赤松健氏「派閥にも入らず、支持母体も持たない。献金も受けない。そこまでしなければ“表現の自由”は守れない」…規制には“エビデンスが必要”と持論も
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 先の参院選において比例区で最多となる約53万票を獲得した、『魔法先生ネギま!』『ラブひな』などの作品で知られる漫画家の赤松健議員。

 表現規制の問題や“海賊版サイト”の問題にも取り組んできたことから、「長年、作品の世界で戦ってきた方なので、先生なら安心して任せられるかな」と、国政での活躍に期待する声も多いようだ。18日の『ABEMA Prime』では、そんな赤松議員に、国政にかける意気込みを直撃した。

【映像】表現規制をめぐって赤松議員と河崎環氏が激論

■「ここまで徹底して、ようやく表現の自由を守れる。この姿勢は絶対に変えない」

赤松健氏「派閥にも入らず、支持母体も持たない。献金も受けない。そこまでしなければ“表現の自由”は守れない」…規制には“エビデンスが必要”と持論も

 選挙戦について赤松議員は「予想外ではあったが、私はポスターを貼らず、はがきも送らず、電話もかけなかった。ネットばかりということで、時代が変わったなと思った」と振り返る。

 「よく“オタク”と言われるが、海外に行ったら日本はアニメ、マンガ、これだ。昔はサブカルチャーと言われたが、今やメインカルチャーだ。もちろんネットとも親和性が高く、これを味方につけて、やっていくというのが今後の選挙活動で主流になっていくと思う。ただ、私の顔よりも売れている私のキャラクターを使わない手はないとは思いつつも、政治思想を語らせてしまうのはタブーだと考えた。それはやらないように気をつけて、“赤松が出ているよ”、“選挙に行こうね”というところに集中して使った。

 そして、選挙というのは、やっぱり自分の意見を代弁してくれそうな人に投票するものだと思う。私はもろにネットだし、コミケでは“壁”にいたり、もちろんゲームも大好きだったり。そういうところで、“自分と似ているな”と感じた人たちが意見を代表してくれると期待し、それが支持に繋がったのだと思う」。

赤松健氏「派閥にも入らず、支持母体も持たない。献金も受けない。そこまでしなければ“表現の自由”は守れない」…規制には“エビデンスが必要”と持論も

 政権与党の議員になったとはいえ、無派閥のまま、党内でどのように立ち回るのだろうか。

 「まず、野党ではなく、自民党でやっていくことに関しては利点がある。漫画家時代から様々なロビー活動を通して現場の意見を伝えていたが、自民党の部会というのは全会一致が原則なので、誰かが死ぬ気で抵抗すると、法案がなかなか通らない。その段階で私が関わることができるようになる意義がある。

 ただ、私が派閥に入らないのには理由がある。派閥というのは、表現の自由とすごく相性が悪いからだ。宗教がらみなど、特定の支持団体を持たないこともそうだが、何かボス議員の指示を受けたり、お伺いを立てたりしなければならない。あるいは何かやるときには団体の意見も聞かなければならないからだ。さらに言えば、私は寄付金も献金も受けていない。そういう束縛も受けないということだ。ここまで徹底して、ようやく表現の自由を守れると思っている。この姿勢は絶対に変えないつもりだ」。

赤松健氏「派閥にも入らず、支持母体も持たない。献金も受けない。そこまでしなければ“表現の自由”は守れない」…規制には“エビデンスが必要”と持論も

 選挙戦では、これまでも“表現の自由”をめぐって共に活動してきた山田太郎参院議員との行動も目立った。

 「表現の自由や著作権法の改正、海賊版対策など、率先して業界を引っ張ってきたという自負がある。特に表現の自由については街宣活動でも延々と訴えていた“一丁目一番地”。ただ、他にもやりたいことがある。漫画以外にも色々なものに興味があって、科学技術やITもものすごく得意だ。また、山田さんと違うのは、私は今年2月まで連載していた現場のクリエイターでもあるという点だ。そういう議員の口から表現の自由に関する言葉が出てくるというのは必然性があって、訴求力が高いと思う。これから委員会などでも私の口から出る言葉は重要視されるだろうし、そういう現場の言葉を使った、山田さんたちとはひと味違うやり方になっていくと思う」。

■「犯罪を誘発するという科学的証明はなく、思い込みだ」

赤松健氏「派閥にも入らず、支持母体も持たない。献金も受けない。そこまでしなければ“表現の自由”は守れない」…規制には“エビデンスが必要”と持論も

 当選の報せを受けた際には、「第一にやりたいのはやっぱり私が掲げるマンガ外交、アニメ友好だ。まずクリエイターとして、非常に海外で知名度が高いことを利用して、マンガ、アニメのすばらしさをどんどん訴えていきたい」と述べていた赤松議員。そんな赤松議員が守ろうとする「表現の自由」とは、どのようなものなのだろうか。
 
