“月額380円で審査なし” 賛否の声があがる「ねこホーダイ」にNPO代表「所有権が不明確。死んでしまったら誰が責任を取るのか」
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 多くの人が愛してやまない猫。かわいい仕草と自由な性格に愛猫家が急増。去年行われた調査では、猫の飼育数は890万頭以上と、犬の飼育数約710万頭を大きく上回っている。

【映像】命の軽視?救える命も? 「ねこホーダイ」に賛否

 そんな中、猫の飼育をめぐり物議を醸すサービスが登場した。それが「ねこホーダイ」。野良猫ゼロを目指す「のら猫バンク」が運営するサービスで、月額380円の会員になれば、提携するシェルターの猫を無料で譲り受けることができるというものだ。

 ただ、その中で注目されたのは、「面倒な審査やトライアルもなく、高齢者や単身の方でも大丈夫」という規約。通常、保護猫を迎え入れるためには飼育環境や家族構成など厳しい審査が必須だが、このサービスでは審査やトライアルなしで飼うことができる。また、もし途中で飼えなくなった場合には、無料で引き取ってもらうことも可能だという。

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 Twitterでは、「審査なしはあり得ない。猫の命を軽視している」「最期まで責任を持つ覚悟がある人に引き取ってほしい」「殺処分の数が少しでも減るなら悪くない」「ハードルを低くすることで助かる動物が増える」と賛否の声が噴出した。

 「ねこホーダイ」の是非について、26日の『ABEMA Prime』で議論した。

 猫を保護する活動を行うNPO法人「にゃいるどはーと」の東江ルミ子代表は「命ではなく、完全に物扱い。その一言に尽きる」と苦言を呈する。

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 「正直、突っ込みどころが満載だ。高齢者、単身者でもいいというのは、本当に誰でもいいということ。(引き取り先の)家がどんな感じなのかもわからない。私たちの審査が厳しいという声もわかっているが、それは意味がある。最期まで責任を持って飼うことが一番だが、これでは道ばたで“はい、もらう?”とやっているようなものだ」

 にゃいるどはーとでは、その人の年齢や人となり、住宅環境、子どもがいれば猫への当たり方、親の注意の仕方などを見ながら、猫へのストレスを鑑みて「NG」を出すこともあるという。

 一方で、飼えなくなったら引き取るというのは、高齢者や単身者が飼える可能性を広げているのではないか。「相性がある。亡くなった方から引き取った時、猫もシニアだったりするので、別のシニアの方がその猫を迎えてもいいと思う。ただ、家で誰か人間が飼えばすべての猫が幸せかというと、違うだろう。人間の男女の付き合いだって、いい人と出会えば幸せだが、不幸になる人もいっぱいいるわけで、見極めをするのはそれと一緒だ。最低限のルールとして、家に届けるのはやらないとダメ」と指摘。

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 ねこホーダイは、自分たちはあくまでも猫を飼っておらず、飼いたい人と保護シェルターをつなぐ「マッチング」を提供。のらねこバンクは「『猫を飼うなら一生責任を持って面倒を見る』これは当たり前のことですが、それだと高齢者や単身者は中々飼うことができません。それならその『責任』を誰かが代わりに負えばいいのではないか、そんな思いで作られた『人と猫をつなぐプラットフォーム』」と説明している。

 東江氏は責任の所在が曖昧だとし、「預かり制度というかたちにしてもいいと思う。要は、責任はあくまでもシェルターや団体が持つ。元気なうちはペットとして暮らしてもらう、ご飯も与える、責任を半々というかたちだと、所有権が明確ではない。結局、死んでしまったら、逃がしてしまったら、誰が責任を取るのか。半端なままやってもいいマッチングはできないと思う」と述べた。

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 モデル・分筆家のシャラ ラジマ氏は、自身が保護猫3匹を引き取ったことを明かした上で、「先住猫と新しい猫の関係性はすごく難しい。引き取りたいけど正直うまくいくかわからないので、一定期間を見るというのは猫のためにやった。私たちはうまくいったからよかったけど、そうでない場合を考えた時、殺処分されるかもしれない猫を減らすためにこのサービスはいいものだと思う」とコメント。一方で、「このネーミングでは、ファッション感覚で飼いたいという人が内容をわからずに飛びついてしまう。どういう環境が必要か理解している人は条件もちゃんと読むが、『ねこホーダイ』だけが出てしまい、“猫がいくらでも借りられるの?”と勘違いしてしまいそうだ」との懸念を示す。

 その上で、今後について「わざわざ月額制のアプリにしている理由、家の見取り図が見えるのか、(家族)構成を見られるようにしていくのか。そういうものを目指してやるのであればすごくいいと思う」と期待を寄せた。

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 保護シェルター側としても、飼い主を見つけたいという思いは同じはず。東江氏は「このシステムの全部を否定するわけではない。預かり制度もありだと思うし、やり方はいろいろあるのではないか。もっと頭をひねればたくさん出てくると思うので、今の時代に合ったかたちでやってほしい」と訴えた。(『ABEMA Prime』より)

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