「維持コスト600億、さらに選挙で600億。今の参議院なら必要ない。女性比率を高めたり、職業の代表者を入れたりする方法も」元議員のタリーズ創設者・松田公太氏
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 投開票日があすに迫った参議院議員通常選挙。日本国憲法が施行された1947年以来、26回目の選挙となるが、そもそも参議院は不要なのではないか、二院制ではなく、衆議院のみの一院制でも良いのではないか、といった意見が浮上することもしばしばだ。

【映像】元議員秘書×元議員・松田公太氏が論争「そもそも参議院って必要なの?」

「維持コスト600億、さらに選挙で600億。今の参議院なら必要ない。女性比率を高めたり、職業の代表者を入れたりする方法も」元議員のタリーズ創設者・松田公太氏

 任期が4年、時に解散総選挙によって任期途中でも議員の資格を失うこともある衆議院議員に対し、任期6年(3年ごとに半数の議員が改選)で解散がない参議院議員。そのため、参議院は腰を落ち着けて議論ができるため「良識の府」、あるいは衆議院を通過した法案を改めて審議するため「再考の府」としての役割も期待されている。

 ところが与野党の勢力が衆議院と同じ場合、通過した法案をそのまま通す“カーボンコピー”と揶揄され、逆に与野党の勢力が異なる“ねじれ国会”の場合には審議拒否による議論の停滞が見られることも。こうしたことから噴出するのが、“参議院不要論”だ。

「維持コスト600億、さらに選挙で600億。今の参議院なら必要ない。女性比率を高めたり、職業の代表者を入れたりする方法も」元議員のタリーズ創設者・松田公太氏

 長年にわたって衆議院議員の政策秘書を努めた選挙コンサルタントの鈴鹿久美子氏は「秘書時代、私は参議院の秘書になりたくて仕方なかったが、全然採用されなかった(笑)」と振り返る。

「維持コスト600億、さらに選挙で600億。今の参議院なら必要ない。女性比率を高めたり、職業の代表者を入れたりする方法も」元議員のタリーズ創設者・松田公太氏

 「衆議院と参議院では予算が別々なので、議員会館も同じような建物に見えて中身は微妙に違っていて、食堂や、細かいことを言えばトイレの便器まで違う。院内には赤い絨毯が敷かれているが、衆議院と参議院とでは色が微妙に違う。これらは衆議院と参議院で嗜好が違うからだと言われている。

 そして平均すると2年くらいで解散総選挙がやってくる衆議院に比べ、6年間継続して議席に座っていられる参議院は優雅だ。秘書たちも走っていないし、服装も整っている(笑)。議員の方々も考えをしっかり温めた深い発言、自分の選挙のことだけでなく、国をどうしていこうかという、広い視野を持った発言をされることが多い印象があった。

 また、衆議院から上がってくる法案に対し“今回は議論のための時間が足りなかったけれど、3年後には必ず見直しの議論をするように”といった『附帯決議』を付けることもできる。あるいは法律を作ることもできる調査会も、実態をしっかり調べて議論することができるし、そういう中からDV法なども作られていった。こうしたことは参議院ならではの役割だし、参議院があるからこそ、衆議院の解散権がある総理大臣に“お前の言うことを聞かない”と言える与党議員がいるということだ」。

■二院制を残すのであれば、改革をしなければならない

「維持コスト600億、さらに選挙で600億。今の参議院なら必要ない。女性比率を高めたり、職業の代表者を入れたりする方法も」元議員のタリーズ創設者・松田公太氏

 2010年から参議院議員を1期務めた松田公太氏(EGGS 'N THINGS JAPAN代表取締役)も「投開票日の直前なので投票率を上げていただきたいし、あまり“不要”などとは言いたくない。それでも、今のままではあまり意味がないのではないか」と指摘する。

「維持コスト600億、さらに選挙で600億。今の参議院なら必要ない。女性比率を高めたり、職業の代表者を入れたりする方法も」元議員のタリーズ創設者・松田公太氏

 「鈴鹿さんが絨毯やトイレが違うとおっしゃったのは事実だ。全く同じ議員会館を作れば安く上がるのに、“俺たちは参議院だ、昔は貴族院だ”、ということが言いたくて、少しだけ変化をもたせたのではないかと思う。逆に言えばそれくらいしか違いがないとも言える。例えば衆議院が可決した法案のチェックについても残念ながらできていないし、衆議院の行きすぎをストップすることも全くできていない。

  一方で、今の二院制から一院制に変えるとなると、憲法を改正する必要が出てくるので、それは時間がかかる難しい話だ。即効性のあるものとしては、党議拘束を無くすということが考えられる。大きな政党の場合、執行部を中心に決定した事項を必ず守れということになるので、自分は法案にノーでも、イエスと言わなくてはならない。私が作った国政政党は国会議員5人だけのベンチャー政党だったが、党議拘束をなくした。でも、参議院全員がやらなければ意味がないと思った。

