女子ボクシング、テンプル打ち抜かれ瞬間機能停止 衝撃KOが一転、無効試合の波乱 リング上で酸素吸入の応急処置も
【画像】一撃で“機能停止”に追い込んだテンプル打
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 女子ボクシングのタイトルマッチで、見事な右ストレートでテンプルを打ち抜き、完全に脳を揺らして機能停止のダウンを奪うも、勢い余ってダウン後の相手に右フックを振るってしまうアクシデントが発生。立ち上がれず、リング上に座ったまま酸素吸入の応急処置が施される光景に誰もが王者のKO防衛を確信するも、直後に行われた相手の猛抗議によって一転、反則が認められ試合はノーコンテストとなる波乱があった。

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 日本時間11月14日にドバイ(UAE)のコカ・コーラ・アリーナで行われた『GLOBAL TITANS』。第2試合で行われたデルフィーヌ・ペルスーンとイクラム・ケルワットのWBC世界女子シルバー スーパーフェザー級タイトルマッチ(2分・10R)は1R、開始50秒で王者が挑戦者のテンプルを打ち抜いてダウンを奪うも、直後の右フックが反則判定となり無効試合に終わった。

女子ボクシング、テンプル打ち抜かれ瞬間機能停止 衝撃KOが一転、無効試合の波乱 リング上で酸素吸入の応急処置も
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 WBCシルバースーパーフェザー級王者のペルスーン(ベルギー)は47勝3敗(19KO)。2015年にはベルギーのスポーツマンオブザイヤーを受賞した選手。対する38歳のケルワットは11勝3敗(5KO)、WBCインターナショナルライト級王座を戴冠した実力者でもある。女子ながらKO率が高い両者の注目の一戦だ。

 試合開始から、身長175センチの長身を生かした王者が左のジャブから打ち下ろし気味の右を振っていく。その迫力にABEMAで解説を務めた元WBA世界ミドル級王者の竹原慎二は「ジャブというか、左ストレート」とその威力に着目する。

 一方、コンビネーションで対抗しようとするケルワットだが、同じリーチの王者を相手に苦戦。飛び込もうとするも、的確で力のある左ジャブを受け、なかなか思うように距離を詰めることができない。すると開始50秒、劇的な幕切れが訪れる。

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 左右のパンチでケルワットをコーナーに詰めたペルスーンが、渾身の左右のワンツー。右ストレートがケルワットの左テンプルを打ち抜くと、脳を揺らされたケルワットの体は一時、制御不能に。体を小刻みに揺らした後、前のめりに崩れ落ちて両手をマットについた。その後、カウントは7まで進んだが、立ち上がろうとしたケルワットが今度はうつ伏せ大の字で再びマットに沈むと、レフェリーはカウントを止めた。

 女子の試合らしからぬ迫力のKOシーンに「メイウェザーもテンプルを打つのが上手い。朝倉未来選手のときも、那須川天心選手のときも」と漏らした竹原に「テンプルは狙うのか?」との質問が飛ぶと「アゴかテンプルですね」と即答。さらにゴロフキンもテンプルが上手いとも述べると「自分が現役時代にもっと活用しておけばよかった。耳の後ろあたりを狙う人がいる。あれは効く」と続けた。
 
 ようやく体を起こしたケルワットだったが、しばらく立ち上がることはできず。その様子を案じたメディカルスタッフがリング上にケルワットを座らせると即座に酸素吸入を開始。ダメージの大きさが心配されたが、椅子に座った後も治療を受けたケルワットはメディカルスタッフによるダメージの確認や呼びかけに問題なく応じた。すると直後、状況は一変。ケルワットがしきりに右の後頭部付近を示してペルスーンの反則を主張し始める。結局、その主張が認められ試合はノーコンテストに。アクシデントとはいえ、名勝負が一転、後味の悪い無効試合となってしまった。

【画像】一撃で“機能停止”に追い込んだテンプル打
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