疾走感と儚さが調和した映画『バブル』 荒木哲郎監督が作品に込めた思い「心におみやげを持って帰ってほしい」
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 Netflixでの全世界配信と5月からの劇場公開で話題を集めている、アニメ映画『バブル』。作品の指揮をとった荒木哲郎監督に『ABEMAヒルズ』キャスターの柴田阿弥が直撃した。

【映像】海に沈んだ東京を見つめる人魚姫… 荒木監督が描いた1枚の画

 映画『バブル』の舞台は、世界に降り注いだバブルで重力が壊れ水没した東京。廃墟となった地に残って暮らす若者たちは、日々生活物資を賭けてビルからビルへと駆け回るパルクールバトルを繰り広げていた。

 そんな中、バトル中に誤って海へ落下した主人公・ヒビキを、突然現れた不思議な少女・ウタが助ける。2人は徐々に惹かれ合い、心を通わせていく様に――。

 日本のアニメシーンのトップを走るクリエイターたちが集結し作られた今作。『進撃の巨人』シリーズを手がけたことで知られる荒木監督に映画『バブル』の原点を聞いた。

荒木:あえてラブストーリーのものも作ってみようと。それがより広いお客さんに届けるための作品ということなんですけど、「どういうものなら自分は体重を乗せて、感情移入してやれそうか」と考えたときに、童話の『人魚姫』。当時娘とかに読み聞かせをしていたんでしょうね。「それのSF版みたいな感じのものはどうでしょう」という感じで相談したのは覚えてます。

 そして、荒木監督は1枚の画を描いた。海に沈んだ東京、そして、それを見つめる人魚姫の姿。このイラストが基となり、『バブル』は産声をあげた。

疾走感と儚さが調和した映画『バブル』 荒木哲郎監督が作品に込めた思い「心におみやげを持って帰ってほしい」
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柴田:廃墟の東京を選んだ理由はなんですか?

荒木:退廃的な感じがまず“画様として好き”であるというのはあるんですけど、そことその童話の人魚姫が持っている“リリカルさ”みたいなギャップが面白いと思ったんですね。

 人魚姫の物語のひとつには、人魚姫が海の泡となり消えてしまうという結末も存在する。東京を荒れた世界へと一変させた「泡(バブル)」には、ラブストーリーとしての儚さも隠されていた。

 そして、荒木監督の十八番でもあるアクションシーンも見どころの一つだ。

荒木:パルクールの動き自体は自分の前作とか、『進撃の巨人』とか『甲鉄城のカバネリ』でも結構参考にしてたんですね。廃墟の中でパルクールをして、抗争している少年たちが出てくる。不良少年話みたいなのを設定として、別で出していたものがあって「これは人魚姫の中に入れられるんじゃないか」ということでマッシュアップ(組み合わせ)する形で導入したという感じでしたね。

 壮大なスケールで描かれる疾走感と、どこか胸がときめく儚さが調和した本作。最後に柴田アナが質問をした。

柴田:映画で注目してほしいこと、伝えたいことを教えてください。

荒木:辛いことの多い世の中だと思っていて、でもそこに関して今この作品は気持ちよくスカッと心を使って、爽快な気持ちになって帰ってほしいなと思っています。暖かい気持ちで見終えて、心におみやげを持って帰ってほしいなと僕は思っています。

(『ABEMAヒルズ』より)

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