12月、東京都は健康な人の「卵子凍結」の費用を補助する方針を示した。妊娠・出産の選択肢として広がりを見せるなか、追い風となるのだろうか。番組は卵子凍結を行うクリニックを取材した。
煙が立ち込めるほど凍らされた細長い筒。中に入っているのは、生命の源「卵子」だ。成熟卵を液体窒素に入れることで、半永久的に凍結保存が出来る。
卵子の凍結保管サービスを行う「Grace Bank(グレイスバンク)」。ここ数年、卵子凍結を希望する女性が増えていると、卵子凍結を行っているグレイス杉山クリニックSHIBUYAの岡田有香院長は話す。
「コロナ禍で出会いもないなか、30代後半にかけて卵子の老化というところを目前に考えていって、お子さんが産めなくなる可能性をできる限り下げたいと思う方が来ている」
将来の妊娠・出産の選択肢として、卵子凍結が広がりを見せるなか、東京都では小池都知事が「病気ではない人への卵子凍結の補助」という方針を示した。
女性が行う卵子凍結には、放射線治療や抗がん剤投与を受ける人が治療で卵子が影響を受ける前に行う「医学的適応」と、生殖能力が高いうちに妊娠を希望する時期に備えて、卵子を凍結させる「社会的適応」があるが、どちらも保険の適用外となり、数十万円の費用がかかる。
東京都は2021年度から若いがん患者らの卵子凍結、いわゆる「医学的適応」について助成を行っているが、これに加え女性の選択肢を広げるため、「社会的適応」にも支援を広げるよう、来年度の予算に盛り込む方針という。
近年では女性のキャリア支援など、福利厚生の一環として、卵子凍結費用の一部を補助する民間企業も存在する。岡田院長は、この決定によって更なる治療の普及に期待を寄せている。
「(グレイスバンクでは)15個で4万5千円という金額になっているが、それでも10年間の保管と考えると40万円くらいかかる金額になる。今までは一部の情報をよく知っている方がいらっしゃるようなイメージがあったが、より多くの人にそういった選択肢があることは知っていただけると思う」
一方、健康な女性の卵子凍結には、母体への影響などを懸念する声も――。岡田院長は、リスクはゼロではないもののライフプランの選択肢の一つとして卵子凍結が広がっていってほしいと話す。
「ご自身の卵子凍結のタイミングだったり、ライフプランだったりというのを、ご自身の状況を知ってから考えていくのがいいと思う。ご自身の身体を知る、さらにその中に一つの選択肢として卵子凍結があるということを知っていただければ」
(『ABEMAヒルズ』より)
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