運動会のスマホ撮影NG&上半身裸の組体操に賛否 伝統はどこまで? EXIT兼近「“社会に出た時にどうなるか”で考えたほうがいい」
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 学校行事「運動会」を巡り、今さまざまな問題が巻き起こっている。例えば、スマホで撮影禁止。子どもの思い出を撮影したい気持ちはもちろんだが、スマホで撮った写真や動画SNSに投稿する人が増加。都内では、プライバシー保護のためスマホやケータイでの撮影を禁止する学校も出るまでに。

【映像】上半身裸の組体操に「時代錯誤」の声

 そして、もう1つ大きな話題となったのが、上半身裸での体操。福岡県内の高校では、男子生徒のみ上半身裸で行う体操種目が伝統的に残っているのだ。地元新聞が「時代錯誤だからやめてほしい」という現役生徒の声を紹介したところ、議論が紛糾した。

 実際、中学校時代に上半身裸の組体操を強いられたというショウさん(18)は、「肌が強くなくて、皮膚とかをあんまり見せたくない。上半身裸になるとそれを大勢の方に見られるような状態だったので辛かった」と話す。

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 全体練習の参加を拒否すると、「放課後、担任と学年主任、あと体育科主任の先生から説得というかたちで、“この種目は元から全男子生徒が参加する種目であるから、参加しないというのは基本的にはない”と。雰囲気としては圧力をかけてくるような状況だったと記憶している」。

 結果、強制参加させられ、3年間を過ごした。ショウさんは「時代錯誤だなと思っていた。体育祭のおかげで学べたというものは、特にあまり印象には残っていない」と語った。

 教育研究家でライフ&ワーク代表理事の妹尾昌俊氏は、「“伝統だから”というのが、ともすれば思考停止になってしまっている。運動会は誰のためのものなのか。子どもたちのためになるものにアップデートしていくのが必要ではないか」と指摘する。

 伝統を守りつつ、どうアップデートすべきなのか。3日の『ABEMA Prime』は専門家を交え議論した。

■運動会のスマホ撮影禁止 学校側も対応に苦慮?

 運動会の撮影禁止について、湘南学園学園長の住田昌治氏は「まずSNSにアップすることは非常に危険度が高くて、“この学校にいる”ということがわかると困る子は増えてきている。そもそも学校の立場としては、カメラやスマートフォンで撮るよりも、直接拍手して子どもを応援してほしい」と話す。

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 妹尾氏は「僕も保護者として撮影したい気持ちはよくわかるし、実際にスマホで撮影している。学校は『アップしないで』と言っているのにアップしちゃう保護者がいて、それで苦慮しているのだと思う。また、スマホの持ち込みや撮影が禁止だと言っても、デジカメだって後日アップできるので、なかなか徹底できない。保護者のマナーやモラルに依存せざるを得ないところがあって悩ましい」と説明。

 東洋経済新報社・会社四季報センター長の山田俊浩氏は「うちも運動会があったが、今はコロナ禍で、保護者の入場は1人だけに限っている。ただ、“ご家族にも見せたいだろうから動画とかをいい位置で撮ってください”ということで、みんな撮影している。もちろんSNSへのアップは禁止なので誰もやっていないし、あがっていたら検索して通報される。そのぐらい厳重にルールを守っていれば大丈夫だと思う」と自身の経験から語る。

■上半身裸の組体操…「子どもを見世物にする場所ではないはずだ」

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 男子生徒の上半身裸の組体操について、妹尾氏は珍しい例だとした上で、「コロナの前までも事故がたくさんあって、『危険だ』と言われながらも、団結力や感動を呼ぶということで『やりたい』という学校や保護者の方もいらっしゃったのは確かだ。運動会や体育祭は子どもを見世物にする場所ではないはずだ。いつのまにか保護者の期待や“昨年並みの盛り上がりは見せないと”みたいな学校側のプレッシャーにもなって、ちょっとおかしな方向に行っているのではないか」と疑問を呈する。

 住田氏によると「中学校と高校の先生に聞くと、団結と多様性の間で非常に苦しんでいる」そうで、「教育は今、多様性を求めると言いつつ、画一的にみんなでやらなければというところがある。私が知っている限りでは、上半身裸で組体操や騎馬戦をやっている学校はまだたくさんあるように思う。伝統は大事だが、悪しき伝統はちゃんと磨いて、もっといい形で続けていく方向にする必要はあると思う」との見方を示した。

■EXIT兼近「“社会に出た時にどうなるか”で考えたほうがいい」

 そもそも、「運動会」の目的は何なのか。学習指導要領によると、「全校又は学年の児童で協力し、よりよい学校生活を築くために体験的な活動を通して集団への所属感や連帯感を深め、公共の精神を養いながら資質・能力を育成することを目指す」としている。

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 住田氏は「よく『みんな楽しみにしている』『待ちに待った』という表現をするが、一体誰が待っているのかという、そこからもう一回前提を見直した方がいいと思う。みんなが楽しい運動会を作っていくのであれば、決められたことを決められたとおりにやるのではなくて、もっと選択の余地や自分たちで決めていけるようにやっていく必要がある。実はコロナ禍でそれを実現している学校があって、みんなが集まってできない状態の中で、子どもたちが工夫し始めた。すごく創造的な運動会が今、できつつあるかなと期待できる部分はある」と話す。

 妹尾氏は「学習指導要領でも『絶対やりなさい』とは書いていない。体育的行事ということで、スポーツや運動に親しみましょうとか、体力向上が狙いでやってもいいよということなので、やるかやらないかも含めて本当は選択肢がある。住田さんがおっしゃるように、例えば、先生が用意した台本を読ませるような参加の仕方ではなくて、企画の段階から運動会が必要かどうかをディベートしてもいい。やるんだったらこんなプログラムをやろうとか、じゃあこれは選択制にしよう、足の速い人はこれに出たらいいけれども苦手なやつはこっちにしようといった話し合いもできる学びの場になるかなと思う」と賛同した。

 EXITのりんたろー。は「僕らの時代は当たり前が当たり前過ぎて、疑う余地もなかった。何か言えば手をあげられていた、怒鳴られていた時代だ。今は当たり前を疑ってもよくて、、ちょっと立ち止まってみんなで考えられるようになってきた時代。そうすると、“あの時しんどい思いをしていた子っていたよね”とか、お父さんやお母さんがいない子はお弁当の時間にしんどい思いをしていたかもしれない。時代も変わって、参加したいものが選べることも考えられていくのかもしれない」とコメント。

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 相方の兼近大樹は「学校によって伝統やルールは違うと思う。やっぱり“社会に出た時にどうなるか”で考えたほうがいいと思っていて、会社にも納得のいかないルールがある中で、声をあげられる人間なのか、溶け込めるのか。学校側も声があった時に対応を考える必要があって、伝統として残すのであれば“嫌な人はどうして嫌なのか”を考えて、受け入れる。それをやっていけば、伝統を残しつつ、嫌な人は社会に出ても『嫌だ』と言えるだろう。『やめよう』じゃなくて、みんなが柔軟になれればいいと思う」との考えを述べた。(『ABEMA Prime』より)

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