがデメリットとしてある。(ABEMA/『アベマ倍速ニュース』より)
 

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