【記者解説】内閣改造で“菅副総理”の可能性はゼロ?「二人は仲が悪い。官邸を乗っ取られてしまう懸念もある」永田町に聞かれたくない話(1)

 岸田総理は10日に行う内閣改造・党役員人事に向け調整を進めており、閣僚については半分以上を交代させる“大幅”改造となる見通しだ。

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 松野官房長官や林外務大臣を続投させる一方、旧統一教会と関係が深い議員は閣僚には起用しない方針で、教会を巡る発言が問題視されている二之湯国家公安委員長と、健康面も不安視されている岸防衛大臣は交代させる方向だ。

 そんな中で浮上しているのが、菅前総理を“副総理”として起用するのではないか、との見方だ。新聞社記者として政治取材を約15年、テレビ朝日政治部を経て、現在はABEMA NEWS特命記者に転じた今野忍氏に話を聞いた。

■菅前総理=“反主流派”の中でもシンボリックな存在

【記者解説】内閣改造で“菅副総理”の可能性はゼロ?「二人は仲が悪い。官邸を乗っ取られてしまう懸念もある」永田町に聞かれたくない話(1)

 「現職の自民党の国家議員は衆参あわせて379人。参院選で初当選した新人議員を、それぞれの派閥が大学のサークルのようにリクルーティングをしているところだ。

 まず主流派は岸田さんが率いる『岸田派』(宏池会)、もともとは同じ宏池会だった「麻生派」、そして兄弟派閥だった『茂木派』(経世会)だ。これに対し、いわば“反主流”だと言えるのが『二階派』と『森山派』だ。

 そしていずれにも属していない、“中間派”に、安倍元総理が率いていた、90人を超える最大派閥の『安倍派』がある。これがどっちにつくかで決まるが、安倍さんは岸田さんとも菅さんとも仲が良かったので、党内のバランスが取れていた。

 ただ、安倍派の中にも岸田さんに近い議員もいれば、菅さんに近い議員もいる。さらに派閥というのは所属議員が100人を超えてくると割れていくもの。なんとかバラバラにならずに安倍元総理の名前を残してやっていこうと頑張っている。

 そしてもう一つ、いわば“帰宅部”のような議員80人の中に菅さんがいて、『菅派』とも言うべき『菅グループ』も20人ほどいる。これが“反主流派”の中でもシンボリックな存在になっていると言っていい」。

■“菅副総理”起用のメリット・デメリット

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 「そこで囁かれているのが、岸田さんが菅さんに“副総理”を打診するのではないか、という話だ。もともと日本には『副総理』という役職は存在していないが、内閣法では、総理大臣に万が一のことがあった時に予め決められた臨時職務代理が代行することになっている。

 直近の“副総理”といえば安倍内閣と菅内閣での麻生さんだが、あれは財務大臣かつ臨時職務代理1位ということで“副総理”とみなされていたということだ。いわば“BIGBOSS”と一緒だ。

 岸田内閣では松野官房長官が順位で1位になっているが、映画『シン・ゴジラでは、総理と官房長官が撃ち落とされてしまったヘリコプターに一緒に乗っていたと思う(笑)。

 そして今回の内閣改造で岸田総理がここに菅総理を充てようとするのではないか、との見方だが、確かに菅さんを野に放っておくよりも、思い切って内閣に取り込んでおいたほうがいい、という考え方もあるし、公明党と日本維新の会との関係強化にもつながるからだ。

 岸田さんは総理就任後に公明党の山口代表に挨拶に行った時、“携帯番号を教えて下さい”と言って側近を驚かせたくらい、公明党とのパイプが無い。一方、菅前総理は携帯電話料金の値下げなど、公明党とは政策的にも合うし、支持母体である創価学会の佐藤浩・元副会長とも太いパイプがある。維新についても、松井一郎代表とは10年来の付き合いで、“俺たちこそが菅派だ”と言うくらい、菅さんに心酔している。

 一方で、デメリットもある。菅さんは官房長官を史上最長の7年半にわたって務め上げ、霞が関の局長以上の人事は自身が決められるくらいの権力を握り、それを存分に使うことで時に威嚇し、時に政策を遂行してきた。いわば総理官邸の権力の隅から隅まで知り尽くしている。

 権力は抑制的に使うべきだ、役所には役所の論理があるから…という、伝統的な宏池会のスタイルを取っている岸田さんと、人事権を使って思うどおりの政治を進めたい菅さんが内閣にいたら、めちゃくちゃになってしまうのではないか。横浜市議時代には2期目にして“影の市長”と呼ばれていたくらいの人、羊の群れにオオカミを放つようなもので、すぐに官邸を乗っ取られてしまうのではないか、という懸念だ」。

■大災害・有事が起きれば打診をする可能性も?

【記者解説】内閣改造で“菅副総理”の可能性はゼロ?「二人は仲が悪い。官邸を乗っ取られてしまう懸念もある」永田町に聞かれたくない話(1)

 「正直言って、二人はめちゃくちゃ仲が悪い。権力の使い方だけではない。プロフィールを見ても分かる通り、生い立ち、政策、派閥への考え方がまるで違う。岸田さんは3世議員で、秘書を務めていたお父様が急逝されたことで立候補したが、その時の応援演説には縁戚でもある宮沢喜一総理(当時)も来た。

 一方、“叩き上げ”の菅さんは横浜市議からのスタートだが、当初は自民党とケンカをして出馬したため公認も無く、靴を3足も履き潰すような努力をして当選した。しかも派閥と違う人を応援してしまうこともあり、宏池会も含め、派閥を2回辞めている。合うはずがない。

 したがって、今回はおそらく、その可能性はない。ただし、長期的なビジョンを示しバランスを重んじる岸田さんと、短期的な政策目標をどんどん進めていく突破力の菅さんが手を握れば最強の内閣ができるという考え方もある。台湾有事や大災害など、挙国一致内閣を作らなければならないという機運が出てくれば打診をし、それを受ける可能性もある。

 やはり政治の世界ではよくある、記者に書かせて反応を見る“観測気球”ではないか。もし菅副総理が誕生したら、次回は頭を丸めて出演します(笑)」。(ABEMA NEWS)

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