鈴木大介九段、師匠から「こっぴどく怒られた」のは勝ち過ぎたから?指導対局の難しさ/将棋・ABEMA師弟トーナメント
【映像】ABEMAでみる

 将棋のプロがアマチュアと指す「指導対局」。将棋の世界では棋士とファンの接点としてとても大きく古くからあるものだが、これが棋士からしてもなかなか難しいものだという。「ABEMA師弟トーナメント2022」に先立ち11月19日に放送された「師匠サミット」で、鈴木大介九段(48)が、この指導対局について師匠の大内延介九段に「こっぴどく怒られた」奨励会時代の思い出を披露した。

【映像】鈴木大介九段、師匠に「こっぴどく怒られた」思い出

 指導対局は棋士や女流棋士がイベント会場やファンの人々が集う場所に出向いて、将棋を指すもの。実力に応じて駒落ちすることも多く、アマチュアがプロに対して「いい具合」に戦えることでいい思い出になり、また棋力向上につながることから、今も昔も人気がある。人気棋士と指せるとなれば予約も殺到するほどだ。

 今や日本将棋連盟の理事も務める鈴木九段だが、師匠・大内九段に「唯一、こっぴどく怒られた」と話したのは、奨励会時代のこと。「初段か二段の時に、ある企業に指導対局で行ったんです。若いからどんどん勝っちゃうんですよね。20勝1敗だかなんだかで、いい気になって帰ってきました。そうしたら次の日に師匠から『すぐに家に来い!』と。『おれの代稽古で指導に行ったんだよな。俺の顔に泥を塗るつもりか』と言われました」と、一喝されたという。

 続けて伝えられたのは、こんな言葉だ。「『君は公式戦で勝ちなさい。アマチュアの方に負けてあげなさい』と。そう言われてから指導対局では、なるべく相手の力を引き出すように指すようになりました。弟子にも同じように『アマチュアには負けていい。相手の力が伸びるように指しなさい』と伝えました」と、自らの経験を弟子につないでいった。

 これを聞いていた豊川孝弘七段(55)が「大内先生、一番尊敬しているんです」と反応すると、大内九段の「負けてあげなさい」の真意について「勘違いする人がいるんですよね。指導対局も負ければいいってものじゃなくて、ちゃんと相手のことをおもんばかるということ。実力だけじゃなく、いろいろあるじゃないですか。相手の人がどういう人か、そういう将棋を指しなさいと言っているんだと思います」と語ると、同席していた師匠たちも大きく頷いていた。

◆ABEMA師弟トーナメント 日本将棋連盟会長・佐藤康光九段の着想から生まれた大会。8組の師弟が予選でA、Bの2リーグに分かれてトーナメントを実施。2勝すれば勝ち抜け、2敗すれば敗退の変則で、2連勝なら1位通過、2勝1敗が2位通過となり、本戦トーナメントに進出する。対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで、チームの対戦は予選、本戦通じて全て3本先取の5本勝負で行われる。第4局までは、どちらか一方の棋士が3局目を指すことはできない。
(ABEMA/将棋チャンネルより)

【映像】愛弟子の四段昇段を振り返る豊川孝弘七段
【映像】愛弟子の四段昇段を振り返る豊川孝弘七段
【映像】鈴木大介九段、師匠に「こっぴどく怒られた」思い出
【映像】鈴木大介九段、師匠に「こっぴどく怒られた」思い出
【映像】中田功八段が紹介した佐藤天彦九段の秘話
【映像】中田功八段が紹介した佐藤天彦九段の秘話
【映像】中田功八段が紹介した佐藤天彦九段の秘話

鈴木大介九段、師匠から「こっぴどく怒られた」のは勝ち過ぎたから?指導対局の難しさ/将棋・ABEMA師弟トーナメント