「“加工の顔にしたい”の希望が多い」 写真アプリを現実に? 17歳少女の整形手術を断った美容外科医が“SNSの闇”に訴え
【映像】ABEMAでみる
この記事の写真をみる(6枚)

 今Twitterなどで美容整形手術を断ったある医師が話題になっている。

【映像】「人中短縮で口が閉じられなくなった人も」 前田医師が語る整形の“弊害”

「17歳の子が人中短縮と鼻フルを希望、顔の脂肪吸引もしてバッカルファットも取りたいと」

 ツイートしたのは、美容外科クリニックの院長を務めている前田拓摩医師。17歳の女性は鼻と唇の間を短縮(人中短縮)、鼻全体を整え(鼻フル)、頬の脂肪除去(バッカルファット)など、成長途上にある10代女性に施すにはかなり重い施術を望んだという。

 理由を聞くと、「インフルエンサーとかきれいな人はみんなやってるから」。前田氏は「これSNSの闇だよ」「美容整形は最初の選択でなく、最後の手段にして欲しい」と思ったという。

「“加工の顔にしたい”の希望が多い」 写真アプリを現実に? 17歳少女の整形手術を断った美容外科医が“SNSの闇”に訴え
拡大する

10代は整形についてどう思っているのか。あるアンケートでは女子高校生の約7割、男子高校生も約4割が「興味がある」と回答。理由は、コンプレックスや自己肯定感に加え、約1割が「インフルエンサーがやっているから」との回答もあった。

 しかし、術後に傷や障害が残ったなど、トラブルもここ3年で急増している。10代の整形にはどのようなリスクがあり、どこまでがOKなのか。14日の『ABEMA Prime』で前田氏に聞いた。

 手術を断った理由について、前田氏は3点をあげる。

「“加工の顔にしたい”の希望が多い」 写真アプリを現実に? 17歳少女の整形手術を断った美容外科医が“SNSの闇”に訴え
拡大する

 「1つは、心が未成熟であるということ。自分が受けた施術、顔の変化を受け入れられなかったり、ダウンタイムの期間は心にもすごく負担がかかる。“ダウンタイム鬱”という言葉もあるように、『なんで手術を受けちゃったのか』と後悔することがある。2つ目は、成長による顔の変化。医学的な第2次性徴は18歳くらいで終わると言われているが、高校生が大学生になる、社会人になるという過程で変化していく部分もあると思う。その変化でマイナス面が生じる可能性がある。3つ目は、傷。手術をして満足したけど、傷を隠そうとするコンプレックスが新たに生まれてしまう」

 17歳の少女は説明に納得しなかったという。ただ、前田氏は「18歳になって高校を卒業して、その時にまだやりたかったらもう1回相談に来てね」と伝えることを決めているそうだ。

「“加工の顔にしたい”の希望が多い」 写真アプリを現実に? 17歳少女の整形手術を断った美容外科医が“SNSの闇”に訴え
拡大する

 「その子の診察を終えた次の日ぐらいに、別の17歳の子が『韓国で鼻手術をしてきたので抜糸してください』と。親公認で手術を受けて帰ってきた。この子と、僕が断った子の差は何なのかというと、僕の主観・倫理観になってしまうので、そこは申し訳なく思う部分もある」

 一方で、前田氏が整形を“推奨”する事例がある。

 「テープやのりで二重を作っている子。そもそもしないで済むに越したことはないが、目の上にノリを付けて二重を作ると、だんだん皮膚が伸びて手術がやりにくくなる。例えば、15歳から25歳まで使った方は、皮膚が伸びてしまってあまりいい形が作れない。できれば早い方がいいということで、二重の手術は推奨する。じゃあ切開手術を勧めるか、といったらそうではなくて、糸で埋め込んで二重を作る方法がある。取ることができるので、後戻りができる。10代はやり直しがきく手術でもいいのかなということで、テープやのりを使うならこっち(埋没法)のほうがいいという案内をする」

 整形に興味を持つ高校生が多くなっている一方で、美容医療サービスへの相談件数も増えてきているという。

「“加工の顔にしたい”の希望が多い」 写真アプリを現実に? 17歳少女の整形手術を断った美容外科医が“SNSの闇”に訴え
拡大する

 「自分で稼いで、自分で選択しているのであれば、僕は否定的ではない。“整形も努力”と表現される人たちもいらっしゃるので、ある程度の自立があった上で手術をするのであればいいと思う。しかし、イジメだとか、見た目の比較に起因したメンタル不調で日常生活に影響が出ている場合は問題だ」

 前田氏が用いた「SNSの闇」という表現。フィルターや加工を通した姿を見せていることで、“リアルも同じでなければいけない”と追い込まれてしまう現状があるという。

 「『加工の顔にしたい』という希望はすごく多い。『実際に会ったら全然違うじゃん』『違う人かと思った』と言われることに対する恐怖から、リアルでもその顔でいたいという強い思いを生むと思う。ただ、2次元を加工して写真を上げているので、正直無理だ。整形は3次元の中で、皮膚の緊張や厚みなどいろいろな要素で決まってくるので、そこを無視した2次元で引き伸ばされた顔は難しい。例えば、鼻を自然な高さに作って『めちゃめちゃきれいになったね。よかったね』と言っても、他のクリニックでとんでもない高さにしてくる子もいる」

「“加工の顔にしたい”の希望が多い」 写真アプリを現実に? 17歳少女の整形手術を断った美容外科医が“SNSの闇”に訴え
拡大する

 最後に前田氏は、業界の構造にも言及した。

 「美容医療は自費診療なので、ビジネスで成り立っている部分がある。僕は保険診療の形成外科を経て、それなりの修練を積んで美容外科に到達した。しかし、研修医というひよっ子状態を終えて美容外科医になる、ということもできてしまう。そうすると、“売上をあげたドクターが一番偉いんだ”と。保険診療で得た、医療の根幹みたいなものが全くわかっていないまま、責任感なしに売上を競争する業界にはなってしまっている」

(『ABEMA Prime』より)

裏アカで自分を中傷する“デジタル自傷”、なぜ? 経験者に聞く
裏アカで自分を中傷する“デジタル自傷”、なぜ? 経験者に聞く
“肋骨を除去する手術”に美容外科医「転んだ際に危険」なぜ過度な細さを求める?
“肋骨を除去する手術”に美容外科医「転んだ際に危険」なぜ過度な細さを求める?
整形アイドル轟ちゃん 誹謗中傷に「自分が良ければそれでいい」
整形アイドル轟ちゃん 誹謗中傷に「自分が良ければそれでいい」
【映像】明日花キララ、顔の整形初告白 詳細説明&体の整形は

■Pick Up

【Z世代に聞いた】ティーンの日用品お買い物事情「家族で使うものは私が選ぶ」が半数以上 

この記事の写真をみる(6枚)