台湾を訪れた日本の国会議員団が23日、蔡英文総統と会談、安全保障や経済面で連携を強化する方針を確認した。これに対し中国の外務省は「粗暴な内政干渉だ」と述べた上で強烈に非難、「国家の主権と領土を守るために断固とした措置をとる」と激しく批判している。
27日のABEMA『NewsBAR橋下』に生出演した元外交官の松川るい参議院議員(自民党)は「外交というのはアクションとリアクションの連続なので、こちらが行動したことが相手に影響を与え、相手が反応したことにこちらが反応して、ということの繰り返しだ。日本と台湾の議員団の行き来について、以前であれば中国は気にはしていただろうが、表立ってあまり文句は言わなかった。それが激しく反応するようになったというのは、台湾の状態について西側の認知度が上がることについてそれだけ警戒をしているということだろう。また、中国には台湾を統一することに関する“スケジュール”があって、それが“時間の問題”になりつつあるということじゃないか」との見方を示す。
すると橋下氏は、日本の議員団に先立ってアメリカのペロシ下院議長が台湾を訪問したことを念頭に、「一部の人はペロシ下院議長の訪問について“よく行った。当たり前だ。中国がどんな反応をしようが関係ない”と主張していたが、軍事力もあるし、本土が狙われるということもないアメリカは、ある意味で好き放題やれる。そこに単純に乗っかるだけのようなことは日本にやって欲しくない。
テレビ番組でこういう話をした時に、専門家の人たちは“あれは意味があったのだ。これで日本もアメリカも目が覚めて、一致団結して中国に対して向かっていく”と。しかし、それだけだ。実際、蓋を開けて見たら中国は中台の中間線を越えるような行動を取っているわけで、冷静に見れば得をしたのは中国の方ではないか。押し戻せるだけのものをもって外交はすべきだし、中国の軍事演習が恒常化した場合にはアメリカが軍事力で対抗するという戦略が欠けていたのではないか」と問題提起。
松川議員は「ペロシさんの訪問を軍当局が喜んでいたということでは必ずしもないと思う。行く、ということが表に出てしまった場合、行かないことでマイナスのメッセージになってしまう。つまり、アメリカというのは中国に恫喝されたらやめるのか、という誤解を与えるリスクは取るべきではない、という判断だったのだろう。しかし台湾と中国との間の中間線を越えることが常態化し、しかも太平洋側に回り込む軍事演習も大々的にやった。与那国から80キロのEEZにミサイルも落ちている。まさに台湾に対する軍事的なプレッシャーが一段上がった状態を作ることにつながったというマイナスの面はあるだろう。
一方で、あの軍事演習は一朝一夕にできるようなものではなく、“いつでもできるぞ”という状態があって、そこにペロシ下院議長の台湾訪問が良い口実になったのかもしれない。中国はアメリカや日本が一緒になっても敵わないというくらいに軍事力を高め、台湾に対してはフェイクニュースや工作活動などによって、“中国と一緒になった方がお得だ”と思わせ、やる気をなくさせようとしている。やはり必要なのは米中、日中の関係者が意思疎通を図り相手の意図を見誤らない、相手に見誤らせないことが大事だし、日本を含め防衛力を高めることだ。実際、ペロシさんは台湾訪問の前に米中電話会談をやっていて、本当の衝突にならないような工夫も図られていた。日本の国会議員が訪問したことも、“台湾の平和を気にしている国がこれだけある”というコミットメントを世界に示すことでの抑止力にもつながる」。
さらに橋下氏が「それでも勢いだけではなく、ここまで押し戻すという力を持った上でやってほしい。防衛力の強化も重要だが、日本は避難を全然考えていないから、例えば先島諸島の人たちは逃げようがない。防衛力の強化は盛んに言われていたが、避難させるという意識が足りなかった。ここもしっかり自民党の方でやってもらいたい」と指摘すると、松川氏も「国民保護というのは大きな課題だと思う」と応じていた。(ABEMA『NewsBAR橋下』より)
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