WBOミニマム級チャンピオンの谷口将隆が1月6日に開催される「3150FIGHT」のメインイベントで挑戦者2位のメルビン・ジェルサレムと2度目の防衛戦を行う。関西の龍谷大から東京のワタナベジムに入り、世界チャンピオンになった谷口にとっては凱旋防衛戦だ。

【詳細】3150 FIGHT vol.4

 谷口の特長をひと言で表わすなら「スピードのある技巧派サウスポー」で間違いないだろう。パワーを全面に押し出して相手をなぎ倒すのではく、軽快に動いて相手のパンチを外し、フェイントを駆使して左ストレートや右フックを相手にヒットする。そのスマートなスタイルはまさに猛牛の突進をかわしてとどめを突き刺すマタドールと呼ぶにふさわしい。

 そのマタドールが2度目の防衛戦で迎え撃つジェルサレムは谷口と同じ28歳で、アマチュアでキャリアを積んでいる点でも共通している。谷口曰く「まとまりもあるけど、荒々しさもある」。しっかりした技術が土台にありながら、フィリピン人ボクサーらしく思い切りハードパンチを振ってくる怖さを併せ持っているというのである。

 強敵を目の前にしても、チャンピオンは「格の違いを見せつける」と頼もしいばかりだ。その言葉からは、苦労して手に入れたベルトをこんなところで明け渡すわけにはいかない、という力強い意志が伝わってくる。谷口の世界タイトルにかける思いはこれまで以上に高まっていると言えるだろう。

 龍谷大で国体準優勝を2度経験し、16年にプロ入りした。その才能から将来を嘱望されたものの、チャンピオンまでの道のりは試練の連続だった。初めての日本タイトルマッチ、同じく東洋太平洋タイトルマッチはわずかの差で敗北。2019年の世界初挑戦はフィリピンのビック・サルダールに大差判定で敗れた。大学時代からのライバルで、同じ時期にワタナベジム入りした京口紘人がわずか1年で世界チャンピオンとなり、2階級制覇まで達成したのとはあまりに対照的だった。

 それでも谷口は決して腐らなかった。地道に日本タイトルからやり直して21年12月に念願の世界タイトルを獲得した。一方で、常に自分の先を走っていた京口が昨年11月のライトフライ級2団体統一戦でライバルの寺地拳四朗に破れ、プロ初黒星を喫して王座から陥落。盟友の敗戦が今まで以上に谷口の危機感と自覚を高めたのは間違いない。

 圧勝を目指す今回の試合、谷口は「ノックアウトというよりは相手に何もさせない。相手が何をしていいのか分からないくらいの試合をする」とイメージする。ジェルサレムがパンチを出そうとしたときに、谷口はもうその場所にいない。あるいは打とうとした瞬間にカウンターパンチをもらってしまう。そのようなシーンが続けば、フィリピンの強打者は文字通り「何をしていいのか分からなくなる」だろう。

 このように書くと谷口がノックアウトとは無縁なボクサーと勘違いさせてしまったかもしれない。実はこのチャンピオンが4試合連続でTKO勝ちを飾っていることはぜひとも頭に入れてほしい。世界タイトルを獲得したウィルフレド・メンデス戦、初防衛戦となった昨年4月の石澤開戦でいずれも11回TKO勝ちだった。頭脳的に試合をコントロールし、時間をかけて相手を弱らせ、最後はしっかり仕留めているのだ。

 谷口とタッグを組む伯耆淳トレーナーは「谷口は“ミスター11ラウンド”。フルマークの判定勝ちを狙えば、レフェリーも試合を止めたくなるはず」と今回も終盤のストップ勝ちに期待を寄せている。谷口自身、「期待してほしい」と口にしており、終盤にドラマティックなシーンが訪れる可能性は大いにあるだろう。

 現在、最軽量級でベルトを腰に巻く谷口は今後、ライトフライ級に上げての2階級制覇、さらにはフライ級での3階級制覇を目標に掲げる。まずは6日、優れたテクニックで2位挑戦者を撃退し、新たなステージへの足がかりを築こうとしている。

©Ikkyu

【視聴する】3150FIGHT vol.4 | 新しい未来のテレビ | ABEMA
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