街頭演説を取りやめ「#乙武大行進」に挑んだ乙武洋匡氏と“すべての子どもに1000万円”を掲げた斎木陽平氏が参院選で得たものとは?
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 10日に投開票が行われた参院選で、改選議席数6に対し34人が立候補した東京都選挙区。『ABEMA Prime』のレギュラー出演者からも乙武洋匡氏と斎木陽平氏の2名が出馬した。11日夜の番組には2人が生出演。率直な気持ちを語った。

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■乙武氏“国のために、絶対に暴力だけは許せないんだ”

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 まず、無所属で立候補したのが作家の乙武洋匡氏(46)。32万票

 「当然、政党から出れば当選確率はグンと上がる。ただし、意見が違う部分を飲み込んだり、自分の中でごまかしたりしなければならない。青臭い話だが、今回はそれができなかった。やっぱり1から10まで、やりたいようにやらせて欲しいという思いから無所属で出ようと思った」と説明。出馬にあたっての課題は「お金!」と半ば冗談まじりに即答する。

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 「東京都選挙区で勝とうとすれば、5000万円はかかると言われていた。そこまでは覚悟して、寄付と、足りない部分は自腹で、というつもりでいたが、個人献金が3700万円くらい集まった。正直なところ、選挙戦が始まる前までは数字の上で良い勝負ができていた。しかし政党のブーストがかかっていくに連れて、どんどん突き放されていった。選挙カーだって、無所属は立候補者に1台しか付けてはいけないが、政党なら党と立候補者に1台ずつ、つまり倍の活動ができる。その差は痛感した」。

 一方、SNSの力は大きかったようだ。

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 「選挙が始まる直前まではやっていなかったが、選対チームがTikTokアカウントを作ってくれた。ものすごい再生数になったので、10代、20代にも見てもらえたんだと思う。ただ、この世代は投票率が低いので、投票所に足を運ぶというところまで促せたのか、それはあまり確信を持てないところもあった」。

 また、選挙戦最終盤の8日夜、安倍元総理の銃撃事件を受けて「民主主義の対極にあるのが、暴力。その暴力を、生まれたときから封じられている私だからこそ、何か表現できることはないだろうか」とツイート。翌9日の予定を急遽変更し、選挙事務所のある渋谷から国会議事堂までの約5kmを歩く“抗議活動”を行った。この「#乙武大行進」は反響を呼び、Twitterトレンドにも入った。

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 「活動は一旦取りやめにして“明日はどうしようか”と悩む中、他の営が次々と“屈しない”と再開を決めていった。支持者を増やし、他の候補者を追い上げなければならないうちの陣営も、“やはりやろう”と。ただ、僕が“これは歴史に残る事件なので、何かメッセージを発信することが大切なのではないか、票を集めることを優先するのは違うのではないか”と主張して、皆がせっかく組んでくれた、20カ所以上の街頭演説のロジをひっくり返してしまった。予定通り20カ所で演説をした方が票は取れたのか、それを諦めたことで、結果的に“乙武はこういうことをやっているんだ。伝わるものあるじゃん”と思って投票してくれた人が増えたのか。それは本当に分からない」。

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 選挙を終えて、「清々しい気持ちで、本当にやり切ったなと。もちろん当選を目指してやっていたので結果に対する悔しい気持ちはあるが、“悔しい”と“悔い”はこんなにも違うものかと感じている」と話す乙武氏。

 今後については「正直、まだ考える入り口にも立てていないというのが正直なところだ。12時間かけて5.3km歩いたので体はボロボロだし、投開票が終わってからは1日スマホをいじって、お世話になった方々に“ありがとうございました”というメッセージを送って。これから数日〜数週間ぐらいかけて体を休めて、お礼の連絡も終えて、ちょっと余裕ができたところで、今回頂いた30万票の思い、30万人分の思いをどうやって社会に届けていったらいいのか、考えられるようになると思う」。

■“すべての子どもに1000万円”斎木陽平氏

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 そんな乙武氏を路上で励ましたのが、通信制高校「ルークス」代表でオープンリーゲイの斎木陽平氏だ。自ら「こどもの党」を立ち上げ、東京都選挙区の立候補者中、最年少の30歳での初出馬だった。結果は14位、落選だった。

 「落選という形にはなったが、やれることはやりつくしたという気持ちだし、本当に晴れやかな気持ちだ。自分で立ち上げた『こどもの党』は“諸派”の中では最も多い5万661票を得ることができた。この重さを感じながら、次に向けて頑張っていこうという前向きな気持ちでいる」と話す。

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 安倍元総理の縁戚にあたる斎木氏。幼い頃から抱いてきた政治への憧れの原点の一つでもある安倍元総理の訃報に、選挙戦最終日の“マイク納め“では、「安倍さんが残した良い部分、悪い部分、たくさんある。それをちゃんと私たちの宿題として預かって、私たちの世代でやるべきこといろいろあると思う」とも訴えた。なぜ大政党からの出馬という道を選ばかなっただろうか。

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 「もちろん、比例代表や他の選挙区からの出馬といったことも含めれば、可能性はあったかもしれない。しかし大政党から声をかけられるほどの立場、東京都選挙区で勝てるような候補ではないというのが自己評価だ。また、はっきり言って自民党以外はゲイというセクシャリティにフレンドリーな政党だ。しかし個々の政策を見てみると、やはり自分の考えとは相容れない部分があった。ここは自分で政党を立ち上げるチャレンジをすることが、東京を変えていきたいという自分の思いを最も伝えられる方法だと考えた」

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 約100万円がかかった選挙カー。ビラ30万枚の印刷費は200〜300万円。ポスターにも350万円の経費と、総額2500万円ほどの選挙費用がかかった。乙武氏は「非常にコスパがいい。それで5万票が取れたのは驚異的だ」と話すが、選挙戦では苦労もつきまとった。

 「それこそ大政党の皆さんはビラがなくなってもスタッフの方がすぐに補給してくれる。でも、自分はほとんどが“ワンオペ”。途中、柵に足を引っ掛けてしまって転倒し、顎を7針縫う怪我もしてしまった。すごく大変な選挙戦だった。資金についても、貯金は使い果たしたし、個人献金で頂いた約1000万円や、親族などから借りたお金を使った」と、新人ならではの苦労も明かした。

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 それでもTikTokなども駆使した選挙活動では、少なからず手応えも感じたようだ。

 「渋谷や原宿では10代、20代の方々に“TikTokで見た!1000万のヤツじゃん”と声を掛けてもらえた。また、1枚で自分が何をやろうとしているかということが分かるよう、選挙ポスターにもこだわったつもりだ。“すべての子どもに1000万円”と書いて、それがもたらす利益、財源についても書いた。文字が多かったかもしれないが、子育て中の方々は、候補者について調べる余裕がないほど忙しいと聞いた。

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 結果、政見放送、選挙公報も含め、50〜70代の方からも“見たよ”と声を掛けていただいた。年配の方々にも刺さるんだと感じた。今回、“すべての子どもに1000万円”、あるいは“しっかりとLGBTの当事者の人たちに寄り添う政治”といった僕の政治理念に対して5万661票という重たい票をいただいたので、政治家として政策として実現できる方法をこれからも考えていきたい」と力を込めた。(『ABEMA Prime』より)

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