フットサル選手と経営者の兼任は「僕にしかチャレンジできないこと」皆本晃さんが“二刀流”で戦う先に見据えるもの
【映像】練習中の皆本晃さん
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 日本フットサルのトップリーグ「Fリーグ」のDivision1に所属する立川アスレティックFC。ニュース番組『ABEMAヒルズ』は、全日本選手権で優勝したこともあるこの強豪クラブで、代表理事と選手の二足のわらじで挑戦を続ける皆本晃さんに話を聞いた。

【映像】練習中の皆本晃さん

 皆本さんは、クラブを運営する一般社団法人の代表理事。経営の全責任を持つ、いわゆる“社長”の役職も務めている。選手としては35歳のベテランながらも、チームの主力選手であり精神的な柱となっている。日本代表の中心選手として長く活躍し、FIFAフットサルワールドカップにも出場した。

 そんな皆本さんに転機が訪れたのは今年1月。もともと2つあったクラブのホームタウンが立川市だけとなり、新しい法人が発足した。代表理事として白羽の矢が立ったのが、クラブ初期から在籍していて“チームの象徴”でもあった皆本さんだった。

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――普通の選手は諦めて経営の道に進むことが多いと思うのですが、選手を続けた理由を教えてください。

「正直に言うと、相当悩んだ。ただ、自分のクラブの経営者と選手(を兼任する)という人が今、日本で1人もいないと考えたときに、これが一番の武器になる。経営視点で考えたときに『これが1番の差別化につながるんじゃないか』と思った。これは『大変だ』と言ってる場合ではなくて、僕にしかチャレンジできないことだと思い、決断した」

 もともと将来的に経営に興味があったものの、突如クラブに起きた重大な局面。もはや「やるか」「やらないか」の選択ではなかったそうだ。しかし、クラブの経営には想像以上に大きな困難が待ち受けていた。

皆本  「拡声器ってうちにあるの?」
メンバー「ないです」
皆本  「いくらくらい?」
メンバー「借りられますが…」
皆本  「借りれるけど、こっち(お金)じゃん」

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 求められる仕事は、グッズの売上管理にスポンサーへの営業活動、大勢の観客が訪れるホームゲームのスムーズな運営、さらにはイベントの企画まで多岐に渡る。


――細かいことまでやらないといけないんですね。

「ははは。伝わりました?笑」


――そのあたりは実際にやってみてどうですか?

「想像していないこともたくさんあるけど、改善点も変えられることもたくさんある。今まではどうしても手が出せなかった部分があったけれど、『あーしろ』『こうしろ』と結構言える。うちのメンバーも全力で応えてくれようとするので、少しずつ良くなっていく感じはある。そういう意味では“楽しいな”って」

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 こう語る皆本さんだが、アスリートとしてのトレーニングもある中、どのようにして多くのタスクを同時並行でこなしているのか。


――マルチタスクをうまくこなすコツはありますか?

「いま、目の前のことにしっかりと集中する。違う問題に移ったときにはパチッと切り替えて、また違うことに集中する。このオンとオフの切り替えがすごく大事なんじゃないかと思う。仕事によってモードを切り替える」

「選手と経営者の2つをこなしているが、選手のときはピッチ入ったときに経営のことなんて1ミリも考えていない。それと一緒で、事務所に戻って経営の仕事を始める準備の時間に入ったらそれだけを考えているので、ピッチで何をやっていたか覚えていない」

 そんな皆本さんの姿は、共にピッチで戦う若い選手にも影響を及ぼしている。

「あまりキツいと言わない人なので、『大丈夫かな』と心配になるときもある。選手もみんな(皆本)晃くんがそういうこと(社長業)をやっているのを見てきているから、『何か手伝えることがあれば手伝おう』という気になっている選手が多いと思う。本当にすごい」(立川アスレティックFC・上村充哉選手)

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 フットサル選手とクラブの経営者。“二刀流の挑戦”の先に見据えるものとは、一体何なのだろうか。

スポーツは『街づくり』だと思う。地域創生につながっていると思うので、そこをやっていきたい。もしかしたら、僕は10年後に政治家(になっている)かもしれない笑」


――それも楽しみですけどね。

「フットサルを通して、街にプロスポーツクラブがあることのメリットや魅力(を発信して)、そういう街をたくさん作っていきたい。まずはフットサルで成功させて、それを違う街でも(成功させて)いきたい。Fリーグのトップとしてやる方が色々な街にクラブが作れて成功事例ができるのであれば、Fリーグのトップをやりたい。そうではなくて、そもそも僕が違う街に行って始めた方がいいのであれば、違う街に行きたい。政治家になったり、その街の市長になったり、もっともっと大きなところへ行った方がそういう世界をたくさん作れるんだったらそっちにトライしたいと思っている。死ぬまでに何個かそういう街を色々な地域に作りたい。何個できるだろうか?笑」

 このニュースを受けて、元競泳選手でスポーツジャーナリストの松田丈志氏は「クラブ運営でよく問題になるのは経営者側と現場の考え方に差が出ることだが、それが生まれようがない。選手をやってチームをまとめながらクラブ運営もしているので、そこが一本化できて、よりまとまった強いチームになる感じがした」と皆本さんを称賛した。(『ABEMAヒルズ』より)

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