「学徒出陣はもうダメだと思った」「食べられなくなったら終わりだ」100歳の元住職が語る“生きる意味”
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 世界一の長寿国、日本。厚労省によると今月15日時点で、100歳以上の高齢者が去年より4016人増えて9万526人となり、52年連続で過去最多を記録した。将来的には2007年に生まれた子どものおよそ半数が107歳より長く生きる研究結果(※推計)もあり、人生100年時代はより加速していきそうだ。

【映像】特攻隊に配属された当時の三田村鳳治さん(画像あり)

「100歳になって、総理大臣のお祝いと銀杯をいただいた。去年の9月15日だ」

 こう語るのは、三田村鳳治氏、100歳。長くお寺の住職を務め、現在も幼稚園の理事として子どもたちと触れ合っている。第2次世界大戦中に特攻隊員となり出撃直前に終戦を迎えた経験や70年前にJR東逗子駅開業に奔走した経験を地元の小学生にオンライン授業で伝えるなど、100歳にして多忙な日々を過ごしている。

 密度の濃い100年人生を送ってきた三田村氏だが、特に印象深い思い出として挙げるのは「学徒出」だ。

「大学は半年繰り上げで卒業した。専門部を出て、文学部へ行ったら毎日訓練ばかり。とうとう最後に学徒出陣だ。忘れもしない昭和18年の10月21日。明治神宮外苑で雨の中で、鉄砲を担いでいた。もうダメだと思った」

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 特攻隊に所属し、出撃の可能性もあった三田村氏。当時、20代で人生の幕を閉じるかもしれないという意識はあったのか。

「もちろん。だってみんな、死んでいっちゃうんだもの。生きていちゃいけないんだよ。航空隊は転々と行くわけだ。だから最初は三重県の北伊勢飛行場にいた。その次に、宮崎県の都城。あそこで特攻になった。それから、集められて、とうとう鹿児島・知覧に行った」

 三田村氏が一番楽しかったと話すのは学生時代だ。

「学生は兵隊に行かなくて良かった。お金はなかったが、自由に本が読めた」

 過去に肺炎を経験し、「一度は死を宣告された」と話す三田村氏。妻は23年前に亡くなった。

「まだまだ戦友のためにやることがある。僕だって本当は死んでいたわけだ。それでも生きている。お経を上げ続ける。曽孫は来年、高校生だ。曽孫が東大に入るまで生きる」

 趣味は読書やスマートフォン・iPad。日課は読経、兵隊歩き(手を大きく振って膝を上げる運動)だという。メールもお手の物で「今はスマホに昔の写真を入れている。今の世の中、長く生きていると、いろいろな物が使えていい」と微笑む。

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 長寿の人に何か共通点はあるのだろうか。桜美林大学名誉教授・医学博士の柴田博氏は「長寿の方は動物性タンパク質の摂取が多い」と話す。

「今は9万人を超えているが、50年前の1972年、100歳の人は全国で405人しかいなかった。それで我々はそのうちの117人を一軒一軒訪ねて歩いた。そのとき、非常に目立った特徴は一般の国民の平均と比べて、タンパク質の割合が非常に多かった。特に肉や魚、卵といった動物性のタンパク質だ。あとは果物や野菜も好きで、まんべんなく食べるのが印象的だった」

 肉食によって日本人の寿命が伸びているのだろうか。

「昔の日本は全員ベジタリアンみたいなもので、お米と大豆と漬物しか食べていない。その時代は平均寿命が今の半分ぐらいだ。バランスももちろん大切だが、動物性タンパク質の摂取が増えてきたことで、寿命が延びてきたといえる」

 前述の三田村氏も「お腹が空く。食べる量は、周りの人より多いと思う。僕は昔からウナギが好きだから蒲焼きをよく食べる。今は老人ホームにいて、出る物はみんな食べている。食べられなくなったら終わりだ。このあいだ、僕と同い年の女の人が亡くなったが、やはり聞いたら食べられなくなっていた。だから食べることは大事だ。あとは歩くことだ」と話す。飲酒については「好きだけど、今は飲ませてくれない(笑)。タバコは軍隊で覚えて、ずいぶん吸った。ナイトクラブに行ったときに、彼女から『タバコはやめたほうがいい』と言われてライターを取られて、50歳のときにやめた。やめてよかった」と振り返った。

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「学校の子どもにオンラインで戦争の話をすると、いろいろな感想が来る。それを読むと『やっぱり子どもはいいな』と思う。子どものうちからこういうことをさせなくちゃダメだ。テレビに出たら電話がかかってくるし、知らない人から葉書が来る。ありがたいものだ」

 周りが亡くなっていく現実について、どのように受け止めているのか。

「今日もお寺に行って、お参りをしてきた。平和塔に戦友の名前が書いてある。戦友はみんな亡くなったから、僕はその分だけ生きていようと思っている」

(「ABEMA Prime」より)

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