自民党内「遺憾と言うだけではダメだ」北朝鮮ミサイル“Jアラート”で混乱も…防衛体制に相次ぐ懸念
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 4日朝、北朝鮮から弾道ミサイルが発射された。飛距離は約4600キロ、最高高度約1000キロの中距離以上弾道ミサイルとみられている。

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 同日7時27分には「Jアラート」が出され、約30分後には松野官房長官や浜田防衛大臣が官邸に入り、8時20分頃には岸田総理も官邸に入った。

 政府内では、どのような動きがあったのだろうか。テレビ朝日・政治部の車田慶介記者は、こう話す。

「ミサイルは日本の上空を通過した後、太平洋へ落下したとみられています。これまでミサイルは、短距離だったとみられ、官邸の対応はなく、防衛省による対応だけでした。しかし、今回は日本上空を通過したとみられ、官邸の動きも早かったです。私は別の取材で永田町にいたのですが、Jアラートがなって慌てて防衛省に戻りました」(以下、車田記者)

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 短期間に繰り返しミサイルを発射する北朝鮮。政府は厳しく非難をしているが、何か他に策はないのだろうか。

「今に始まったことではありませんが、北朝鮮がミサイルを打つたびに、特に自民党内から『遺憾だと言うだけではダメだ』という意見が出ています。そういった経緯もあり、政府内では『敵のミサイル発射拠点などの攻撃する敵基地攻撃能力を保有するべきだ』という声が強いです。一方で、防衛省関係者は『守りはコストがかかりすぎる。やはり抑止力のために打撃力が必要だ』と話しています。敵基地への攻撃能力については、これまでも政府与党内でも『保有するべき』という意見があり、今回を機にさらにそういう意見が強くなるでしょう

 今回の弾道ミサイル発射を受け、政府は韓国やアメリカとどのような連携をとっているのだろうか。また、現状の日本の防衛体制はどのようになっているのだろうか。

「ミサイル発射から数時間後には、林外務大臣がアメリカのブリンケン国務長官、韓国の朴外相と立て続けに電話会談を行い、連携強化を確認しています。現状の防衛体制ですが、日本では、人工衛星、イージス艦、地上配備レーダーの主に3つがあり、ミサイルが発射されると宇宙から監視している人工衛星が熱源などから、ミサイル発射を探知します」

 ミサイル発射探知後、日本海のイージス艦に搭載されたレーダーや、地上に配備された警戒管制レーダーによって落下地点が予測されるという。もし日本の領域内にミサイルが落下した場合、戦争になってしまうのだろうか。

「北朝鮮のミサイル実験は、基本的にアメリカへの交渉のために行っていて、今回、発射されたミサイルも、グアムやハワイが射程に収まっています。開発を進めているICBM(大陸間弾道ミサイル)も、アメリカ本土に届くように長射程化を進めています。そもそも日本へのミサイル落下を目的にしておらず、もし落としてしまえば、それこそ同盟国であるアメリカも含めて実戦になってしまいます。そうなると、北朝鮮という国自体がなくなる可能性もありますので、実際に日本へのミサイル落下や戦争開始は考えにくいです」

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 また、今回の「Jアラート」ではシステム上の不具合により、発令すべき北海道および青森県に加えて、注意が必要でない「東京都の島しょ部の9町村」に対しても発令された。

「領域内に落下しないといっても、ミサイルの部品などが落下してくる可能性はあります。4日、自民党本部で行われた国防部会に出席した石破茂議員からは『ミサイル落下の恐れがないところにJアラートが出るのは、どういうことなのか』といった指摘がありました。さらに『北朝鮮から日本までだいたい7~8分で到達するわけだから、2分後くらいには警報が出ていないとおかしい。どの時点でどのあたりを飛ぶかは何年も前から計算している。今回の件は理解できない』と厳しい意見を寄せました」

 同日は5年ぶりのJアラート発令となり、国民には動揺が広がったが、中にはJアラートが鳴らないなど、機能しなかったという人もいる。

「政府内からは『もっと早くJアラートを出せないのか』という意見が出ています。ただ、これに関しては技術的な難しさがあります。政府関係者によると、ミサイルが発射されてから、ある程度の発射角度がわからないと正確な場所を計算するのは難しいそうです。今回も最初にJアラートが出された段階では、角度が正確に把握できていなかったのではないでしょうか」

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 国民の安全に直結するミサイル問題。政府の対応に注目が集まっているが、車田記者によると「すべてを迎撃するのは難しい」といった声が政府関係者から上がっているという。

「特に北朝鮮は、迎撃を困難にする変則軌道ミサイルの開発を進めています。ですから『ミサイル防衛は防衛省に任せる』といった発想ではなく、他省庁や自治体などと一緒になって、議論を深めていく必要があると思います」

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