母乳は最高の薬? 出産経験や分娩方法で“免疫成分”に違い 医師「感染リスクがグッと下がる」
【映像】母乳の成分に関する研究結果
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 生まれたばかりの赤ちゃんにとって「最初のワクチン」とも呼ばれる母乳。出産経験や分娩方法で免疫成分に違いがあるという研究結果が発表された。

【映像】母乳の成分に関する研究結果

 国立成育医療研究センターは、26~46歳までの母親42人を対象に、出産2日から6日後の「初乳」と、約1カ月後の「成熟乳」の成分を調査。乳幼児のアトピー性皮膚炎を防ぐとされる「TGF―β」と、鼻やのどなどの粘膜の免疫抗体「IgA」の濃度について分析した。すると、初乳の濃度は成熟乳よりも数値が高くなることがわかった。

 そして、研究チームが注目したのが、出産経験や分娩方法などの母親の背景。初産婦と経産婦を比べると、「TGF-β」の濃度は初産婦の方が高く、経腟分娩と帝王切開では帝王切開の方が高くなった。一方、出産年齢や喫煙経験、痛促進剤の使用には関連性が見られなかったという。

 研究チームはこの結果から、初産や帝王切開後に初乳を与える重要性が改めて確認されたと説明した。また帝王切開後、痛みがひどく起き上がれず直接授乳が難しい場合はさく乳器を使うなど、母親の状態に合わせて子どもに初乳を届ける工夫が必要になるとしている。

■日本の授乳環境にレニック医師「オーストラリアでは絶対にNG」

ニコラス・レニック医師
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 この研究結果について、ニュース番組『ABEMAヒルズ』はニコラス・レニック医師に話を聞いた。

――レニック先生はこの研究結果をどう思いますか?

「数字を見ると、成熟乳よりも初乳の方が圧倒的に免疫成分のレベルが高い。初乳の時はおっぱいをあげてほしい。感染リスクがグッと下がり、赤ちゃんの免疫の防護だけでなく免疫系の成長にも関わる。体の色々なところに免疫がつくようになるので、本当に“初乳バンザイ”という感じ」
 

――レニック先生から見て、日本の育児で“変わっている”と思うところはありますか?

「私たちの子どもは3人ともオーストラリアで母乳をあげていたが、日本を行き来する中で気になったことがある。日本では、レストランや小児科のクリニックでも『ここでの授乳を遠慮下さい』となっている場所がたまにある。これはオーストラリアでは絶対にNG。授乳はお母さんの権利であって、母乳は赤ちゃんにとって唯一の水分。どこでも気軽に授乳できるようにできたらいいなと思う」
 

――抵抗がなくて母乳をあげたい方もいますよね。

「日本ではケープを使用することがほとんどだが、赤ちゃんによってはどうしてもケープに嫌がる場合がある。なので、どのように授乳するかはお母さん次第であるべきだと思う。例えば他の人の授乳が丸見えの状態であっても、周りがこの自然なことを恥ずかしく思うべきではない。授乳するだけで『ここで遠慮して下さい』や『お手洗いであげて下さい』となると、授乳が必要以上に大変になり、赤ちゃんと外出しにくくなってしまう。その社会の理解が重要だと思う」

(『ABEMAヒルズ』より)

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