面接時に「結婚の予定ある?」、女性同僚から「まだ妊娠しないでね」 なくならない“マタハラ” キャリア形成へ適切な意思疎通は
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 数年前、看護師の採用試験を受けたあやみさん(仮名)。面接の際、「(面接官の)看護部長に『結婚の予定はあるか?』とか、『2年は妊娠しないでほしい』『そういう覚悟はあるのか?』と聞かれた」という。

【映像】「面接で聞いてはいけないこと」厚労省

 結婚の予定を何度も聞かれ、不審に思いつつも正直にパートナーと同棲中だと答えたところ、後日届いたのは不採用の連絡だった。理由についてあやみさんは「『面接の時に髪の毛を結んでいなかったから』というふうに聞いた。しつこく妊娠や出産、結婚について聞かれたので、理由が髪の毛だとは到底思えない。男性だったらこんな質問はなかっただろうし、女性だからこそそういう理由で採用見送りになったんだと思う」と話す。

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 このような妊娠・出産を理由とする不当な扱いは、面接など採用時に限った話ではない。保育園に勤めていたはるちゃんさんは、結婚した同僚への職場全体の雰囲気に怖さを感じていたという。「結婚する先生が出てきた時、おめでとうと言いつつも、『まだ妊娠しないでね。まだ求人出せないから』みたいなこともあったり。先輩の先生が結婚されてもあまり祝福ムードではなかった」。

 はるちゃんさんにも当時、交際していたパートナーがいた。「就職してから3年くらいは、そういうおめでたい話(妊娠)はやめてくれ」「せっかく教えているんだから、入ってすぐはやめなさいよ」と言われていたという。

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 女性が自由に働くこと、そして結婚の選択をも左右しかねないマタニティハラスメント。なぜ企業側はこのような質問をしてしまうのか。匿名を条件に『ABEMA Prime』の取材に答えてくれた企業の人事担当者からは、「すぐに育休を取られたら、会社にとって大きなコストになってしまう。妊娠を控えていることを教えてくれれば、“数年は負担のかかる部署は外そう”など配慮できる。人事戦略上必要だから聞いているのに、ハラスメントになる。難しい時代だ」といった声が聞かれた。

 「キャリアデザイン コンサルティング&ラボ」代表の加藤貴之氏は、「このようなケースは業種や会社の規模に関係なく起きてしまっているのが現実だ」と話す。「厚生労働省が“採用面接でこういう聞き方をしてはいけない”という14項目を定めている。例えば、宗教や支持政党、家族のことなどだ。厚生労働省が把握しているだけで昨年400件近いケースが起きていたが、これは氷山の一角だと思う。現場ではこの数倍、数十倍のケースが起きていることが想定される」と話す。

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 とはいえ、会社・組織側としても「長く働いてほしい」という思いはあるだろう。「育休などが“突然起きてしまう”という印象が強いと思う。ただ今、ライフデザインは多様化していて、それらを当たり前の社会にしていかないといけない中で、もちろん会社も対応していく必要がある。誰でも育休が取れるように会社自身が、例えば普段から業務を減らして育休を申請しやすくするとか、育休時に代理の人を呼びやすくするような制度を固めておくことが非常に大切になる」。

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 また、前述の人事担当者の本音についても理解できるという。「育休に対して、1人余分に配属させないといけないとか、どこからか人を動かさないといけないというのは、会社にとってコストだ。ただ、事前に会社が把握できないことがほとんど。はるちゃんさんが被害に遭われたように、なかなか上司に言えない、周りが女性ばかりでそういう話ができる雰囲気ではない、話をしてしまったら自分が不利益を受ける、というような背景がある。まずは上司にいつでも相談できる、部下からそういう悩みが相談されるような人間関係・カルチャーを作っていくことが重要となる。特に今、テレワークが進んでいることで、上司と部下との会話時間は減っているという悪循環が生まれている。コミュニケーションの時間を一定以上確保すること、それが一段階目になると思う」と話す。

 加藤氏は「1on1を中心とした社員とのコミュニケーションを」「人事部自身が情報のアップデートを」の2点を提言した上で、「『言いたくない』という心理は絶対に生まれると思う。直前の1日まで言えないとなったら、それはもう上司とのコミュニケーション自体に何らかの問題がある。信頼関係がないためにパワハラ、マタハラになってしまう例が、名前の呼び捨てや『さん』づけだ。部下を呼び捨てにする時、信頼関係があれば全然何も思わないのに、それがないとパワハラだと言われるケースもある。1週間に1回など普段から1on1を設けておいて、『いつでも悩みを相談していいんだよ』ということを上司側から伝えておく。こういうことがまず1つ大切になると思う」とした。

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 はるちゃんさんは「やはり言葉のニュアンスだ。直球で『3年間は辞めないでね』と言われると嫌な思いになるが、1カ所すごくいい園があった。そこは『年中・年長・年少と全ての学年を経験して欲しいから3年は頑張ってもらいたいんだけど、頑張れそう?』と。そういう聞き方をしてくれたら私も目途が立つし、とりあえず3年は頑張ろうと思えるので、言い方・伝え方次第なのかなと思う」と語った。(『ABEMA Prime』より)

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