宇宙飛行士・野口聡一氏「多様性に富んだ人選。敬意を表したい」 前澤氏“月計画”クルー決定をどう見る
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「地球から出て月まで行って、いろいろなことを得ると思う。それを地球に還元してほしい」(前澤友作氏)

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 民間人初の月周回旅行を目指す「dearMoon」プロジェクトで9日、実業家の前澤友作氏が宇宙に行くメンバーを発表した。前澤氏が乗るスペースX社のスターシップは2023年に打ち上げを予定。クルーに選ばれたのはBIGBANGメンバーのT.O.Pをはじめ、ミュージシャン、写真家など8名だ。バックアップクルーには、日本人のダンサーが選出された。

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 民間に広がる宇宙旅行の可能性。ニュース番組「ABEMA Prime」では、宇宙飛行士の野口聡一氏に話を聞いた。

 「日本ではあまり話題になっていないが、アメリカでは民間旅行客で船外活動を行うプロジェクトがすでに出ている」と話す野口氏。野口氏は前澤氏の「dearMoon」プロジェクトをどのように見ているのだろうか。

「すごくポジティブに見ている。BIGBANGのT.O.Pさんの参加が公表されて、喜んでいるファンの方はすごく多いと思う。他のクルーの顔ぶれを見ても、国際色、年齢、性別含め、非常に多様性に富んだ人選をされていることに敬意を表したい。地球を代表するアーティストたちが宇宙で何を表現してくれるのか、すごく期待が持てる」

 ネット掲示板「2ちゃんねる」創設者のひろゆき氏は「お金持ちが私財をバンバン宇宙開発に投入していただけると、それだけ早く一般の人が宇宙に行けるようになる。いろいろな研究が進むと思う」と見解をコメント。その上で「前澤さんが選んだメンバーの中に宇宙飛行経験のある人が1人もいない。予想通りに物事が進まないのでは?」と指摘した。

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 これに野口氏は「私も全部を知っているわけではない」とした上で「前澤さん自身は去年宇宙に行かれている。ある意味で経験者だ。スペースXに関しても、かなり操縦が自動化されているのでなんとかなるのでは」と回答。

 クルーの準備は間に合うのだろうか。野口氏は「準備については、2つのポイントがある。1つはロケットの開発が間に合うのか。2つ目は彼ら(クルー)の訓練が間に合うのかだ」と話す。

「私が乗ったスペースX社のクルードラゴン宇宙船は開発途中で『我々の訓練が完了するのとカプセルの開発が完了するのとどちらが先なのか?』という状態だった。本来は先に乗り物が完成して、それに間に合うようにクルーの準備が進んでいくことが望ましいが、現実には難しいこともある。dearMoonも新型ロケットを使うので、クルードラゴンのときと同じように開発と訓練が平衡状態で進むのではないか。もしロケットかクルー、どちらかの準備が間に合わなければ、安全を取って(予定が)後ろにずれていくだろう」

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 これまで3度宇宙へ行った野口氏。行った感想について「地球は間違いなく存在していて、1個しかない。抽象的な意味の環境問題ではなく、あの日、船外活動をしていた僕の目の前にあった『あの地球を守らないと』という直接的な感覚が大きかった」と話す。

 「宇宙には何度でも行きたいと思うものなのか?」という質問に野口氏は「1回目の宇宙飛行は2週間で、あっという間だった。本当に修学旅行というか、遠足のようにすぐ帰ってきてしまったのでまた行きたかった」と回答。

「2回目は『ゆっくり宇宙に浸りたい』と思っていた。3回目は、スペースX社やBlue Originなど、民間宇宙船の時代になる。民間の作る宇宙船に乗りたかった。そこは興味半分、使命感半分だった」

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 ひろゆき氏が「お金を払ってソユーズ(※ロシアの有人宇宙船)で宇宙に行こうとした民間人の榎本大輔さんは、健康上の理由で行けなかった。『この人は大丈夫』という安全基準を誰がどのように決めるのか?」と聞くと、野口氏は「内部の事情は分からないが、おそらく前澤さんのチームが選抜し、スペースXと調整しながら決めるだろう」とコメント。

「スペースXがすごいのは社内に医師団を持っているところだ。宇宙に行く前に健康診断をして、ちゃんと基準を満たしているか、医師団がチェックしていると思う。基本的には打ち上げの重力に耐えられれば宇宙への旅は認めてもらえるだろう。DearMoonは宇宙ステーションへのドッキングや船外活動などがないので、比較的医学基準としては緩いと思う」

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 一方で、JAXAでは、13年ぶりに宇宙飛行士の選抜試験が実施されている。現在、応募数4127人のところ現在50人まで絞っているという。この試験について、野口氏はどう見ているのか。

「ぜひ女性に入っていただきたい。JAXAの現役飛行士6人全員男性でおじさんばっかり(笑)。選抜されるのが1人か2人か分からないが、もしJAXAが2名女性飛行士を採ったら世界中のニュースになるだろう。これからの宇宙飛行士は月を目指していくので、訓練時間もけっこう長くなると予想される。実際に宇宙に行くまでに10年間くらいかかる可能性もあるので、長い目で見守っていきたい」

 民間企業によって広がる宇宙旅行の可能性。一般人が宇宙に行ける未来はそう遠くはないかもしれない。(「ABEMA Prime」より)

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