日本でも感染確認の「サル痘」、男性同性愛者への差別や偏見を生じさせない注意喚起を
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 28日、東京都内で2例目となる「サル痘」の患者が確認された。感染したことが分かったのは北中米に居住していた30代の男性で、帰国後、口内の粘膜に炎症があったため医療機関を受診。容体は安定しているという。

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 今年5月頃から世界的な感染拡大が報告されているサル痘。欧米を中心に78の国と地域で1万8000人以上の感染が確認され、5人の死亡が報告されている。症状は顔や体の発疹、発熱、頭痛、倦怠感などで、多くの場合は2〜4週間で自然治癒するが、まれに重症化するという。

日本でも感染確認の「サル痘」、男性同性愛者への差別や偏見を生じさせない注意喚起を

 また、今回は報告されている感染者の大半が男性であり、特に男性との性的関係を持つことでの感染が指摘されている。WHO(世界保健機関)のテドロス事務局長は「男性と性交渉する男性は、当面パートナーとの接触は控えるように。新しいパートナーとの性交渉も再考するように」と呼びかける一方、差別や偏見につながらないよう注意喚起している。

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 イギリス在住でゲイのタロウさんは「イギリスでも男性の同性愛者間の性行為を介して広がっていると考えられているようだ。実際、私の周りでも数名の感染者が出ていて、自宅療養中だ。想像していたよりも症状は酷い印象で、高熱と、局部周辺に発疹が出たようだ。発疹は口内や喉などにも出て激しい痛みが続いているという。命に関わるものではないというし、みんな回復に向かってはいるが、やはり怖いと感じるし、あまり大っぴらには話題にしない状況だ」と話す。

■“謎の病気”として見られてきた「サル痘」

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 そもそも「サル痘」とはどのような病気なのか。獣医師・ジャーナリストで「ステラ・メディックス」代表の星良孝氏は次のように説明する。

 「1958年にカニクイザルというサルから発見されたことが由来だ。ヒトへの感染は1970年、中央アフリカのコンゴ民主共和国で確認され、調査の結果、自然界ではリスが持っているということが確認された。そして1970〜2000年代に至るまでアフリカでは1万例くらいの感染が続いていたが、ヒトからヒトへ感染はしないといわれていた。2020年以降、相次いで報告されるようになった。ただ、これもどのように感染するのかははっきりとは分かっていない。

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 感染者が過ごしていた病室を調べた結果では、トイレや洗面所、寝具などでウイルスが確認されているので、物を介した感染の可能性があるし、一緒に寝るとか、衣服を共有するといったことによるウイルスとの長時間の接触の危険性は指摘されている。また、体液にウイルスが確認されたという報告はあるものの、スマホや、使用後に洗うコップなどについては比較的リスクは低いと考えていいのではないか。また、飛行機内での感染は無かったという報告もある。

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 また、2000年代のコンゴ民主共和国での報告では15歳以下の子どもが多く、げっ歯類が感染源だと考えられている。これは経済状況の悪化から、若い世代にげっ歯類を食べる習慣が広がっていたこと、1980年代以降、天然痘ワクチンである種痘の接種が行われなかったことが要因だと考えられている。つまり、うつすことはかなり難しい病気だということだ。さrない2000年代のナイジェリアでの報告では3〜4割が女性だったということで、性別には関係のない病気だということが明らかになっていたが、今回の流行ではなぜ男性ばかりなのか、これも専門家の間で議論が進められている」。

■「スポット的に注意喚起をしていくことも必要」

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 感染の要因として男性間での性交渉が注目されていることについて、HIV/エイズなどの性感染症の情報発信を行っているNPO法人「akta」は「男性とセックスする男性に限定されるような病気では全くない。エイズの歴史を思い出してもらえると分かると思うが、やはり差別とか偏見に結び付きかねない」と危惧している。

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 前出のタロウさんは「難しい問題だとは思うが、同性愛者への偏見を助長しないよう、メディアも配慮していると感じる。普通に生活を送っていれば感染することはないし、コロナのようにロックダウンが起こることはないので、心配し過ぎることはない、という論調だ。また、男性の同性愛者をターゲットに注意喚起しているということもない。

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 ただ、個人的にはやはり男性の同性愛者の中で流行っていると感じているし、コミュニティの中で止めることができればいいと考えている。やはりアプリを通じて不特定多数の人との出会いが可能になっている状況も背景にあると思うと思うので、メディアが“同性愛者の病気である”と言うことを検討するとか、行政や医療機関でアプリを通してスポット的に注意喚起をしていくことも必要だと思う」と話した。

日本でも感染確認の「サル痘」、男性同性愛者への差別や偏見を生じさせない注意喚起を

 星氏も「LGBTの研究者の針間克己氏と話した際、“腫物を触るように同性愛の人に寄り添う必要はなく、あくまで中立であるべきだ”“科学的根拠のある情報を提供することに意義がある”とおっしゃっていたのが印象的だった。これを踏まえると、“言ってはいけない”ということではなく、中立的にリスクを伝え、予防効果を期待するというのが正しいと思う」とコメント。

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 「その意味では、アプリに注意喚起のメッセージを出すといったことも有効だが、一方で同性愛そのものが違法とされている国もある。WHOも“新しい相手を不特定多数で見つけないでほしい”と踏み込んだ言い方をしているが、やはり偏見をくぐり抜けながら対策をしていくことの難しさを指摘し、どのように情報を伝えていくのか、そのための手法を開発しないといけないとしている。今回の流行には、そういう面があると思う。

 また、米国は160万回分のワクチンを今年中に配備し、さらに250万回分と言っている。欧州でも150万回分を配備するということだ。これを着実に同性愛の方の周辺、接触の可能性のあるところで打っていくことが大切だと思う」。(『ABEMA Prime』より)
 

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