週間感染者数で日本が世界最多に “5類”への引き下げは「早く見直したほうがいいが、それで“もう大丈夫”とはならない」
【映像】日本のコロナ死者数の“定義”
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 5日、新型コロナウイルス感染者が全国で22万人を超え、第8波で最多となった日本。WHOの集計によると、昨年12月26日から今年1月1日までの週間感染者数は、日本が最多の94万6130人、週間死者数については世界で2番目に多い1941人となっている。

【映像】「ただ数字を見るだけではなく内訳も重要」日本のコロナ死者数の“定義”

 こうした発表を受けて『ABEMAヒルズ』に出演したノンフィクションライターの石戸諭氏は「新型コロナにおける死者が日本でどのように定義されているのかを注意深く見るべきだ」と見解を述べる。

オミクロン株が流行の中心になって以降、コロナの重症化が直接的な要因ではない死者が、高齢者も含めて多いことが、さまざまな医療現場から指摘されるようになった。厚労省アドバイザリーボードも公表しているが、第6波時点の調査で、複数の自治体で新型コロナ死亡者の3割以上が老衰や別の疾患が原因で亡くなっていたという。感染が確認されれば、直接の死因が老衰であっても、コロナの死者数にカウントされているというデータだ。そういった運用がされていることを知っておくこと。ただ死者数の数字を見るだけでなく、その内訳も見ることが重要だ」

 現在、新型コロナは感染症法で2類相当とされているが、「季節性インフルエンザ」と同等の5類へ見直そうという動きが出ている。政府は社会経済活動への影響も考慮し位置づけの見直しを議論しており、日本医師会は位置づけを引き下げても公費負担は残すべきと主張している。石戸氏は「早く見直したほうがいいだろう」と話す。

「日本で新型のインフルエンザが流行した場合、どうするのか。初めは封じ込めを目指すものの、それでも流行が広がったら、すべての病院、医療機関で診られる体制にするというのが基本的な考え方としてこれまでも示されていた。新型コロナもこのシナリオに準じていい。今まで『ワクチンや特効薬が無い』『治療法も確立されていない』と指摘されていたが、いまはそのどちらも整ってきている。これまでも多くの病院で診られる体制になるのは理想的だという声は、保健所を中心に上がっていた。それに応えて、診察をしてきた街のクリニックも少なくない。

 制度変更は社会に対する一番有効なメッセージだ。『季節性インフルエンザと同等にする』と発信するのは、会社や学校、社会的にもそのくらいの位置づけで対応してほしいというメッセージになる。(見直しができる環境は)十分に整っているのではないか」

週間感染者数で日本が世界最多に “5類”への引き下げは「早く見直したほうがいいが、それで“もう大丈夫”とはならない」
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 また、石戸氏は「5類にしても診ない病院が出てくるのではないか」「医療費の負担はどうなるのか」という懸念についても自身の考えを明かした。

「(診ない病院は)当然出てくるでしょう。例えばHIV感染症も5類感染症だが、HIV陽性の患者を『診察しない』という病院、クリニックは現実に残っている。5類に切り替わったから『もう、多くの病院で診察されるので大丈夫だ』とはならない。したがって、これまでインフルエンザを診察してきた病院、地域のクリニックに対して、政治から強いメッセージを発信していくことも重要になる」

「医療費の負担についてもいろいろなやり方がある。たとえば治療費は原則自己負担、ワクチンはしばらくの間公費負担ということもできる。治療費の考えもいろいろな方法がある。今後の医療政策は、いろいろなパターンの組み合わせのなかで、最適解を見つけていくフェーズになる」

(『ABEMAヒルズ』より)

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