「パンチをもらうことが恐怖」TKO負けの記憶を払拭する鮮烈KO! 力石政法が踏み出した世界タイトルへの“大きな一歩”
【映像】左アッパーで鮮烈KO
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 スーパーフェザー級期待の力石政法が6日、エディオンアリーナ大阪第1競技場の「3150FIGHT vol.4」でWBOアジアパシフィック同級王者の木村吉光に5回2分52秒KO勝ち。目標とする世界タイトル獲得に向け大きな一歩を踏み出した。

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 力石が「負けたら辞める覚悟」とまで気持ちを入れ、「死に物狂いで練習してきた」という節目の大一番でインパクトのある勝利を収めた。「無事に木村選手に勝つことができた。めちゃめちゃうれしい」。試合後は素直な気持ちがシンプルな言葉になった。

 世界を目指す上では絶対に避けて通れない相手だった。木村は力石より先に東洋太平洋王座を獲得し、木村が返上したあとに王座に就いたのが力石だった。その後、木村はWBOアジアパシフィック王者となった。力石がキャリア序盤に喫した唯一の黒星の相手である現日本王者の坂晃典にあっさりKO勝ちしているのも木村だ。世界ランキングも木村がWBO13位で、力石がWBC15位。「自分より少し先をいっている」というライバルを乗り越えずして、世界の二文字は口にできなかった。

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 負けられないという思いは木村も一緒だ。それゆえか、試合は互いに探り合う滑り出しで、パンチが少ないからこそ、スマートな力石の繰り出すシャープな左、強靱な肉体を持つ木村が打ち込む力強い右がうなるたびに緊張感が走る。それでも長身サウスポーの力石は木村にインサイドへの侵入を許さず、優位なスタートを切ったかに見えた。

 ところが2回、木村がフェイントから距離を詰め、左フックを打ち込むと、これが力石のテンプルに炸裂。「あれは効いた」と素直に認めた力石はピンチを迎えたが、ここは冷静に対処し、再びロングレンジから強打を打ち込む自分のスタイルを取り戻した。

 迎えた3回、力石が右フックから左ストレートのコンビネーションで木村をキャンバスに突き落とす。4回は巻き返そうと前に出る木村に右フックを浴びせ、2度目のダウンを奪った。フィニッシュは5回、力石が鋭く左アッパーを振り抜くと、木村はキャンバスに大の字に。勝利者インタビューでマイクを握った新王者は「我ながらブラボー」と劇的な結末を自画自賛した。

 兄は前WBCライトフライ級王者の矢吹正道。力石の夢は兄弟同時世界チャンピオンであり、「世界のベルトしか興味がない」が口グセだ。この日も難敵の木村に快勝して喜んだのは一瞬で、「世界タイトルを獲得する上で足りないものは何か」と問われると、表情を引き締めて次のように語った。

「練習通りにいけばいまの実力でも世界チャンピオンになれると思う。鋼のメンタルがあれば世界チャンピオンになれると思う」

 スーパーフェザー級では178㎝と長身で、パンチがあってスピードもある。反応だっていい。その潜在能力はだれもが認めるところだが、課題を上げるとすればボクシングがやや“安全運転”に見えてしまうところだろう。

 本人は素直に「パンチをもらうことが恐怖」と語った。その理由はデビュー3戦目で坂に喫した2回TKO負けの記憶だ。もう5年近く前の経験とはいえ、この試合がいまだに尾を引いている。その後、「自分はそんなに打たれ弱くない」と自覚し、「もっと思い切りやっていい」と自分に言い聞かせ、成長を続けた。この日の木村戦でも弱気な姿は見られなかった。ただし、世界を確実に取るためには“もうひと声”ということになる。

「想定していた木村選手と違って、見合ってしまった部分があった。もっとリラックスして先手、先手で攻めていかないとダメ。練習していることを出すためにも楽しんで試合がしたい」

 世界タイトルマッチのチャンスが訪れたら、木村戦よりさらに楽しんで、思い切ったボクシングをするつもりだ。世界への飽くなき情熱は、必ずや試練を乗り越える勇気に結びつくだろう。

©3150 FIGHT

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