焦った方が負け 0.1秒単位の動きが運命を分けるPKというシビアな戦い
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【FIFA ワールドカップ カタール 2022・決勝トーナメント1回戦】モロッコ0-0(PK3-0)スペイン(日本時間12月7日/エデュケーションシティ スタジアム)

 モロッコ代表がスペイン代表にPK戦の末に勝利、初のベスト8進出を果たした。前後半、延長戦の120分はスペイン代表がボールを持ち続け圧倒したが、PK戦ではモロッコ代表GKボノが3連続ストップ。完璧なセーブでスペイン代表の選手たちを唖然とさせた。このPK戦をよく見ると、シュートする選手とGKが0.1秒単位の駆け引きをしているのがよくわかる。勝利のプレッシャーをより強く感じていたのがスペイン代表なのか、GKシモンの動きがわずかに早まる様子をカメラが捉えていた。

【映像】スペイン代表とモロッコ代表のPK戦

 格上であるスペイン代表だが、グループリーグでは初戦こそコスタリカ代表に7-0と大勝したが、2戦目のドイツ代表は1-1のドロー。さらに3戦目には日本代表から1点先制したものの後半に2点を失い逆転負けし、本来徐々に状態を上げたいところ、ぎりぎりの2位通過と暗雲が立ち込めていた。

 悪い流れを引きずるように、今大会の台風の目モロッコ代表を攻めあぐね、120分かけても無得点。勝負はどちらが勝ってもおかしくないPK戦へともつれ込んだ。結果は4本中3本決めたモロッコ代表に対し、スペイン代表は3本全て失敗。「1000本練習してきた」というスペイン代表が1本も決められないという、PK戦としては衝撃の結末になった。

 このPK戦で何が違ったのか。現在、スペインのリーグでプレースするモロッコ代表GKボノは、とにかく落ち着いていた。キッカーが蹴る少し前に体を動かすと、蹴るかどうかぎりぎりまで待ってからダイブ。止める度に笑顔を見せる余裕まであった。

 対するスペイン代表GKシモンだが、モロッコ代表のキッカーたちが振り上げた足を下ろし始める前に動いてしまっている。公式映像で比較しても、ボノとの違いは明確。モロッコ代表のキッカーたちが、どこまでシモンの動きを把握し蹴る方向を変更できていたかは定かではないが、ワールドクラスの選手たちともなれば、蹴るポイントを見ずにシュートも打てるため、対応は可能だったかもしれない。

 日本代表もクロアチア代表との戦いでも4本中3本止められ、改めて大舞台でのPK戦の難しさが知れ渡ったところ。テクニックとメンタル、どちらもハイレベルなものが求められることが、実によくわかる試合となった。
ABEMA/FIFA ワールドカップ カタール 2022)

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