大山加奈さんの双子ベビーカー“乗車拒否”体験談「読んだら涙が出てきてしまった」「バスに乗る選択肢が出てこない」 当事者の訴え
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 「双子ベビーカーでのバス利用。バス停でバスが来るのを待ち、後ろのドアから乗り込もうとしたら…なんとドアを開けてもらえませんでした」

 バレーボール元日本代表の大山加奈さんがブログにつづった“乗車拒否”の体験談。次のバスはドアを開けてくれたが、1人で乗せるのが難しい状況にもかかわらず、運転手はスルー。1人で持ち上げて乗せた大山さんは「悲しくて悔しくて……色々な感情が込み上げてきて涙腺崩壊」と投稿した。

【映像】「思い出すとまた涙が…」大山さんの投稿

 双子用ベビーカーについては2018年、都営バスが双子用ベビーカーを押した母親の乗車を拒否したことが問題に。東京都は去年、ルールを改定し、双子用ベビーカーについて、折りたたまずに乗車できるようにした。

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 東京都交通局は今回の件について、「1台目は大山さんがバス停の陰にいたために気づかず発車してしまった」「2台目は周りの方が手伝っていたため運転手は手伝わなかった。ただ補助席を跳ね上げる行為に関しては怠ってしまった」とし、2台目について対応が不十分だったと謝罪。その上で補助が必要な場合は運転手に声をかけてほしいとしている。

 子育てにやさしい社会づくりには何が必要なのか。10日の『ABEMA Prime』は三つ子の父親、双子の母親とともに考えた。

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 8カ月の双子を育てる母親・サトウさん(仮名)。大山さんと同じ横型のベビーカーを使っているといい、「何回かバスに乗ったが、やはり難しいと感じる場面が多くあった。今は夫が育休中なので、バスには必ず2人で乗るようにしている。通学や通勤と被らないように、混まない時間帯を選んでいるが、混んでいる場合には何台も見送って、結局諦めて帰ったこともある。乗れた時は1人が前から乗り、『後ろのドアを開けてほしい』とお願いしている」と話す。

 大山さんのメッセージについては「読んでいて本当に涙が出てきてしまって。双子は本当に出かけるまでの準備も大変で、やっとの思いで出ていく。目的地に着くまでの移動の段階でそうなると、心が折れてしまうとすごく共感した。公共交通機関では、困っている人がいたら助けてあげてほしいし、誰でも乗れるようになってほしい」と訴えた。

 三つ子の父親・桑城建吾氏は「大山さんの気持ちはすごく理解ができるが、僕の状況下ではバスに乗るという選択肢が出てこないのが現実だ。都内だとノンステップバスが通っているが、乗り込む時にワンステップある。そこで双子用のベビーカーや抱っこひもをしながら乗車するのは難しいと感じる」と説明。

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 「田端大学」塾長の田端信太郎氏は「はっきりさせたほうがいいのは、双子や三つ子のベビーカーの乗車が困難な時に手伝うことを、親切ではなく義務として認めるか。義務にするなら、『たとえ運行が遅れたとしても手伝うんです』と言うのかということだ」と指摘する。

 サトウさんは「家から駅まで徒歩30分あるためバスに乗る場面が多く、乗れたらいいなと思っている。双子だけではなく1人用のベビーカーで同じ気持ちの方も多いと思うので、ルールを示していただけたらいいなと思う」と述べた。

 赤ちゃんの存在に対して、「集合住宅で赤ちゃんの泣き声を『虐待』と疑う通報や苦情」「赤ちゃんと一緒に新幹線の座席に座ったら、隣に座っていた人が『ハズレ』とつぶやき立ち去った」など、否定的にみられる社会がある。

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 桑城氏は「幸い嫌な思いをしたことはないが、いろいろと話を聞く中で今後そういうことがあるのだろうと。子どもが3人できたとわかった時にある程度の覚悟を決めた。先ほどルールの話があったが、決まりがあると僕らもやりやすくなる。例えば、山手線は1車両に必ず1カ所、車いすやベビーカー専用のエリアがあって、こちらも使いやすい。そういう所がもうちょっと増えていく社会になれば、育児もしやすくなると思う」との考えを示す。

 サトウさんは「子どもが嫌いとかうるさいと思う方ももちろんいると思うが、ちょっとだけでいいので想像力を持ってほしいと思っている。双子だからとか子連れだからではなく、“困っている人がいたら助けてあげよう”という想像力があるだけで、優しい世界になるのではないか。皆さんにそういうことを考える余裕があればいいのかなと思う」と述べた。(『ABEMA Prime』より)
 

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