夏の定番料理として「ザリガニ」が人気を集めている中国。「ザリガニの町」と呼ばれている湖北省・潜江市では、ザリガニ料理に舌鼓を打つ客で大賑わいを見せていた。
【映像】手早く分別&下処理! なんだかすごい中国・湖北省のザリガニ市場(現地の様子)
この「ザリガニの町」を取材したANN北京支局のANN中国総局の記者・千々岩(ちぢいわ)森生総局長は「ここ10年ぐらいで、一気にザリガニ料理がブームになった」と話す。
「北京でもザリガニ料理店はたくさんありますから、私も何度か食べたことがあります。中国では、若者がザリガニを剥きながらビールを飲むスタイルが定着していて、ここ10年ぐらいで一気にブームになっています」(以下、千々岩総局長)
市場に集まった大量のザリガニたち。いわゆる魚市場のような場所にザリガニが集められているのだろうか。
「5月から8月ぐらいのまさに今のような夏場がザリガニの季節です。毎朝、市場では大量のザリガニが仕分けされ、中国全土に配送されていきます。潜江市の年間生産量は12億トンで、取引額は2420億円、この時期は毎朝ザリガニを下処理する光景がみられます。中国全土では『8兆円ビジネス』とも言われています」
一体なぜ、潜江市が「ザリガニの町」と呼ばれるようになったのだろうか。
「潜江市では、街の真ん中に巨大なザリガニのモニュメントが設置され、さらに4年前、ザリガニ博物館まで建設されました。極めつけは2017年、地域内の大学にザリガニ学部を設立、1学年86人で、2019年には283人を募集するまでに拡大しました。そういったことが『ザリガニの町』と呼ばれる理由になっています」
千々岩総局長によると、ザリガニを食べる文化は、もともと中国になかったという。
「そもそもザリガニは日本と同じ外来種で、100年前ぐらいに中国に入ってきました。ザリガニの産地は、今回取材した湖北省以外にも、江蘇省や安徽省などがあります。地域が隣り合っていますが、特徴は中国最大の長江が流れている点です。特に湖北省は盆地で、湖や沼が多く、ザリガニの生育しやすい地形といえるでしょう」
ザリガニ料理は「基本的には殻付きで出てくる」といい、客は手袋をして、手で剥いて食べる。
「カニを食べるときに無口になるといいますが、ザリガニも同じです。おしゃべりな中国人も、みんな黙って食べます(笑)。味は、中華料理でおなじみの『麻辣味』や『ニンニク炒め』など、強めの味が多いですね。正直なところ、ザリガニ自体がどんな味かは、よく分かりません。値段は高い店で1匹10元、日本円で200円ほどです。安ければ1匹100円で食べられます」