「100回打てば±900ポイントぐらいのことは全然起こる」園田賢の心がブレない理由は数字を信じるから/麻雀・Mリーグ
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 プロ麻雀リーグ「Mリーグ」全32選手の中でも、理論派として知られる赤坂ドリブンズ・園田賢(最高位戦)。昨期は個人成績が▲56.7の19位、チームもレギュラーシーズン7位で敗退といいところがなかったが、園田本人へのファンからの評価はまるで下がらない。それは試合後のインタビューで饒舌に語る中に、確立した麻雀理論があるからだ。成績不振であっても心がブレない理由は「自分を知ること」と語り、さらにその軸となっているのが、正しく麻雀を、確率を理解することだという。

【動画】プロ麻雀リーグ「Mリーグ」昨期の戦いぶり

-昨期はどんなシーズンでしたか。

 めちゃめちゃパッとしなかったという印象ですね。とにかくトップが取れなくて、トップ目にいても、最後オーラスでまくられるっていう展開が多かったです。その代わりに「園田アングル」だとか、インタビューが長いとか、そういう麻雀の内容以外の部分でちょっと注目していただいたりする部分がありました。それはそれで嬉しいんですけど、モヤモヤっとするみたいなところはありますね。

-終盤にまくられる状況への対応は難しいですよね。

 対応はしてないです。Mリーグに関しては全試合、その日のうちに家に帰ってから検討配信をやりました。一局一局、一打一打。視聴者の方とYouTubeで検討しました。もちろんパーフェクトな精度でずっとやり続けてたわけではないですし、後悔がないわけでもないですが、まくられることが多かったというのは、打ち方に起因する部分ではなく、どうしようもない部分が多々あると思っています。毎回、こういうことを言うのもかっこ悪い感じがするんで、嫌なんですけどね(苦笑)。だけどそれがやっぱり麻雀の本質だったらしょうがないと思っています。だからそれに対しての対策は立てないです。長く麻雀を打っていけば、どこかで収束してくれることを信じてやるだけです。

-検討配信をするのとご自身だけで振り返るのと、何か違った発見がありますか。

 ありますね。検討配信しない時は、どうしてもちょっと甘えちゃうんですよ。自分が思っていたものと映像を見ながら答え合わせをするんです。たとえば1時間の半荘を見るのに1.3倍速で見れば、1時間もかかりません。それを2周することもありますが、やっぱり検討配信にすると、一打一打重要なところは止めて、しっかり考えて検討するので、実際の対局時間の2倍、3倍かかります。より身になるやり方かなと思います。体力的には、きついですね。だけどドリブンズはMリーグの最初のころ、試合が終わった後に毎回みんなで飲みに行って話していたんですよね。それがコロナによって、みんなで飲みに行くことができなくなりました。その代わりに家に帰って検討配信をしてるんです。飲みに行ってあーだこーだ、みんなでワイワイやるのが置き換わった感じなんで、特別そんなにきついって感じではないです。どうせMリーグのシーズンは、夜型にはなってくるんで(笑)。

-ご自身でもおっしゃるように昨期は試合後の長いインタビューが話題になりました。あれは検討配信の凝縮版のようですね。

 僕はこういったインタビューでもそうなんですけど、あまり思ってもいないことを言いたくはないみたいなところがあるんです(苦笑)。「いやー、今日はあの人、強かったです。上手かったです」ということはあるんですが、その人だってエラーしていることもあるし、牌の巡り合わせもあるし。「あの一打が敗因でしたね」と言うのだって、それは100万回繰り返してみたら実は正しい方の選択をしていて、その時はたまたま裏目の方を引いてかもしれない。それが結果的に敗因になったとしても、反省すべきではないと思っています。なんか嘘をつきたくないんです。麻雀だから「次は必ず勝つ」なんていうのはナンセンスだと思ってますし。これを突き詰めていったら、麻雀の話をするしかなくなっちゃったんですよ、結局(笑)。抽象的な外面像みたいなところで話をするのが嫌なので、とにかく麻雀の内容の話だけにしたら、ああなっちゃいました。だから大体オチがなくて、ただ長いだけなんですけどね(苦笑)。だけど、あれで確立されたところがあるので、それはそれでよかったかなって思っています。

-今期の戦い方について考えていることがあればお願いします。

 チームのみんなで目標の話をしたことは、たぶん今までないんじゃないですかね。チームの優勝、個人としてはMVPに決まっていますし。よく「MVP目指しますか」と聞かれるんですが、みんな、腹の底で「目指すに決まってるじゃねーか」と思ってます(笑)。優勝を目指すのも当たり前なので、特に目標というのはないですね。とにかく上を目指すだけです。そのために半荘あたり1ポイントでも多く稼ぎ続けるだけですね。今回はやっぱり、ファイナルに残らなければメンバー入れ替えがあるので、そこは意識せざるを得ないです。ファイナルに残るのも優勝を目指すのも、打ち方としては変わらないんです。もしかしたら打ち方を変えるべき局面がレギュラーシーズンの最後、1戦や2戦とかで出てくるかもしれませんけど、それはそうなった時に自分で判断します。

-昨年はチームメイトの村上淳さんが大苦戦する時期がありました。チームとして対策を考えることはありましたか。

 ないですね。25試合で打った時に、どれくらいブレるかということに関して、運のブレ方によって普通にあれくらいのことはあると思っています。それが麻雀というゲームだし、だからこそいろんな人が楽しめるゲームだと思うので。Mリーグという舞台だから、特に実力が反映されやすくなるわけなんてないですから、それはわかってほしいですね。だけど、わかってもらえないもどかしさも、すごく感じています。村上さんがガーッと負けちゃったとしても、信頼関係があるから調子を崩してるなんて思わないです。でも、すぐみなさん言いたがるんですよ、「バランス崩してるんじゃないか」って。そんなものじゃないんですよ。

-麻雀ファンの方々が、目先の結果にブレないようにするためにはどうすればいいですか。

 統計を知ることじゃないですかね。計算してみること。たとえば100回打てば自分の実力から±900ポイントの間に95%が収まります。逆に2.5%の確率で自分の実力より900ポイント以上負けるんですよ。昨年、TEAM雷電さんのマイナスが1000ポイントを超えましたけど、実力が±0くらいのチームであっても、2.5%以下、40分の1ぐらいのものを引けば、全然起こってしまうことです。ちょっと調べれば簡単に計算できるんで、麻雀を打っている人はそれを正しく捉えて、短いスパンのあーだこーだを気にしなければ、心はブレなくなると思います。それでも僕だってブレます。ブレるのは、Mリーグが見られている麻雀だからで、プロだからです。確率が収束するほど打てるわけでもないので、そのあたりの不条理は受け入れなきゃならないんで、すごく気持ちが沈んじゃうこともあります。それでも、確率で考えればダメージは少なくなるんじゃないかという気がします。どんな不幸が来ようと幸運が来ようと、ただただ自分たちが正しいと思う麻雀をやり続けるだけです。

※連盟=日本プロ麻雀連盟、最高位戦=最高位戦日本プロ麻雀協会、協会=日本プロ麻雀協会

◆Mリーグ 2018年に発足。2019-20シーズンから全8チームに。各チーム4人、男女混成で構成され、レギュラーシーズンは各チーム94試合(全188試合)。上位6チームがセミファイナルシリーズ(各20試合・全30試合)、さらに上位4位がファイナルシリーズ(16試合)に進出し、優勝を争う。優勝賞金5000万円。

ABEMA/麻雀チャンネルより)

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