PCR検査のネット予約できない大学生も…若者の “デジタル格差”?「損をするくらいならいいが、インフラにアクセスできないと生きていけなくなる」
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 デジタル庁の発足からはや1年。この間、コロナワクチンの接種証明書アプリやキャッシュレス法が成立するなど、政府は急ピッチでデジタル化を進めてきた。ただ、次第に浮き彫りになってきたのが「情報格差(デジタル・ディバイド)」、デジタルの恩恵を受けられる人、受けられない人の差だ。

【映像】EXITがコンビの“デジタル格差”を告白

 置いていかれてしまうのは高齢者だけなのか。若者にも起こるデジタル格差について、21日の『ABEMA Prime』は専門家を交え議論した。

■大学生にも広がるデジタル格差

 『2050年 世界経済の未来史』の著者で多摩大学特別招聘教授の真壁昭夫氏は「現役の大学生を教えているが、(デジタル)オタクになっているような学生がいる一方で、まったくわからないという学生もいる。最近聞いた話で、コロナウイルスのPCR検査をインターネットで予約しなくてはいけないが、どうやっていいのかわからないと。隣の人に聞いてやってもらったという学生がいた。そういう意味では格差が広がっていることは間違いない」と指摘。

PCR検査のネット予約できない大学生も…若者の “デジタル格差”?「損をするくらいならいいが、インフラにアクセスできないと生きていけなくなる」

 メディアアーティストの市原えつこ氏は「大学に授業をしに行くと、動画編集やコマ撮りまで、若い子がスマホを使いこなしている。その反面、びっくりするくらいPCの操作がわからないケースもある。情報発信はできているが、メタバースのプラットホームや3DCGを作るとなると、プログラミングでPCが必要になってくるので、そこは格差になっているかもしれない」との見方を示す。

 すでにデジタル通貨・ディバイドは起きていて、キャッシュレス決済によるポイント還元を受けられない、ATMで現金をおろすのに手数料や時間がかかる、電車の切符を買うために券売機に並ぶなどがある。また、厚労省の労働政策審議会が、上限額を100万円として給与を労働者のデジタルマネー口座に入金可能にする「給与のデジタル払い」の案を13日に提示した。

PCR検査のネット予約できない大学生も…若者の “デジタル格差”?「損をするくらいならいいが、インフラにアクセスできないと生きていけなくなる」

 真壁氏は「特にお金に関しては間違いなくデジタル化が進んでいく」とした上で、「政府のホームページはフレンドリーではなくて、使う人の立場で作っていない。わからない、怖いとなると、手を出せずに引っ込めてしまう。それで格差がどんどん広がっていってしまうのは、どこかで阻止しないといけない。損をするくらいならいいが、インフラにアクセスできないとなると生きていけなくなる」と懸念を示した。

■格差拡大の背景に貧富の差 「デジタル庁の課題は大きい」

PCR検査のネット予約できない大学生も…若者の “デジタル格差”?「損をするくらいならいいが、インフラにアクセスできないと生きていけなくなる」

 デジタル・ディバイド拡大の要因の1つとして、貧富の差がある。総務省の調査では、世帯年収200万円未満の家庭ではインターネットの利用率が6割を切っている。

 JETBOOK作戦代表の山内ゆな氏は「私は児童養護施設に住んでいたので、高校2年生まで携帯を持っていなかったし、施設にWi-Fiも通ってなかった。本当にパソコンを使うこともなかったし、自分でバイトをして携帯を買うまで、インターネットに触れる環境がほとんどなかった。友達と話も合わないし、“全然学校楽しくないじゃん”と思う時もあった」と明かす。

PCR検査のネット予約できない大学生も…若者の “デジタル格差”?「損をするくらいならいいが、インフラにアクセスできないと生きていけなくなる」

 ネット掲示板「2ちゃんねる」創設者のひろゆき氏が児童養護施設にパソコンを配布するプロジェクトを行っているが、「配っていただいてもWi-Fiがなくて、結局、職員が仕事用に使ってしまったりして、子どもに回っていないケースもあるのは聞く」という。

 デジタル庁は「誰一人取り残されない、人に優しいデジタル化」を掲げているが、現に取りこぼしている人がいるのではないか。リディラバ代表の安部敏樹氏は「デジタル庁ではエンジニアをそんなに抱えておらず、自分たちでサービスを作るよりも法案を作るほうに時間を割いている。そうすると大きく変わっていかないので、ビジネスサイドもそこにアプローチする理由があまりない。公的な機関がわかりやすいシステムを作って届けないといけないが、ソリューションを役所側が出せなくて、例えば高齢者にわかりやすいアプリを作れるような人がいないという課題は大きい」と指摘する。

 真壁氏は「まったくそのとおりで、ビジネスのスケールに乗るものと乗らないものを明確に分けることがまず必要だ。例えば、これから働く人、若年層であればビジネスベースでいいと思う。“スキルアップして将来の収入を増やそう”というインセンティブが強いので、学ぼうという気がある。一方でシニア層は、一般論としてそういうインセンティブが低い。その違和感、なかなか吸収できない部分をなんとかするためにはビジネスベースではダメで、公的機関でわかりやすいソフトや簡単なソフトを作ってもらう。地方公共団体では講習会をやっていて、50代、60代、70代、ひょっとすると80代の方が出てくる。若い人を好意的に見ているし、褒められて嬉しがってやっている人が多い。そういう機会を国単位で作らないとダメで、デジタル庁がやらなくてどこがやるのか」と訴えた。

■この先「メタバース・ディバイド」も?

 真壁氏によると、この先メタバース・ディバイドによる格差も生じてくるという。「将来的にはSNSで人とつながったようなことがメタバースでも起きるかもしれない。メタバースの世界でしか買えないものが出てきて、親しんでいないと欲しい物が手に入れられなくなる可能性がある」としている。

PCR検査のネット予約できない大学生も…若者の “デジタル格差”?「損をするくらいならいいが、インフラにアクセスできないと生きていけなくなる」

 一方、市原氏は「メタバースの界隈を見ていると、結構な件数の詐欺とか騙される人が出てきている。アーティストだと『NFTをやりませんか?』と来て、相手の会社を調べると反社すれすれだったとか。攻めのデジタルリテラシーも大事だが、変なものに騙されないことも大事だなと思う。最近も暗号通貨の詐欺で女子大生が自殺してしまったケースがあったが、意外と若者が巻き込まれているのが一番心配だ。格差を煽りすぎると、“やんなきゃ”という焦りで飛びついたあげく闇にのまれることもある。その塩梅、正しい情報を改正しながらも煽らない(ことが大事)」と呼びかけた。(『ABEMA Prime』より)

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