ITを学ぶことで社会復帰の可能性を広げる、少年院での支援の取り組みが始まっている。
「東北少年院では、さまざまな職業訓練をやっていて、非常に実績も豊富にある。聞いたところIT関係というのはほとんどやっていないと。WordやExcelとかは少しはやることはあるらしいが、コンピューター言語というのはやったことがないと」
こう話すのは、非行少年の社会復帰を支援するNPO法人「クラージュ」理事長の田路至弘弁護士。これまで、戻る家のない少年たちに、住む家の確保と就職の支援活動などを行ってきた。
時代のニーズに合った技術を身につけられるようにと、IT技術や著作権に関する講座を3日間に渡って実施。少年たちは初歩的な知識を学びながら実際にホームページの製作にも挑戦した。
短い期間でHTMLやCSSなどサイト制作に必要な言語を使いこなし、ページを作り上げてしまう様子を見た東北少年院の山本宏一院長は、今回の講座を通して大きな可能性を感じたと話す。
「私が後ろで見てて、ちょっと分からないなというところも、あっという間に、理解して進んでいくのでやっぱり生まれながらのITの世代なんだなということを実感した。だからこそ、このウェブの講座が少年たちにとっては一つ大きな財産になるんじゃないかなと実感をした」
今後は、期間や内容なども含め、継続的な講座の実施に向け検討を進めているという。
「少年院を出た後の少年たちがよく失敗するパターンとして、一つの仕事が上手くいかなかったら、『もう自分はダメだ』と諦めて、また非行に走ってしまうようなケースが割と多いのだが、今回のように建設の仕事の資格にプラスして、ウェブの作成とかITの関係の知識もあれば、きっと出院後の進路選択の幅がこれまでよりも圧倒的に広がる」
今回の講座は、他の少年院の教官も見学に訪れ、「ぜひうちでもやってみたい」という声も上がっているという。クラージュの田路理事長は、少年院での新たな取り組みに確かな手応えを感じている。
「楽しめたっていうこともあると思うし、達成感があって自信につながった、一生懸命やれば出来るんだというような気持ちを持ってもらえたんじゃないかな」
(『ABEMAヒルズ』より)