将棋のお〜いお茶杯王位戦七番勝負の第2局が7月14日に行われ、藤井聡太王位(竜王、叡王、王将、棋聖、19)が豊島将之九段(32)に99手で勝利した。この結果でシリーズは1勝1敗に。3連覇を目指す藤井王位が、まずはスコアをタイに戻した。第3局は7月20、21日に兵庫県神戸市の「中の坊瑞苑」で指される。
藤井王位が圧巻の指し回しで挑戦者を圧倒した。シリーズ開幕局は、豊島九段が深い研究を実らせ完勝。黒星発進を喫した藤井王位が連敗を許すはずもなく、先手番の第2局では「角換わり」から、過去に自身が指した将棋を練り上げた秘策をぶつけた。
序盤から早いペースで指し進められ、対局開始からわずか1時間を過ぎた頃には勝負所に突入。藤井王位が端歩を進行する一手は、ABEMAの1日目の中継に出演した村中秀史七段(41)が「ベースとなっているのは藤井-千田戦(2021年9月の日本シリーズJTプロ公式戦)で、藤井王位はそれに改良を加えて違った手順で踏み込んできている」と解説した。さらに香車を走らせる一手に、豊島九段は昼食休憩を含めて約4時間の大長考。藤井王位がペースを握った。
藤井王位が優位で迎えた2日目は、再開時点ですでに終盤戦。藤井王位が1時間56分を費やして封じた手は、更なる攻勢を示す桂打ち王手の一手だった。持ち駒豊富な豊島九段に反撃の隙を与えず激しい追い込みを見せ、藤井王位が一気に押し切るかと思われたが、最終盤で豊島九段が根性の粘りを披露。しかし形勢を押し戻すまでには至らず、じっくり時間を使った藤井王位が寄せ切って勝利を飾った。
終局後、藤井王位は「角換わりは予定。この形はやってみようかなと思っていたが、進んでみると上手く行っているかわからないと思っていた。踏み込んでいったが、終盤はかなり考えないといけない変化が多く長考した場面も多かったが、判断しきれない局面も多かった」とコメントした。
この結果でシリーズは1勝1敗に。第3局は7月20、21日に兵庫県神戸市の「中の坊瑞苑」で行われるが、藤井王位は第3局の前に、平行して行われているタイトル防衛戦の棋聖戦五番勝負第4局(17日、愛知県名古屋市)も予定されている。「対局続きますが、しっかり良いコンディションで臨めるようにしたい」と静かに話した。
一方、敗れた豊島九段は、「基本的にはまずい時間が長い感じでしたが、最後にチャンスがあったかどうか。調べてみないとわからないですが、基本的には苦しかった。すぐ次があるので、コンディションを整えてまたがんばりたい」と話した。
(ABEMA/将棋チャンネルより)