旧統一教会と自民議員が“政策協定” 岸田総理「政策に影響ない」で袋小路に? 若新雄純氏「“内容は問題ない。相手が悪かった”と言えばよかったのでは?」
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 20日に持ち上がった、一部の自民党議員と旧統一教会世界平和統一家庭連合)との間で「政策協定」を結んでいたのではないか、という新たな疑惑。

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 政策協定とは、団体などが政党や政治家に対し支援を行う見返りに、政策に賛同してもらう約束のこと。政治の世界ではごく当たり前のことだが、相手は様々な問題が指摘される旧統一教会。岸田総理はまず、「確認する必要がある」「実態把握に努めたい」と答弁した。

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 しかしその後、自民党の斎藤洋明衆議院議員が、旧統一教会側から複数の政策への賛同を求める推薦確認書を提示され、署名したと明らかにした。各報道メディアの取材に答えた斎藤氏は「私は一種の政策協定だと理解していた」と回答。旧統一教会側も「関連団体が行っていたと聞いたことがある」と答えた。午後になると、岸田総理は「自民党の政策に影響があったということは、私はなかったと思っている」と答弁した。

 今国会、旧統一教会をめぐる問題で追及を受ける岸田総理。支持率が低迷する中、この問題をどう解決するのか、そしてその胸中は。

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 国会議員秘書などを歴任した政治家コンサルタント、通称「勝たせ屋」の鈴鹿久美子氏は、今回の疑惑について、「陳情や要望書を事務所が受けたり、いろいろなお願いを聞くのは議員の仕事だ。ポイントは、選挙の時にまとまった票なり、“有利なことをしてあげるからこれを聞いて”ということが出てくるか。議員がサインした以上は、その政策を表現していく必要がある」とコメント。

 ABEMA NEWS政治担当の今野忍記者は「今回特殊なのが、旧統一教会側の人たちが自民党と結びつきを作ろうとしたのではないかということ。推薦確認書の内容を見ると、憲法改正や安全保障体制の強化など、すべて自民党がやろうとしている政策だ。あえて“これならサインしやすいだろう”という踏み絵を与えている。今後、問題になっていくとしたら、『LGBT』と『こども家庭庁』の2つ。LGBTの法案は自民党の中にも賛成している人がいっぱいいるし、それ以外の政党はみな賛成だ。しかし、自民党の一部の人たちが反対したので一向に進んでいない。同性婚や選択的夫婦別姓への反対、これらの部分に影響がなかったかどうかが問われてくるのではないか」との考えを述べる。

 一方、ジャーナリストの佐々木俊尚氏は「政治家はいろいろな民意をすくい上げて、政策実行につなげていく仕事。その中に宗教団体が入っていても何らおかしくはない。確かに、自民党の保守系の議員が言っていることと全く同じ内容なので、乗りやすい提案をしたというのは想像がつく。だからといって、“統一教会が悪だから”“悪の団体が提案したことに署名したことはけしからん”とやってしまうと、民主主義の根底自体が揺らいでしまう」と懸念を示した。

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 プロデューサーで慶応義塾大学特任准教授の若新雄純氏は「内容に関して自民党が『うん』と言える内容だったということは、岸田さんがズバッと『政策協定の内容自体は全く問題ない。ただ、協定した相手がダメだった。今後は付き合う相手に気をつける』と言えばよかったのではないか。この是々非々の答弁がなかなかできないところがモヤッとする」と投げかける。

 これに今野記者は「やはり総理としては苦しいわけだ。『統一教会は政策に影響を及ぼしていない』とずっと言ってきてしまったから。そして今度、政策協定を結んでいたのに『影響がない』と言ってしまうと、労働組合や建設などの業界団体、他にもあまたの団体とも結んでいるわけで、次の選挙では誰もやらなくなってしまう。だからといって、『一定の影響があった』と言ってしまえばこれまでの発言をひっくり返してしまうことになり、『もう1回調査をやり直せ』となる。どっちにも言えない袋小路に入ってしまっている」と指摘。

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 鈴鹿氏は「宗教の教義ではなくて、“宗教団体はこういうことをしたらダメだ”という基準が明確にないためにごちゃごちゃしてしまうのだと思う。フランスの反カルト法では10個の基準があって、『政権与党への意図的な浸透を企てたらカルトにあたる』と決まっている。宗教の良い・悪いではなくて、基準に当てはまるからこの団体はダメだという判断がしやすい。それを議論しようとしないところが、岸田さんの足元がぐらぐらきている大きな原因だと思っている」との見方を示した。

 政策協定は他の宗教団体でもあり得ることだ。『宗教問題』編集長の小川寛大氏によると、「全日本仏教界」は東日本大震災を機に「原発依存を減らす」と宣言し、参院選で自民党議員らと政策協定を結んだ。その他、神社本庁や立正佼成会が政策協定を結ぶケースもあるという。

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 若新氏は、旧統一教会をめぐる霊感商法や多額の献金が問題の根本だとし、「宗教と政治ではなく、宗教とカネの話だと思う。旧統一教会が自民党に影響を直接与えたというよりは、自分たちの集金のために影響力を使おうとしたと。僕も一応坊さんで、何をやるにもお金を払わなければいけないが、取り立てはあまり厳しくない。お金で不幸にしてしまわないよう、“余裕があったら払いましょう”という感じで、寄付も自由なわけだ。ところが、旧統一教会はそれを踏み込んで、これくらいは必ず払わなければいけないとか、家族が破綻に追い込まれるようなことをした。カネのために政治が使われたということが肝なのかなと思う」と述べた。

 では、袋小路に追い込まれた岸田総理。今野記者は「某野党議員と電話で話したら、『非常に総理は元気がない』と。ペンを回してイライラしたり、歩く足取りもよちよちしていたり。3カ月前には参議院選挙で大勝、去年は衆議院選挙も勝って、次の選挙まで好き勝手できる“黄金の3年間”と言われていたのとは雲泥の差だ。夏休みぐらいに総理と話す機会があったが、『統一教会の問題がここまで大きくなるとは思っていなかった』と。権力者の総理が本当に大きく局面を変えられるのは、解散総選挙をやるか、内閣改造を断行して人事を一新するか。今回、選挙はやったばかりなので人事で乗り切ろうとしたが、山際大臣のように次から次へと関係が出てきた」と説明する。

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 鈴鹿氏は「岸田さんは、今注目を集めていること、今支持率が落ちないだろうことを小さく小さく言っていくことで結果、足元が揺らいでいるんだと思う。そのために息子さんを慌てて官邸に入れて、経験をさせておこうと思ったのではないか」と言及した。(『ABEMA Prime』より)

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