3日、臨時国会が開かれ、先月の参議院選挙で当選した新人議員らが続々と初登院した。
【映像】「ガーシー」と書かれた本会議場の“名札”(画像あり)※2:20ごろ〜
一方で、姿を現さなかったのは、NHK党から初当選したガーシー議員だ。過去に詐欺疑惑が出ているガーシー議員は、現在中東ドバイにいるといい、3日の臨時国会にも姿を見せなかった。
今後、ガーシー議員に辞任や除名を求める動きはあるのだろうか。永田町を取材してきたテレビ朝日政治部・野党担当の森本優記者はこう語る。
「国会の中で言うと、名前も本名である東谷義和(ひがしたによしかず)ではなく『ガーシー』で申請し、認められています。国会では登院時に議員がボタンを押すのですが、ボタンの名前はカタカナで『ガーシー』でした。また、本会議場での名札もガーシーで、議長も『ガーシー君』と呼んでいました。ちなみに過去には、アントニオ猪木さんも大橋巨泉さんも参議院議員を務めましたが、本名では活動していませんでした。ですので、前例はあります。今回は水道橋博士さんも『水道橋博士』という名前で許可が下りています」(以下、森本記者)
実際にガーシー議員に割り当てられた議員会館の部屋に行ってきたという森本記者。
「議員会館の中は撮影禁止のためお見せできませんが、部屋前のネームプレートもしっかり『ガーシー』と表記されていました。また、ガーシー議員が割り当てられた部屋の前の持ち主は、今回の参院選で落選した立憲民主党の森ゆうこさんです。国会論戦で存在感を示したベテラン議員の部屋だったので、永田町ではちょっとした話題になっていました」
依然として海外に身を寄せているガーシー議員。一般の参議院議員であれば、与えられる歳費は「月額129万4000円、調査研究広報滞在費(旧文通費)は月100万円で、約230万円が支払われる」という。
「他にも公設秘書の給料などが税金から支払われます。これに加えて、ボーナスもあり、実績で言うと、去年の冬のボーナスは約314万円、今年の夏のボーナスは約286万円です」
ガーシー議員は、3日の臨時国会に登院しなかったが、実際に永田町ではどのように受け止められているのだろうか。
「ガーシー議員はUAE=アラブ首長国連邦に滞在しているため、国会を欠席するとして、海外渡航届を提出しています。ただ、参議院の議院運営委員会の理事会は、全会一致で『許可しない』と決定しています。帰国日が記載されていないことや『説明が不十分だ』などが理由です。さらに、ガーシー議員に対して、国会への出席を求めることで合意しています。政治家は、そもそも法律を作ることが仕事なので、国会にいない=法律を作らないことと受け止められるため、与野党から登院を求める声は高まっています」
ガーシー議員の当選証書は代理でNHK党の立花孝志党首が受け取っている。議員バッジは誰が受けとったのだろうか。
「議員バッジもNHK党の立花党首が代理で受け取とっていて、近日ドバイで本人に直接渡すそうです。しかし、中には実際に渡すのは立花党首ではなくYouTuberのヒカルさんたちだと話す人もいます」
今後、ガーシー議員が帰国する可能性はどれくらいあるのだろうか。
「正直わかりません。NHK党の立花党首は記者会見で『この臨時国会は100%帰ってこない』と言っていました。また、秋に行われる臨時国会についても『帰ってこないんじゃないか。6年間帰ってこなくていい』とも話しています。ガーシー議員本人も3日に投稿した自身のInstagramに『海外にいてもできることはよーけある、海外やないとできひんこともよーけある』『いつかオレが初党院したあかつきには、クラッカー鳴らす用意しとってください』とコメントしています。ただ、立花党首は近くガーシー議員と『直接会う』と発言をしているので、本人からか分かりませんが、日本に帰ってくるのかどうか、何らかの発信があるかもしれません」
議員としての国会参加は、オンラインを活用できないのだろうか。
「今のルールでオンライン国会は認められていませんので、登院しないと委員会への出席や本会議における採決にのぞむことなどはできません。今年の通常国会でもオンライン国会の議論は行われていましたが、結論が出ていない状況です。ガーシー議員の周辺は『政務活動を優先する』と話していて『ガーシー議員の当選をきっかけに、オンライン国会などの改革を進めていきたい。もしオンライン国会が認められれば、国会活動も行う意思はある』とも話しています。ちなみにガーシー議員はNHK予算などを審議する総務委員会の委員に選任されています」
仮に日本に帰国しない場合、国会から除名や議員辞職を求められる可能性はあるのだろうか。
「今後、ガーシー議員がずっと登院を拒み続けた場合、参議院として何らかの手を打つ可能性はあります。まず、召集日から7日以内に召集に応じない場合、参議院議長が懲罰委員会に付す可能性があります。懲罰は4段階あり、公開議場における戒告、陳謝、一定期間の登院停止、そして最高で除名です。除名になると、議員バッジを外されます。本会議で出席議員の3分の2以上の多数が議決すれば除名されますが、参議院によると、召集に応じない議員が懲罰を受けた前例は『これまでにない』ということでした。この夏に、すぐ何か起きることはなさそうです」
万が一、ガーシー議員への除名が決まった場合、その後、どのような動きになるのだろうか。
「ガーシー議員は全国比例での当選ですので、補欠選挙は行われません。全国比例でNHK党の次点だった山本太郎さんが繰り上げ当選になる可能性があります。れいわ新選組の山本太郎さんと同姓同名ですが、別人です。焦点は秋の臨時国会です。次の臨時国会は会期が一定期間となると見られていて、今の国会同様、次回以降も、引き続き国会への出席を求められることになると思います。ガーシー議員の言動によって、状況は変わる可能性があります。どのように決着するかはまだ見えません」
(ABEMA NEWS)