車内熱中症事故防げ レーダーで検知し自動通報も
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 子どもを車内に放置したまま熱中症で死亡させてしまう事故が後を絶たない。そんな痛ましい事故を未然に防ぐため、安全装置の導入が求められている。

【映像】「ピーピー」レーダーが車内放置された幼児を検知

 車内放置による熱中症事故の原因として、「保護者の意識が単に低いだけ」と多くの人は考えがちだが、実は誰にでも起こりうる危険性をはらんでいる。アメリカ国内の調査データによると、事故発生要因の半数以上が、子どもの存在を“うっかり”忘れてしまい、無意識のうちに置き去りにしてしまったこととしている。

 そこで、このような痛ましい事故を未然に防ぐための仕組みとして、大きな期待を集めているのが、幼児置き去り検知システム「CPD(Child Presence Detection System)」。これはセンサー技術を活用し、車内の様子を感知。幼児を残して車を離れたりした場合、運転者に通知・警告するシステムとなっている。

車内熱中症事故防げ レーダーで検知し自動通報も
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 アメリカでは2021年11月にCPDの設置を求める法案「Hot Cars Act」が成立し、2023年11月には義務化される見込み。さらにヨーロッパでも装備の義務化が叫ばれている。

 そんな中、注目を集めているのがレーダー技術を利用した高精度のCPD。ルクセンブルクの自動車向けセンサーメーカーIEE社は約10年前から開発に着手していて、世界で初めてレーダーによるCPDを量産した企業となる。

 IEEセンシングジャパン株式会社・カントリーマネジャーの高橋正輝氏は「振動のある中でどうやって子どもや赤ちゃんを検知しようかと比較したときに、最終的にはレーダーですね。ミリ波レーダーを使って検知するのが1番いいという結論に達しました」と話す。

 カメラ式や超音波式のセンサーと比べて、レーダー式は非常に細かい動きでも検知が可能。さらに遮断物や雑音の影響を受けないことも大きな特長となっている。

「一番難しいのは新生児の赤ちゃんが寝ている状態。一番動きが小さいので、それをいかに検知するのかが一番大事なところだと思います。レーダーであれば、透過するので毛布をかぶっている赤ちゃんでもちゃんと検知できます。検知の精度・正確性も他の技術よりも優れているということで、強みが発揮でき、子どもの置き去り検知という意味では一番適した技術だろうと考えています」

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 車の天井裏に設置されたセンサーがレーダーを照射し、幼児のわずかな動きも検知。運転者がうっかり車を離れると、車のクラクションが鳴り響く仕組みに。

「まずは車の周りに通行人やお店の人。人がいれば何かしら『異常がありますよ』ということを伝えることが大事だと思います。次のステップとして、携帯電話にメッセージを飛ばしたり音を鳴らしたり、所有者もしくは保護者に対して通知をして、それでもなお対応されない場合は、強制的にといいますか(救護)センターに対して車から『異常がありますよ』と信号を送るという、順番に警告の度合いを上げていく使われ方がされています」

 日本市場への導入を手掛けるのは、三洋貿易株式会社・上級執行役員の平澤光康氏。きっかけは2021年7月、福岡県で保育園児が送迎バスに取り残され、熱中症で死亡した事件だという。

「数年前から渉外活動をしていましたが、去年の7月の事故を受けてさらに思いを強くして、世の中に訴えかけようとしている状況。子どもを車に置き去りにすることがどれだけ危険であるか認知してもらいたいのと、仕組みで防ぐ方法があるのを認知してもらいたい」

(『ABEMAヒルズ』より)

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