今SNS界隈で話題になっている人物がいる。人呼んで“株配りおじさん”。清水貴久氏は、自身が社長を務める会社の株式約1億3000万円分を社員128人にあげてしまったのだ。
【映像】「かっこいい…」清水社長の経歴にスタジオからは感嘆の声
株式会社シルバーライフは、高齢者向けに配食サービスなどを行い、15期連続の増収とまさに成長中の企業。清水氏のモットーは「食の観点から誰もが安心して歳を重ねて行くことが出来る社会」だ。
なぜ“株配り”を行ったのか。15日の『ABEMA Prime』で経緯や経歴について明かした。
■清水社長の経歴にスタジオからも感嘆の声
清水氏が配ったのは個人で保有している株で、役員・正社員128人に一律800株。従業員への感謝の気持ちを表したものだそうで、「仕事の対価として給料が上がったりボーナスをもらえたりというのは当たり前で、あるべき姿だと思うが、感謝の気持ちというふわっとしたもので会社に損害は与えられない。であれば、私個人の財産からあげるべきだと思った。会社としては一つの区切りで、頑張って資金を貯めて工場を作り、倉庫も作ったと。設備投資が終わったので、株主への還元として配当を始め、社員へも還元しようというタイミングだった」と話す。
従業員の反応は「ほとんどない。“株?一体何だろう”みたいな。社員には『私からあなたに100万円(※)をあげます』とメールを出したが、変なスパムが来たみたいな話で(笑)」と説明。SNSの反響については、「社内だけの話のはずが、いつの間にか広がって。こんな場所(スタジオ)に座ると思わなかった」と明かす。
※発表した13日の株価終値1439円×800株=115万1200円
さらに、清水氏の経歴も注目されている。明治大学経営学部を卒業後、1998年に警視庁に入庁。しかし、翌年、退職の決断をする。当時警察には、国にとって問題があると思われる人が三親等以内にいると警察官にはなれないという慣習があり、結婚する相手にも同じ調査があったという。
「(警察を)辞めた後に妻が『あんなに好きな仕事だったのにごめんね』と罪の意識を持ってしまって、“こっちを選んで正しかったんだよ”ということを見せようと。困っている人を助けたいという気持ちは変わっていないので、“どうやら経営コンサルタントは困っている社長を助ける仕事らしいぞ”、今のお弁当屋さんも“買い物や調理に困っている高齢者様を助ける仕事だぞ”ということで、やっていることはあまり変わっていない」と清水氏。警視庁退職後に、高齢者向け配食サービスや経営コンサルタント会社での修行を経て、2009年にシルバーライフに入社。2012年に代表取締役社長に就任した。
そうしたエピソードにスタジオからは、「株を配らなくてもそのうち有名になってたかも」(EXIT兼近大樹)、「ここ1年くらいで一番さわやかな気持ちになっている」(脳科学者の茂木健一郎氏)といった感嘆の声があがった。
■来年にも世界的な食糧危機が? 「まだ絶望する状況ではない」
NHKで報じられた、WFP(世界食糧計画)フライシャー局長の「来年は世界の人口を養うのに十分な食べ物がない状況に陥る可能性がある」という発言が物議を醸している。ロシアによるウクライナ侵攻で、小麦や肥料の生産・流通が滞り、世界的な食糧危機が訪れるとしている。
日本でも連日のように食料品の値上げが報じられているが、清水氏も「どんどん選べる食材が少なくなっていっているのを目の当たりにしているので、かなり危機感は感じている」という。
「海産物や魚がここ数年、どんどん値上がりしている。ウクライナ問題もあって、小麦や油、調味料、容器に至るまで値上がりし、中国産の食品や食材はもう高くて買えない。以前は調理された魚を中国の工場から1人分60円で仕入れていたものが、今は90円とか。そこで、国内で50円の切り身を買ってきて、20円かけて国内の工場で調理して、70円でなんとか用立てる。できることもまだまだたくさんあるので、まだ絶望する状況ではない」
外部環境が厳しい中で、今後どのような会社を目指していくのか。
「身の丈より大きな設備を作ってしまったので、今後はますます売上を上げていかなければいけない状況だ。大手企業との提携、その他も含めて、製造能力に余力ができたので、大きくいろいろなものを国内で作っていければと考えている」
(『ABEMA Prime』より)