弘中アナ「私は言葉にして自分を追い込むようにしている」 働く上での“自己効力感”は日本では育ちにくい? 竹中平蔵氏は教育の課題を指摘
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 転職活動者向けに行われるセミナーやスクール。スキルアップだけでなく、面接対策や自己分析、経歴書の書き方など、転職活動ノウハウを教えるセミナーも存在している。

【映像】怪しいセミナーが乱立? 転職に役立つ“スキル”とは

 一方、ネットには「知ってる情報ばかり…電車賃返して欲しい」「もっとその先の細かいノウハウを教えて欲しかった」「業界のことを知れると期待して行ったらトークゲストの企業紹介でガッカリ」といった声も。

 セミナーやスクールは実際のところ役に立つものなのか。『ABEMA Prime』では、慶應義塾大学名誉教授でパソナグループ会長を務める竹中平蔵氏、米・イェール大学助教授で半熟仮想代表の成田悠輔氏らが議論を交わした。

■就職や転職時にならないと聞かれない“あなたは何者ですか?”

 社会人のいわゆる学び直しについて、竹中氏はその前段での教育に課題があると指摘。「アウトプレースメント(再就職支援)という言葉があるが、大学でも“まず経済学の基礎を勉強しなさい”と言うんじゃなくて、“あなたは何をやりたいんですか?”と。個人をベースにコンサルティングをしながら、“これを勉強したらいいですね”、税法でも“ここだけ勉強すればいいですよ”ということをする。これは大学教育でも必要だと思うし、転職の場合は特に必要だと思う」との見方を示す。

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 SHE代表取締役の福田恵里氏は、女性向けのキャリアスクール事業を提供する経験から、「今はVUCAの時代、正解が100人100通りという時代の中で、私たちが行っているコーチングがまさにアウトプレースメントに近いと思っている。入会していただいたらまず、自分の理想の生き方やあり方、beingみたいなことを特定する。その軸がないと、プログラミングが最近いいらしいとか、最近マーケターの市場価値が高いらしいとか、人に聞いた全ての情報に手を出して、結局は"続かない"ということになりかねない。ありたいかたちを明確にして、そこから逆算して必要なスキルを身につけていくという順番が、最短効率でゴールにたどり着けると思っている」と説明。

 リディラバ代表の安部敏樹氏は「中高から大学までを含む教育機会の中で、他者評価に当てはめるという経験が蓄積されてきていると思う。就職や転職となったタイミングで、“あなたは何者ですか?”“あなたは何が好きなんですか?”“自分のことをどのように理解していますか?”と急に聞かれるが、そんなことは10代20代で考えてこないと答えられない。それを理解するために何百万円もお金を払うのが適切なのか。10代前半の教育で、公的なお金を投入して自己理解を深めるような機会をつくっていれば、転職セミナーなどにお金を払って“そもそも俺は何をしたいんだっけ?”と考えなくて済むんじゃないか。個人に任せているのが大きな問題だという気もする」との考えを示した。

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 成田氏は安部氏の意見を踏まえた上で、「“人から何かを押し付けられるような生き方”を一生やりたい人には、それが実現できるコースをちゃんと用意するということも重要なんじゃないか」と投げかける。

 安部氏は「その通りだと思うが、今はそういう社会じゃなくなってきている。自分がしたいことが明確にあるわけではないが、とにかく生きていかなきゃいけないという時に、生きていけるラインが用意されているかというと、どんどん細くなってきている。職人教育みたいなものも含め、そういうルートは作れるのか、維持していけるのか。それとも、正直な話、もう太いパイプとしては作れないから“自分とは何かを早くから考えてね”というふうにするのか」と疑問を呈した。

■働く上で大切な“自己効力感”、弘中アナ「言葉にするようにしている」

 福田氏は働いていく上で、自らの行動に対する自信を持ち、困難な状況でも課題解決へ向けて積極的に取り組もうという意欲、「エフィカシー(自己効力感)」が大切だと話す。

 「日本の女性はエフィカシーが世界一低いと言われている。転職やキャリアチェンジを考える時に、スキルを身につける前に“自分にはちょっと無理かな““アラサーだし。アラフォーだし”と諦めてしまって、機会損失につながっている。エフィカシーを上げるために3つ大事なことがあって、1つ目は『直接的成功体験』。何か小さいことでも、例えば“デザインが1つできるようになった”という成功体験を積む。2つ目は『代理体験』といって、自分と同じ時期に入会した方や、自分と同じアラフォーのママさんが転職したという事例を間近で見る。3つ目は『第三者からの言語的説得』。“あなたは絶対にできるから大丈夫”と他者から言ってもらうことがすごく大事だ。明確なわかりやすいスキルではないが、今の日本に大事な力だなと思っている」

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 これを受けて、竹中氏は「幼い時からの教育はすごく大事で、今のエフィカシーの話はエンカレッジメントだ。“君はできるんだ”、アメリカの人はよく“You can do it.(君はできるんだ))”と言う。これが日本は逆で、“ほどほどにしておきなさい”とか、ディスカレッジがものすごく多い。子どもの時からの教育がいろいろ積み重なっていると思う」と指摘する。

 一方、安部氏はこれを“勘違い力”だとし、「例えば、何か新しい事業を立ち上げる時、“俺はこれで社会を変えられる”という勘違いからスタートして、やっているうちにだんだん現実になっていくという話がある。日本では占いのマーケットがずっと伸びているが、何か勘違いしたい、占いのようなもので暗示をかけてもらわないと勘違いできない、ということでお金を払っていくと。それがセミナーの時もあれば、福田さんのサービスのような時もあって、根本的には“いかに勘違いさせるか”が大事だと思う」と述べた。

 エフィカシーについて、「仕事をしていく上で、何か気をつけていることや考えるようにしていることはあるか?」と成田氏から話を振られたテレビ朝日弘中綾香アナウンサーは「私は“言霊”ってあると思っていて、言葉にするようにしている。それこそ、入社1年目、2年目の時にも、“エース候補の弘中綾香です”とか“テレビ朝日で一番になります”と。公の席ではなくて、先輩や上司に会う時にアピールというか、自分を追い込むようにしていた。これは確かに“思い込み力”なのかもしれない」と答えていた。(『ABEMA Prime』より)

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