三階級制覇を成し遂げたK-1のレジェンドで、昨年10月末でK-1およびK-1 GYM SAGAMI-ONO KRESTとの契約満了後にフリーとなった武尊(team VASILEUS)が、12月25日に両国国技館で開催された「RISE WORLD SERIES/SHOOTBOXING-KINGS 2022」の会場に姿を現し、話題を呼んだ。昨年6月『THE MATCH 2022』での那須川天心との激闘から半年。武尊にとっての2022年。さらに、環境を一新して迎える2023年について、大会終了後に本音を聞いた。
― 10月31日付でK-1およびK-1 GYM SAGAMI-ONO KRESTとの契約が満了。『THE MATCH 2022』(6・19)から半年が経過。武尊選手にとって2022年はどんな一年でしたか。
武尊 試合的には負けた一試合しかやっていないので、そういった意味では悔しい一年でした。格闘技界を一つにしたいという目標を『THE MATCH 2022』で叶えることができて、その試合では勝てなかったけど、それがきっかけとなって、様々な交流ができるようになりました。ここからは、もっと大きな大会ができるように、『格闘技界がひとつになった』というメッセージを込めて今日は来場させてもらいました。僕にとっては悔しい一年でしたけど、来年に繋がるいい一年でした。
― ファンが気になっている現在の心身的なコンディションは。
武尊 コンディションは良くなっています。来年に向けて練習も毎日やっています。ケガの状態もだいぶ良くなっています。来年には試合ができると思いますよ。
― 自身の復帰戦について「次の試合は来年。『THE MATCH 2022』のように団体の垣根を超えた大会で」と話されていますね。今日の『RISE WS』がまさにそうでしたが、武尊選手ご自身が“団体の垣根を超える”ことにこだわる理由は。
武尊 団体がいっぱいあっても、観てる人からしたら『どこの誰が一番強いのか』が最も気になるところですし、それが格闘技を観る一番の面白さに繋がります。格闘技界が盛り上がるためにも、この前のサッカーのカタールW杯のように世界中の選手たちが、一つの舞台で戦う。その舞台を作ることが今後の目標の一つになっていきます。
― スポーツ選手として、カタールW杯の盛り上がりをどのような気持ちで観ていましたか。
武尊 羨ましい気持ちも、悔しい気持ちもあります。ただ同時に『あのような大会をやらないと、格闘技界が盛り上がらない』と改めて感じました。
― そんな中、団体の対抗戦を実際に会場で観て感じたことは。
武尊 僕はK-1だけが盛り上がって欲しいとは思っていないですし、RISEだけが盛り上がって欲しいとも思っていません。格闘技に関わる全部の団体が相乗効果で、みんなで盛り上がっていけるようになればいいと思っています。今回の試合も『THE MATCH 2022』で活躍した選手が出ていました。『THE MATCH 2022』がきっかけでその選手に物語ができて、今回の試合に繋がっていたり。その辺は実際に会場に来てみないと分からない部分で、『繋がっているんだな』と感じることができたので、この思いを来年以降に繋げていきたいと思います。
― 日本ではなく、世界を見据えると、ファンとしては那須川天心選手と互角の激闘を繰り広げたロッタン選手との一戦に期待が集まります。昨年11月にシンガポールでロッタン選手に話を聞いたところ「1Rから壮絶な打ち合いになる」「スタジアムが燃え上がるような試合になる」「見ている人が興奮し、ハッピーになる試合にしたい」と意気込みを話し、「戦う準備はできている」とも。そんなロッタン選手の言葉を受けて、率直にどう感じますか。
武尊 そうやって言ってくれるのは率直に嬉しいですね。僕も世界中を見て、この階級で『誰とやったら一番盛り上がるのか?』と言ったら、彼しかいないと思っているので、ぜひ、やりたいと思っています。
― 積極的に打ち合うスタイルは武尊選手もロッタン選手も同じ。実際に戦ったら、どのような展開になると予想しますか。
武尊 激しい打ち合いになることを想定していますし、すでに、その練習を開始しています。
― K-1のベルトを返上した記者会見後に話を伺ったとき、武尊選手はご自身のファイトスタイルや復帰後について「客観的に見て、めちゃくちゃ面白い試合ができるんじゃないかと思います。僕はガンガン打ち合ってるように見えて、じつは繊細なところもあって。でも(復帰したら)いい意味で繊細さをなくしていくのかなと。そうなれば、格闘家として心から楽しむ試合ができるのでは」と復帰後のご自身に期待を寄せていました。武尊選手にとって、“心から楽しむ試合”とはどのような試合を意味しますか。
武尊 格闘家はリングの上では戦っているけど、“心が通じ合う”瞬間があるんです。そうなれる選手は戦って楽しい。もちろん勝つために戦っているんですが、勝ち負けとは別の楽しさがあって、ただ、それを感じられる選手は少ない。だからこそ、ロッタン選手と試合ができたら、その楽しさを120%で感じられると思っています。
― 激動の2022年を経て、2023年はどのような一年にしたいですか。
武尊 2022年には、ファンの皆さんに勝つ姿を見せられていないので、2023年は応援してくれている方々に勝つ姿を見せるのが一番の目標ですし、一番したいこと。さらに格闘技界が一つになって、さらに盛り上がって、サッカーや野球などに負けないスポーツにしていきたいと思っています。