  「例えばウィーンで協議されている新サイバー犯罪条約というものがあるが、その中には創作物の規制要請が入っている。これが結ばれてしまうと、国内法に落とし込んだ時に創作物の規制が入ってしまう。これをなんとかしないといけないといけない。これはすごく差し迫った問題で、非常に危惧している。
 
  あるいは国連女性機関からは日本のマンガの広告がよろしくない、といったような圧力が来る。もちろん、こういう犯罪が起きるといった科学的なエビデンス、あるいは女性に対して“こうありなさいよ”というジェンダーのステレオタイプ化を強要しているといった証明があればいいが、それがない以上は適切に反論し、冷静にまとめていく必要がある」。
 

赤松健氏「派閥にも入らず、支持母体も持たない。献金も受けない。そこまでしなければ“表現の自由”は守れない」…規制には“エビデンスが必要”と持論も

  こうした赤松氏の認識に対し、コラムニストの河崎環氏は「海外からの圧力によって差し迫っているというその背景は、日本の表現のガラパゴス化があるからだと思う。国内では慣れすぎてしまっていて“あり”だとされているものも、ひとたび海外に行けば“わいせつ”と見なされてしまう。だから日本のゲームを海外で販売しようという時には、胸の部分に修整を加えたりする。日本の誇りであるコンテンツを海外に持っていくためにも、アウェーのルールをクリアしようというだけの話だ」と強く反論する。

赤松健氏「派閥にも入らず、支持母体も持たない。献金も受けない。そこまでしなければ“表現の自由”は守れない」…規制には“エビデンスが必要”と持論も

 「性表現に関しては、そこから性暴力などの犯罪の誘発につながることが懸念され、海外では規制のレベルが高くなっていった。また、キリスト教国では、宗教的・文化的にも幼い子どもに関する性表現は許されない。私も漫画を読んで育ってきた世代なので、作品が血肉となって自分の中の価値観を作っている。男性作家たちが自分の経験や描きたいものとして出してきた作品の中には、たとえば女の子はこうあるべき、男の子はこうあるべきだというものもあるし、性的な関係になる時にはこんなふうに恥じらったり、こんなふうに声を出さなきゃいけないと思ったりしていた。先生方の作られるものは、それだけ人生を変えるわけだ。

 日本はそういう部分の意識が非常に緩く、アウェーのローカル・ルールに従って戦う前に帰ってきちゃう。結局、島国の中で“自分たちはすごい、偉い、面白い”と言っているだけだ。それをまだやるの?と思う。証拠を突き付けられなければ表現を変えないというのは、“犯罪じゃないじゃん。見ているだけじゃん”という、ハラスメントと犯罪のギリギリのところと全く同じ性質の議論だと思う。人間が視覚的に欲情する動物であることは仕方のないことで、だからこそ名作を描かれる先生たちはダイレクトに“扇情”を行える。そういう、表現の力強さ対して、もうちょっと自覚的でいてほしい。“俺たちはこれを描きたいんだからそれでいいじゃないか”ではないんじゃないのか」。

赤松健氏「派閥にも入らず、支持母体も持たない。献金も受けない。そこまでしなければ“表現の自由”は守れない」…規制には“エビデンスが必要”と持論も

 これに赤松議員は「“これが性的である・性的でない”ということは私には決めかねるが、児童ポルノに関しては法的な定義があるし、自主規制的なものもある。編集部や作家はそれらを踏まえた上でやっている。業界ではゾーニング的な努力もしている。私は自分の作品で乳首さえ描いたことはないが、仮にそうしたものに基づく批判があれば受け入れるし、科学的なエビデンスがあった場合にも従う。ただ、そうでない場合には、あくまでも“なるほど、意見としてお聞きしました。今後の参考にします”と答えざるをえないということだ」と説明した。

赤松健氏「派閥にも入らず、支持母体も持たない。献金も受けない。そこまでしなければ“表現の自由”は守れない」…規制には“エビデンスが必要”と持論も

 「犯罪を誘発するということについても科学的証明はなく、思い込みだ。やはり感情メインの主張を法制度に導入してはならない。誰か一人が“不快だ”と言い始めたら、じゃあその表現はもうダメだ、となってしまうからだ。どうも男性向けの作品の話をされているようだが、女性が好むように描いてあるBL(ボーイズラブ)作品に関しても、東京都の書籍の審査の結果、指定されたものもある。また、痛ましい事件が日本よりも多い国を、なぜ見習わなくちゃいけないのか。

 やはり漫画、アニメに憧れている子どもたちは多い。声優さんもそうだ。たまに“このページを真似した”という犯罪も出てくるかもしれないが、現段階では世界から憧れられている。そして世界と比べれば性犯罪も少ない、児童虐待も少ない。ここから何か変化させていくという必要性は感じていない。もちろん、これは変えてもいいなと思ったものは変える。ただ、グローバルに認められなかったとしても、本当に伝えたいものは変えるつもりはないし、日本に見に来てほしいと思っているということだ」。(『ABEMA Prime』より)

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