「february 3rd will be my last day with you(2月3日はあなたと過ごす最後の日です)」。先日、なんとも寂しげなツイートをしたのは、位置情報を共有できるアプリ「zenly」。友達との待ち合わせや子どもの行動を把握できるとして、1億ダウンロードの大ヒットとなった。
サービス終了の理由は、zenlyを買収した会社の集中的なコスト削減計画に巻き込まれたためで、突然の終了宣言に“zenly難民”が続出。そんな中、「Zenlyの代わりを作る」というアプリ「NauNau」が話題になっている。
そもそも、なぜ位置情報を共有したいのか? 6日の『ABEMA Prime』は利用者を交じえて議論した。
■「ストレスはない。窮屈にも思わない」
zenlyヘビーユーザーの高校生・吉田さん(仮名)は、「友達と集合する時とかに使っている」と話す。
「友達が遅れた時、あとどれくらいで着くかわかるから便利。20人くらいのグループでやっていて、誰がどこにいるかがいつでもわかる。繋がっていないよりかは、繋がっていたほうがいいという感じ」
一方で、苦い経験をしたことがあるという。
「友達から遊びに誘われた時、家を出るのが面倒くさくて、『今日忙しいから遊べない』と言ったら、zenlyを見られて『お前、家におるやんけ』みたいな(笑)。でも、仲のいい友達なので、ストレスはない。窮屈にも思わない。自分の位置を見られたくない時はゴーストモードにする」
同じく高校生の飯村さん(仮名)も、友人間で使っているという。
「友達が近くにいたら遊びに誘ったりする。自分も20人くらいのグループで、周りの高校生のほとんどが入れている。やはり仲がいい友達とだったら、そういうのを知っていてもいいと思う」
一方のデメリットとしては、彼女のスマホの充電の減りがわかるため連絡が返ってこないと不安になったり、zenlyで浮気がばれた友人もいるということだ。
家でゆっくりしたい時に“あいつ家にいるな”と連絡がくるのは嫌ではないのか。
「自分の都合がいい時に誘える人だけをzenlyに登録しているので(大丈夫)」
■zenlyヒットの要因は「タイパ主義」?
若者が大人数で位置情報を共有し合う傾向について、ITジャーナリストの鈴木朋子氏は「特に高校生なんかはいつも一緒にいて、SNSで自分が何をしているかを共有し合っている。居場所をいっそ開示することで、何しているかを聞かなくても暇な子がわかる。あと、相手がバイトなどをしている時にLINEをして、『ごめん、バイトだった』となるとお互いにかわいそう。そういった気を使わなくていい」との見方を示す。
zenlyがヒットした要因としては、かけた時間に対する満足度を重視する「タイムパフォーマンス(タイパ)主義」をあげる。
「やり取りを1つ減らせるということ。今誰かと話したいなと思ったら、家に4時間いる子は暇だなとなり、『通話してもいい?』と連絡すれば早いということだ」
一方で、NPO法人「あなたのいばしょ」理事長の大空幸星氏は「会話のきっかけを作っているという見方もできる」とした。
「ある種、(アプリを使うことで)コミュニケーションの工数は1つ増えている。人間が毎日話すことなんて基本的にはそんなにないと思うが、『同じ場所にいるじゃん』というきっかけが生まれている。そういう意味では有効なツールだ」
(『ABEMA Prime』より)
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