 政権選択選挙が関わる衆議院ならば、議員の一致団結のためにも党議拘束が必要なのかもしれない。また、最終的には衆議院に戻って法案を通されてしまうかもしれないが、少なくとも参議院は良識の府、再考の府として自由で活発な議論を国民に見せなければならないと思う。

 確かに鈴鹿さんがおっしゃったように、6年間、腰を据えてじっくりやれるというのは参議院の良さだと思う。ただ、それも議員本人の意識の持ちようで、2年間だろうが3年間だろうが、やれることはたくさんある。しかし衆議院議員の方々は地元の人たちと握手をしたり、盆踊りに行ったり、そういう仕事ばかりをしてしまっている」。

「維持コスト600億、さらに選挙で600億。今の参議院なら必要ない。女性比率を高めたり、職業の代表者を入れたりする方法も」元議員のタリーズ創設者・松田公太氏

 その上で松田氏は「これからも二院制を残すのであれば、改革をしなければならない」と訴える。

 「世界を見渡せば一院制の国が6割くらいなので、むしろ二院制をとっている国の方が少ない。日本でも戦後、憲法制時にGHQからは一院制にすべきではないかという議論があったという説もある。それを日本側が突っぱねたため、だったら戦前の貴族院のような形ではなく、選挙で議員が選ばれる仕組みにしてくれ、ということで参議院ができたという。問題なのは、これ以後、両院の役割が明確にならなかったことだと思う。

 一方、例えばイギリスでは貴族院、フランスは元老院、アメリカの場合は参議院にあたる上院がある。アメリカ連邦議会の上院というのは、各州から議員を2人ずつ出すことになっている。日本に置き換えれば、あなたは鳥取県の代表者、あなたは宮城県の代表者、という具合だ。これなら役割も明確になると思う。例えば女性の比率を決めるのもいいだろうし、職業の代表者にするという考え方もあるかもしれない。そのようにして様々な知見を集め、ガンガン議論する場所にすればいい」。

■コストでみれば、ものすごい無駄なんじゃないか

「維持コスト600億、さらに選挙で600億。今の参議院なら必要ない。女性比率を高めたり、職業の代表者を入れたりする方法も」元議員のタリーズ創設者・松田公太氏

 松田氏の意見に対し、鈴鹿氏は「色々なことを実験的にやってみようというのは良いが、やはり参議院は必要だと思う。例えば衆参同日選挙になった場合も、参議院議員が半数は残っているので、何かが起きたときでも物事を決めることができる。そういう“守りの壁”でもあるわけだ。それから、国会は民業ではないので、儲かるからやる、経費がかかるからやらない、ということではない。むしろ、損してでもやらなければならないこともある。それまで経営者でやってきたので、1年生議員は“挙手要員”とさえ言われる。その意味では、ビジネスをなさって成功されてきた方ほど、“何をやってんだ”と歯痒いことも多いのだろうし、議員になっても一期で限りで辞められる方も多い」と反論。

 その上で、「削減できることもたくさんあると思うが、経費が少ないと思うこともある。国会議員の歳費についても、皆さん多すぎるとおっしゃるが、これは商店における売上であって、ここから家賃や私設秘書の給料、印刷物などの経費が出ていくので、それらを引いてお渡しするお金が議員のお給料だ。私も歳費を管理させていただいていた時期があるが、私の給料よりも少ないというのが毎月だった」と明かした。

「維持コスト600億、さらに選挙で600億。今の参議院なら必要ない。女性比率を高めたり、職業の代表者を入れたりする方法も」元議員のタリーズ創設者・松田公太氏

 松田氏は「私は経営者だからこその議論もしてきた。例えばクールジャパンの問題点を指摘をしてきたが、最近になって発覚してきてるじゃないか。しかし“儲けなきゃダメですよ”、もしくは“経費を削減しなきゃダメですよ”と言うと、“こいつ何言っちゃってんの、我々はもっと高貴なことをやろうとしてるんだ”みたいな感じで笑われちゃう。

 しかし参議院の維持コストは年間600億円、関連の費用も含めれば1000億ぐらいに達するという説もある。なおかつ3年に一度の選挙で毎回500〜600億円ぐらいの費用がかかっている。繰り返しになるが、そんな参議院で行われているのが、AorBで衆議院がAを選んだら、“我々もAです”、衆議院に“Cだ”と言われたら“はい、Cです”ということだけだ。やはりコストでみれば、ものすごい無駄なんじゃないかと思ってしまう。これも繰り返しになるが、私は一院制にしろと言っているわけではない。しかし一院制になっても仕組みを作ればいいだけだし、二院制のままにするにしても改革が必要だということだ」と話していた。(『ABEMA Prime』より)

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