男性の育児うつ、双子の父親が明かす苦労 社会復帰への不安も
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 今年10月から男性の育児休暇に関して、新たな制度がスタートした。これまでの育休とは別に、子どもが生まれた直後に最大4週間まで休暇を取得できる。“男性版の産休”とも言われ、男性の育児参加の推進に期待の声が寄せられているが、ある問題が表面化しつつある。“男性の育児うつ”だ。

【映像】「双子でもどうにかなると…」“育児うつ”になった平松さん

 現在4歳の双子を持つ平松勇一さん(36)は、転職してまもなく、およそ1年間にわたって育休を取った。平松さんは「職場に休むことを伝えたとき、空気感がちょっとつらかった。『あ、そうなの!?』『はあ……』みたいな。その空気感は覚えている」と話す。

 こうして始まった初の育児。平松さんは、大変ながらも毎日子どもと過ごせる時間に幸せを感じていた。しかし、妻が週に3日のパートを始めてから、そんな日々が一変する。妻がいない時間に、急に不安が襲ってきたという。

 「2人分の命を1人で預かっているプレッシャーが重かった」と振り返る平松さん。片時も目を離すのが心配で、家でトイレに行くこともできなくなるほどだった。

「10カ月ぐらい、育児休業期間中はずっと2人で育児をしてきた。それが当たり前だった。それまでは『育児って超楽しい』『育児休業を取らない人は全員バカではないか』と思っていた。でも、急に1人になったとき、楽しかった育児が急に全然楽しくなくなった。パートタイムだから週の半分は妻がいるのに、妻がいる日にもどんどん気分が落ちていった」

 1人で小さい子ども2人の面倒を見る中で、どのような部分に大変さを感じていたのか。

「ワンオペの時間ができたのは、双子がちょうど1歳になるくらい。ハイハイはめっちゃ早いし、つかまり立ちもするし、そこからすっ転んだりする。そうなってくると、目が離せなくなってくる。いつでも目が離せない。命預かっているプレッシャーがすごく大きかった」

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 さらに、育休がまもなく終わりを迎えるタイミングで、別の不安も襲ってきた。

「僕は転職して半年で会社を休んでいる。『戻って何すればいいのかな?』『僕って社会に戻れる?』と考えてしまった。妻から言われたのは、娘の泣き声が全然やまないから覗きに行くと、特に抱っこする様子もなく、僕が窓の外を見ていた。あと『ちょっと外出てきていい?』と言って、あてもなく1時間ぐらいひたすら歩くことがあった」

 妻から病院の受診を勧められた平松さん。うつ病と診断され、治療を受けることになった。

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 平松さんは誰かに相談できたのだろうか。また、どのような支援があればよかったと思うか。

あの状態になってしまったらできない。ただひたすら暗いトンネルの中にいる。妻が見るに見かねて病院に連れて行ってくれた。支援は、日本に期待してもあまりいいものが出てくるとは思えない。どちらかというと、自分の身を自分で守れるよう、パパコミュニティみたいなものに最初から参加しておけばよかったと思った。育休から復帰した後、パパのオンラインコミュニティみたいなところに入って、Zoomで話したり、相談できる環境がある。それがつらいときにあったら、ちゃんと吐き出すことができたのかなと思う」

 核家族が増えた日本。出産・育児休暇に入るにあたって、伝えたい心構えはあるだろうか。

 平松さんは「本当に大切なのは、ワンオペにしないこと。配偶者と一緒に育休を取る、自分の親やきょうだいに助けにきてもらうなど、誰かと一緒に子育てする状態を作っておくことが重要。家の中に入られて嫌ではないなら、友達でもいい。どうにかしてワンオペしない努力をしてもらいたい」と話す。

「僕は育児を本当に舐めきっていた。『双子が生まれても、どうにかなるのではないか』と思っていた。育児が始まったらどうにもならなくなって、初めて会社に相談して、育児休業を1年1カ月という長期で取った。そこまでにならないと気付けなかった自分も恥ずかしい。でも、みんな初めての育児はこんな感じだと思う。これから初めての育児をする人がいたら、本当に育児は大変なので、絶対ワンオペにならないように『2人以上で育てられる環境を作ってね』と伝えたい」

 過去の育児を振り返った平松さん。仕事に復帰したことで「やっと明るくなれた」と話す。

「ある日、副業でお付き合いしていた人から仕事のメールが来た。『もしやれるなら会社を通してやらせてください』と言ってくれて、会社に復帰ができた。自分の裁量でできる仕事もあって、4月には慣らし保育が始まった。最初のうちは2、3時間なので大変だったが、半月もすればお昼ご飯を食べて帰ってくる時間まで預けられる。それでやっと自分が社会に戻れる安心感が出てきた。やっと一筋の光が見えて、生きていけるかもしれないと思った」

 会社に復帰した今、働き方について何か思うことはあるか。

「働き方はみんな自分で選んでいく時代になると思う。別に育児している人だけではなく、夢があれば時短で働いて、余った時間で自分の夢を追いかけてもいいと思う。働き方が柔軟に変わって、自分で選ぶことができれば『子どもがいるから早く帰れていいわね』と言われないのではないか」

(「ABEMA Prime」より)

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