「新卒で入った企業に居続けた方が生涯賃金は高い」「不満を理由に辞めた人の3〜4割は再び不満になる」転職したいと思った時に考えるべきことは?
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 コロナ禍により、さらに高まりを見せる“転職率”。しかし、給料や仕事内容、職場の人間関係に不満というだけで会社を辞めるのは、少し待ったほうが良いかもしれない。

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「新卒で入った企業に居続けた方が生涯賃金は高い」「不満を理由に辞めた人の3〜4割は再び不満になる」転職したいと思った時に考えるべきことは?

 著書に『働くみんなの必修講義 転職学 人生が豊かになる科学的なキャリア行動とは』(共著)もあるパーソル総合研究所の小林祐児・上席主任研究員は、統計データに基づき、「よく転職して給料が上がった、上がらなかったということが話題になるが、転職直後の1年間の給料というのは、実は生涯年収にはあまり関係がなく、全体のデータから見れば、むしろ同じ企業に長く務めていた方が給料は上がりやすい、ということが言える」と指摘する。

「新卒で入った企業に居続けた方が生涯賃金は高い」「不満を理由に辞めた人の3〜4割は再び不満になる」転職したいと思った時に考えるべきことは?

 「日本企業の場合、新卒採用した社員に色々なポジションを経験させながら、ゆっくりと自然に幹部候補を育てていくので、どうしても中途採用者は“レースの途中から来た人”になってしまい、出世しにくい。やはりどの年代で転職しても生涯賃金、あるいは退職金の面ではマイナスになりがちだ。もちろん業界や職種によって環境は異なるし、エンジニアなど、スペシャリストとして上っていきたい、腕一本で稼いでいきたいという人は転職していったほうがいいが、特に老舗企業でマネジメントとして上がっていきたいんだという方に対しては、あまり転職はお勧めしない方がいい」。

「新卒で入った企業に居続けた方が生涯賃金は高い」「不満を理由に辞めた人の3〜4割は再び不満になる」転職したいと思った時に考えるべきことは?

 これに対し、オンラインサロン『田端大学』塾長の田端信太郎は「統計的に、マクロに見ればそうだと思うが、あえて反論すると、一人一人の人生はサンプル数=1だ。ミクロで見れば、必ずしもそうとは言えない。それは離婚した人の方が不幸な人が多いという統計があるからといって、DVに耐えてでも離婚せずにいるべきとは言えないのと同じだ。

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 また、新卒プロパーとして居続けた人の方がその企業内で出世しやすいというのはそうだろし、その傾向はこれから続くだろう。ただ、環境が激変して逃げ切れなくなった時、50歳前後で急に放り出されるのは残酷だ。純粋培養でぬくぬく育ってきた子どもがサバンナに放り出されるようなものだし、それなら30代くらいまでに転職を経験しておいたほうがいいと思う」と問題提起。

「新卒で入った企業に居続けた方が生涯賃金は高い」「不満を理由に辞めた人の3〜4割は再び不満になる」転職したいと思った時に考えるべきことは?

 すると小林氏は「田端さんの仰るとおり、給与だけで転職を語るのは表面的だし、幸福かどうかとはあまり関係がない。その意味では、転職先の会社で何をやりたいか、あるいは仕事を通じて社会にどう貢献するのか、というものが明確で、それが実現できているかどうかの方が幸福度には関係してくる。そこで残念なのが、日本人の転職理由の8割が“不満ベース”ということだ。逆に言えば、この会社ではやりつくした、卒業だ、ありがとう、という状況での転職は1割ぐらいに留まっているということだ。

「新卒で入った企業に居続けた方が生涯賃金は高い」「不満を理由に辞めた人の3〜4割は再び不満になる」転職したいと思った時に考えるべきことは?

 元の企業に留まった方が安定もするからだ。では何が転職に駆りたてるのか。それは“嫌だから”。特に人間関係が多い。同僚とウマが合わない、ハラスメントを受けたから。国際調査を見ても、圧倒的に人間関係が上に来るのが日本だ。また、ちょっと古いデータだが、心理学者によるライフイベントに伴うストレスの研究によれば、会社を変わることは6位と、非常に高く、300万円以下の借金をするよりもストレスに感じる。日本社会では、この傾向は今も変わらないと思う」と話した。

 その一方、若い世代では変化も見られるという。

「新卒で入った企業に居続けた方が生涯賃金は高い」「不満を理由に辞めた人の3〜4割は再び不満になる」転職したいと思った時に考えるべきことは?

 「“会社を辞めるなんて信じられない”という感覚が支配的だったところから、活躍できる若手から先に抜けて行っている状況になってきていると思う。特にマネジメント層になれるまでに20年かかる、それでようやく課長や部長か、それならもうスタートアップに行きますよ、というパターンも多いと思う。マネジメント層に近づくほど、会社組織の構成員だ、という帰属意識も築かれていくものだが、そういう感覚が育つまでの間に、若手は転職していく。

「新卒で入った企業に居続けた方が生涯賃金は高い」「不満を理由に辞めた人の3〜4割は再び不満になる」転職したいと思った時に考えるべきことは?

 ただし、不満を感じれば感じるほど、視野が狭くなってしまうという問題もある。我々が調べたところ、3〜4割の人が転職先でも同じような不満を感じている。統計学的には“サティスファイサー”と言うこともあるが、例えば通勤電車に乗った時にすごく混んでいた時にどう感じるだろうか。そこで“なんでこんなに混んでるんだよ”と思う人は、あまり転職には向かない。なぜかといえば、自分もその一員だという感覚が乏しいからだ。組織の人間関係の問題においては自分にも原因があることも多い。そうなると、やはりどこに行っても不満に感じがちということになる」。

 さらに小林氏は指摘する。

「新卒で入った企業に居続けた方が生涯賃金は高い」「不満を理由に辞めた人の3〜4割は再び不満になる」転職したいと思った時に考えるべきことは?

 「やめた方がいいのは、“自分に合った会社を探す”という考え方だ。ジグソーパズルのように、自分というピースがパチッとはまる企業があると思われがちだが、自分も企業も、1年後には変わっているかもしれない。あるいは、“ああ、ここピッタリ。ずっと行きたかったあの企業に入れたんだ。嬉しい。成功だ”と。ここで終わっちゃう人が多い。しかし転職すれば、どうしても新しい人間関係を築いていかないといけないし、新しい仕事のやり方を覚えていかないといけない。自分自身も変わることを前提に転職しないと、どこに行っても不満が生じて辞めることになってしまう」。

「新卒で入った企業に居続けた方が生涯賃金は高い」「不満を理由に辞めた人の3〜4割は再び不満になる」転職したいと思った時に考えるべきことは?

 田端氏も「日本人は転職を“最後の手段”と捉えがちだが、転職が常に最善の選択肢になるわけではないので、転職しさえすればいいというものでもない。小さい会社に転職してしまえば、合わない時には辞めざるを得ない。その点、日本の大企業は部署間を異動させてくれるのが良いところだ。そこで合うものを見つけたら、そこに打ち込めば良い。そう考えると、転職するかどうかよりも、良い会社に転職できるかどうかだと思う。もっと言えば、面接で相手の企業を褒めまくる人は危険で、自分が入った場合に改善できるのはどこどこだ、ということが言えないといけない」と話していた。

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