東京大学で異変? 休学者が13年で2倍近くに 3人の当事者が語る“東大生のレール”から離れて得た「学び」
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 誰もが認める日本の最高峰・東京大学で今異変が起きている。それが休学する学生の増加。東大によるとその数は年々増え続け、データが残る13年前と比べると2倍近く(209人→387人)になっている。なぜ彼らは休学を選択するのか。

【映像】東大で“休学者”増加のワケは? 当事者に聞く

 高知県にあるリゾートホテルでフロント業をこなすのは、現役の東大生・山川綾菜さん(22)。大学4年になった今年春から1年間休学し、町づくり事業を行う企業でインターンシップに参加。地元の高校生が町をガイドする企画を立ち上げるなど、地域活性化に携わっている。休学するきっかけとなったのが、突如襲ったコロナ禍だったという。

 「ほとんどマンションの部屋にいた。自分自身と向き合ったり、考えられる時間も多くなったことで、『これから何をしようかな』『このまま就職していいのかな?』と考えるきっかけになった」

東京大学で異変? 休学者が13年で2倍近くに 3人の当事者が語る“東大生のレール”から離れて得た「学び」

 ベトナムやアフリカを訪れた経験から、国によって異なる社会制度や紛争問題などに興味を持ち、将来は国連職員か官僚になるという目標を持っていた山川さん。コロナ禍で交流イベントに参加したり、地方活性化に取り組む人たちに出会ったことで、「どう町づくりをしているのか地域を見て回りたい」と考えるようになり、思い切って休学を決意したという。

 「今は本当に社会の中にパッと解き放たれている感じがある。現場で実際に自分が動きながら見られたりとか、その辺が(大学の)外に出てみて面白いなと感じた」

■「本当に世界が変わった。1回立ち止まれてよかった」

 「なんとなくレールに敷かれたままの“量産型”の東大生になりたくないというか。途中、停車駅に降りてみたり、ちょっと回り道をしてみたり」

東京大学で異変? 休学者が13年で2倍近くに 3人の当事者が語る“東大生のレール”から離れて得た「学び」

 こう話すのは、東京大学大学院1年の岩永淳志さん(24)。経済学部3年の時に1年間休学。田舎暮らしなどに興味があったことから、和歌山県の過疎化が進む集落へ。そこでNPOの町おこしの活動に参加した。

 「人口500人くらいの社会がこのまま10年経ったらなくなってしまう状況で、どうしたら新しい人たちが来るか、この地域で仕事が取り戻されていくのかをすごく考えた」

 その後、復学した岩永さん。大学の授業でもある気付きがあったという。

東京大学で異変? 休学者が13年で2倍近くに 3人の当事者が語る“東大生のレール”から離れて得た「学び」

 「(講義の)マーケティングの話でも、和歌山の酒造で働く人たちがどういうターゲットにお酒を売っているのかを理論立てると、大学の授業になっていることに気づいた。(教科書にある)いろいろな横文字を聞いて“翌日には忘れている”ような状態から、和歌山で生活した中で“これだな!”と。すごく学びに繋がったと思う」

 休学して「よかった」と感じていることは。

 「大学までずっと言われたことをやってきたので、就職活動が間近になった時にどうしていいかわからなくなった。休学のハードルは正直高くなかったが、いざ休学してみると本当に世界が変わった。自分が入学した当時に思い描いていた進路とは全然違うので、1回立ち止まれてよかったなと思う」

■「もっと大学を活用できていたら、とは思う」

 休学中に起業した後、大学で学ぶ意味を見出せずに中退し、やりたいことを探す旅に出た人も。世界一周旅行中で、現在はクロアチアにいるという伊藤真莉さん(24)。

東京大学で異変? 休学者が13年で2倍近くに 3人の当事者が語る“東大生のレール”から離れて得た「学び」

 「大学生の時にある企業でフルコミットして仕事を頑張っていた。そこで次にやりたいことが見えたので、その手段として起業するために休学したが、うまくいかなくなったために次は組織で働こうと。就活をして内定をもらったIT企業からは『休学を続けて学生のままなら業務委託、学生じゃなければ社員で』ということで、どうせ働くなら学生であるメリットはないなと思って中退して、そのまま就職した」

 伊藤さんにとって東大はどのような場所だったのか。

 「入ってみたら授業があまり面白くなくて、結果的には働きたかったのと学びたいことがなかったことで中退してしまった。そこは、もっと大学を活用できたら、面白い学びがあったらよかったなとは思う。ただ、東大生であるということで、起業した時にいろいろな人に面白いと興味を持ってもらえて、そこから自分を知ってもらうきっかけになったりしていた。本質ではないかもしれないが、入ってよかったなとは思っている」

■日本では“回り道”がマイナスに捉えられる?

東京大学で異変? 休学者が13年で2倍近くに 3人の当事者が語る“東大生のレール”から離れて得た「学び」

 英国をはじめ欧州の教育と日本の教育との違いに詳しい、同志社女子大学秦由美子教授は「日本ではライフコースに関し年限の縛りが強い。休学期間が3年~4年ともなれば“履歴書上の空白”とみなし、マイナスと捉える風潮が大企業にも多い」「“自己の人生をデザインするための期間”と捉えるべき。“回り道”も含め多様な選択を後押しする度量のある社会が求められる」と指摘している。

 ジャーナリストの佐々木俊尚氏も「大学はしょせんステップにすぎない。昔だったら官僚になるとか大企業に就職するとなると、大卒の資格が必要だった。ところが、今は大卒の資格がなくてもできる仕事は山ほどあるわけだ。起業するのもそうだし、インターンもあるし、スタートアップをするのもそうだ」と投げかける。

東京大学で異変? 休学者が13年で2倍近くに 3人の当事者が語る“東大生のレール”から離れて得た「学び」

 岩永さんは「東大に入らないと官僚になれないとか、日本にはびこっている当たり前みたいなものがある。大卒でないと就職できないから親が何とか学費を出すけど、何で4年も通わなければいけないのかという話にもなってくると思う。そもそもの学びの仕方が違うなと思っているし、それを表現する意味でも休学だった」と話す。

 伊藤さんは「固定観念に縛られている人たちはけっこう多いなと周りを見て思う。レールどおりであるとか、レールから外れているというのは正直どっちでもいいと思っている。自分が何をしたいのか、自分で見つけた自分だけのレールに乗っていくことが大事なのかな」との考えを述べた。(『ABEMA Prime』より)
 

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