東大生のサービス
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 コロナ禍の2年。教育現場ではオンライン授業が普及する一方で、課題も浮かび上がっている。

【映像】オンライン授業を主体的に 東大生のサービスが話題

 文部科学省が去年、大学生を対象に行ったアンケートでは、オンライン授業に対し満足度は高いものの「友人と一緒に受けられず寂しい」「質問や相互のやりとりが少ない」といった声が上がった。そんななか、大学生が始めたサービスが話題となっている。

「他の受講生がどういう状況かも分からなければ、他の受講生と話す機会も少なくて、やっぱりコミュニケーションが取りづらいってのは、オンライン授業を受けて凄い感じていたことだったので」

 こう話すのは、東京大学4年生の中條麟太郎さん。中條さんは2020年の春、コロナ禍で一斉に始まった大学のオンライン授業の環境整備を行う取り組みに学生側として参加。

 学生と教員、双方から意見を聞くことでオンラインならでの難しさ、そして良さが浮かんできた。

東京大学4年生の中條麟太郎さん
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「『学生がどう反応しているか分からない』や『学生の顔が見えない』『双方向的な授業をしている感覚になりにくい』などが、教員としては難しいところだと。ただ一方で、オンラインだとチャット機能があるので、文字を使ったインタラクション(やりとり)は対面よりもしやすくなっていて」

 こうしたメリット・デメリットを基に、中條さんが去年東京大学大学院の吉田塁准教授とともに開発したのが、『LearnWizOne』というサービス。

 ユーザーが投稿した議題に他の参加者が回答する形で意見交換をできるツールで、参加者の主体性を引き出すとともに、他の人の意見に“いいね”をしていくことで、より良い意見が集約されていく。

「対面でのディスカッションは、ちょっと勇気が要る。『意見がある人?』と言って、みんなが積極的に手をあげられるかというと、わからないところもあったり。自分の意見を考えて、ツール上に送信して他の人の投稿を見ながらコメントを付けていって。それで最後にクラス全体でいい意見を共有するという。みんながちゃんと積極的に学んでいる状況を作れる」

オンライン授業で「コミュニケーション」の難しさ…壊すため東大生が始めたサービスが話題 開発者「積極的に学んでいる状況を作れる」
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 当初は大学の授業での使用を想定していたが、現在は中学や高校の授業、イベントや会社の会議などでも使われるようになった。オンラインでの意見交換は学年の壁も簡単に超えられるという。

「中1と中3で、全然違うクラスでこのツールで意見交換をしてもらって、中学1年生なりの視点、中学3年生なりの視点をお互いに交換し合いながら、新しい学びが沢山生まれたという。時間とか空間を超えた意見交換は、オンラインツールでなくてはできないものなのかなと」

 オンライン化が進んだことで、対面だけでは出来なかった交流も生まれたという中條さん。しかし、一方で大事なのはリアルとデジタルの両輪だという。

「授業が終わったあとに、例えば一緒に帰ることで生まれたコミュニケーションとか、何気ないコミュニケーションがオンラインだとどうしても損なわれてしまう。学生間での親睦を深める必要があるところ、あるいは教員と学生の信頼関係を作る必要があるというのは、きちんと対面での授業をしながら、ただオンラインでもちゃんと学べる環境を作っていくという。いいとこどりをしながらっていうのは、新しい教育の形になっていくのでは」

 ことし、中條さんはサービスをより発展させるために起業。経済産業省傘下のIPA・情報処理推進機構の支援事業に採択されるなど、その取り組みは中條さんたちの想像を超えて広がっている。

「オンラインだからこそ実現できる新しい意見交換、そのよりよい意見交換っていうのを、まず幅広い人に知ってもらって。さらに教育に留まらず、そこで作られた知見っていうのを社会に還元して、自分たちが作ったツールを用いてよりよい社会が出来たらな」

(『ABEMAヒルズ』より)

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