10月23日、福岡・マリンメッセ福岡で行われた『RIZIN.39』に宇佐美正パトリックが初参戦。75kg契約で元修斗環太平洋ウェルター級王者の佐々木信治と対戦した。
宇佐美は高校時代にボクシングで国体、インターハイ、全国選抜でそれぞれ2度優勝し高校6冠を達成。18年8月のAIBA世界ユース選手権では銅メダルを獲得し、極真空手の経験もあるボクシングベースのストライカー。
ボクシングで東京オリンピック出場の夢が絶たれたあと、2021年にLDH martial artsの所属選手契約をかけたLDH主催のオーディション「FIGHTER BATTLE AUDITION」に参加すると、見事に勝ち抜き所属選手契約を勝ち取る。その模様がABEMAの『格闘DREAMERS』で放送され、早くから注目を集めていた期待の新星だ。
プロMMAデビュー後はプロ修斗、VTJなどで4勝1敗の戦績を残し、今年6月にはUFC参戦を賭けたトーナメント「ROAD TO UFC」にエントリーしていたものの減量中に脱水症状を起こしたため無念の欠場。10月1日にはLDH martial artsを離れフリーとなって、心機一転、今回RIZIN初参戦をはたした。
対する元修斗環太平洋ウェルター級王者の佐々木は、修斗、DEEP、韓国のROAD FCなどで活躍した42歳のベテラン。2018年5月のバオ・インカン戦で右手中手骨、眼窩底、上顎、頬、鼻と10箇所以上を骨折する重傷を負い長期欠場となったが、4度の全身麻酔手術を乗り越えて2021年2月、約3年ぶりに復帰。植田豊を破りGLADIATORライト級暫定王座を獲得し、その後、21年12月の修斗・闘裸男でも勝利し現在2連勝中。今回は『RIZIN.1』以来約6年半ぶりのRIZIN参戦となる。
試合は1R、ローキックを放ち打撃でプレッシャーをかけようとする宇佐美に対し、佐々木が左フックを放ちながら一気に距離を詰めてボディロックからテイクダウン。サイドポジションで押さえ込むと一気にマウント奪取。体を密着させてパウンド、エルボーで削っていく。そこから腕十字も狙いにいくが、宇佐美が防御してゴング。1Rは完全に佐々木がペースを握った。
2R、組みを警戒する宇佐美は距離を取りながらジャブ、カーフキックで牽制。佐々木は再三のタックルフェイントから、残り1分で両足タックルを仕掛けて組みつくことに成功するが、宇佐美はこれを脱出。組みでやや体力を使った佐々木をコーナーに追い詰めると、ボディブロー、左フック、ローキックをまとめて2ラウンド終了。
勝負の3R、ジャブを放ちながら組みつくチャンスを狙う佐々木に対し、宇佐美はカウンターの右狙い。そして宇佐美はプレッシャーを強めて左ボディ、左フックを効かせると、右ストレートを放ち佐々木がダウン。そのままパウンドを叩き込みレフェリーがストップ。宇佐美正パトリックが見事に逆転のTKO勝ちでRIZIN初陣を飾った。
試合後、リング上でマイクを握ると「本当に今までいろいろありすぎて、本当に濃い半年間で、家族と友達とサポートしてもらっている人に助けられてこの舞台に立てました。本当にありがとうございます」と、涙ながらに感謝の言葉を述べた宇佐美。
そして「これから有言実行しようと思っているんで、大晦日も強い相手とやりたいので、榊原(信行=RIZIN CEO)さんぜひお願いします。マジでこれからデカくなるんで、皆さんついてきてください!」と、大晦日での大一番をアピールした上で、さらなる飛躍を誓った。