あなたは「育児パッケージ」というものを知っているだろうか。フィンランドで子どもを迎える家族に無料で送られる、育児用品が詰まった箱だが、そのデザインに初めて日本人デザイナーの作品が選ばれた。
「もう、すごく嬉しかったです。この育児パッケージというものがフィンランド人の人生の最初のところにどれくらい深くリンクしているかは知っていたし、フィンランド人のライフイベントの1つに関わらせてもらえることになったというのは、ものすごく嬉しかったです」(日本人デザイナーのAyaさん)
北欧フィンランドで、子どもを迎える家族に国から無料で支給されるのが、「育児パッケージ」。ベビー服やベビーケア用品など、育児に必要なアイテムが43点も入っている。箱のデザインにも力を入れていて、2年置きにデザインを一新。2022年版を手掛けたのは、日本人デザイナーのAyaさんだ。
「(フィンランドの)30代の友人がいるのですが、彼女たちは実家に帰ると未だに赤ちゃんのときに使っていた育児パッケージを取ってあって、屋根裏部屋にあって、中には子どものときの思い出のものとか、小学校の卒業証書とかいろいろなものがしまわれて、この年のこの画だったみたいなものが、子どもたちの意識というか、記憶のどこかに刷り込まれるというか」
コンセプトは「フィンランドの動物の家族と四季」。箱の4つの面を使うことで四季の移ろいを表現し、その中で生きる動物たちを描いている。フィンランドのデザインや暮らしに魅了されたことがきっかけで、現地の美術大学に留学したAyaさん。
デザイナーの登竜門とされる賞を受賞するなど注目を集め、現地の社会保険庁が主催する選抜会に参加。Ayaさんの作品が見事、育児パッケージのデザインに採用された。
赤ちゃんの最初のベッドとしても使えるという、この育児パッケージ。フィンランドで法制化されて今年で85年になるが、外国人によるデザインが採用されたのは初めてだという。
「『素敵なパッケージだね』とか、『大切にずっと一生使いたい』とか、本当にポジティブなフィードパックをたくさん頂いています。パッケージの位置づけというのが、フィンランドという国で生を受けた子どもたちすべてに分け隔てなく、親の所得とかも制限なく、皆が受け取れる国からの最初のギフトというものなんですね。『日本でもこういう制度があったらいいな』という声もたくさん聞きます」
(『ABEMA Morning』より)