自民党と公明党が16日に発表した来年度の税制改正大綱。これによって国民の生活にどのような影響が出るのか。テレビ朝日・政治部の与党担当、平元真太郎記者に話を聞いた。
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「そもそも、与党には税制調査会という機関があり、翌年度以降の税制の改正方針をまとめています。政府は与党の税制改正大綱を基に法案を作り、翌年の通常国会で成立させ、この法律に沿って翌年4月に新しい税制が施行されます。今回の改正では、NISAにおける非課税期間の無制限化や投資上限の拡大、そのほか所得1億円を超えると税率が下がるいわゆる『1億円の壁問題』の是正、新興企業への支援やエコカー減税の延長なども決まっています」(以下、平元真太郎記者)
同日、政府は安全保障戦略を大転換し、防衛関連3文書を閣議決定した。2027年度までの5年間で、防衛費は43兆円と大幅な増額になる。
「防衛費の増額については、自民党内の議論が大紛糾し、反対派に譲歩、具体的な実施時期については明示していません。実施時期を令和6年以降とすることで、議論の余地を残し、結論を先送りにする形で決定しています」
防衛費の増額に伴い増税対象になったのは、法人税・たばこ税・所得税の3つだ。
「所得税は現状の復興特別所得税が2.1%から、改正後は1.1%になり、新たな付加税が1%追加されます。2.1%と国民の負担額は変わりませんが、もともと2037年までとされていました復興特別所得税の仕組みが変わり、復興目的と防衛目的を分けて納めることになります。2037年以降も支払うことが決まったことで、長期的に見て実質的な増税になります。法人税には4〜4.5%という幅があり、今後これをどのあたりの数字にしてくるのかポイントになってくるでしょう」
話し合いよりは根回しに近い形だったのだろうか。
「税調の幹部は、岸田派の幹部に会合に出席するよう求めたり、議論が煮詰まったところで幹部陣を中心に『賛成』の意見表明を次々とさせて、宮沢税調会長に一任する流れを作るようにしていました。一昨日までは大荒れで、意見がまとまらずに終わらない可能性もありましたので、結論が出せるよう議論の流れは工夫していたように思います」
当初、“聞く力”をアピールしていた岸田総理。なぜ、総理は防衛費の増額を急いでいるのだろうか。
「一般の議員からすると、突然の議論だった印象です。総理が先週8日に1兆円の増税をする旨の発言があって、そこから一気にどのような税制にするのか、党内で議論が始まりました。結論を出すまでに1週間しか時間がありませんでしたし、唐突で性急に結論を求められました。具体的な時期は『来年議論する』としていますが、来年のいつからどれくらい議論を始めるかどうかもはっきりとはしていません。『通年で議論すればいい』という声もありますが、中には『年末のこの時期くらいだろう』と話す税調の幹部もいます」