「私は節税もせず、あえて日本に納税してきた…」世界で利益を上げる松井味噌代表の役員報酬は844万円が妥当なのか?
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 「日本中のお味噌屋さんが844万円よりも高い給料を得ることは無理だということだ」。そう憤るのは、自身と弟の「役員報酬」の額を巡って国税当局と法廷で争っている「松井味噌」(兵庫県・明石市)の松井健一社長だ。

【映像】新時代のビジネスと税制「役員報酬2億は不相当」国税の指摘に味噌会社が提訴

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 問題となっているのはグループ企業の1社、「京醍醐味噌」。味噌やカレー、ラーメンスープなどの開発を行い、生産は外部に委託しているため、社員数は0、役員は松井氏を含む2人のみ。商品の技術開発のみを行っているという点でアップルやナイキ、任天堂などと同じ「ファブレス企業」だという。

 ところが国税当局は同社を「卸売業者」とみなし、2013年~16年にかけて同社が2人に支払っていた計21億5000万円余りの役員報酬が不当に高額だと判断。“適正”とされる報酬上限を超えた部分を「経費」と認めず、3億8500万円を課税。同社はこれを不服とし、支払いの取り消しを求め提訴したのだ。

■「6億円を“控え目に“いただいたということ」

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 11日の『ABEMA Prime』に出演した松井社長は「ベトナムや中国の人がいきなり味噌を作るということはできないので、私たちが現場に入って技術を教え込んだ。そういう中で、“もっとこういうものを作れば面白い、もっと美味しいものができる。日本国内でも作れない、もっとレベルの高いものができるよね”と、8年間で600もの自社製品を作り上げた」「私が海外進出して以降、松井味噌は日本以外での生産・販売数としてはずっと世界一だと思う」と説明。子国税当局が「京醍醐味噌」の売り上げの半分から2倍の企業を10社選んで、その平均役員報酬と比較して、適正額を「844万円」と示したことに違和感を訴えた。

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 「私は年商を100倍くらいまで成長させた。同じ期間に2倍に成長させられたお味噌屋さんはないと思う。お国はそんな私でも844万円しか取っちゃいけないよと決めたわけだ。もちろん皆さんの中には1000万円、2000万円でも高額じゃないかという方もいらっしゃると思う。しかし京醍醐味噌は無借金というだけでなく、利益も上げている。私からすれば、そのごく一部である6億円を“控え目に“いただいたということだ」。

■「国税当局がビジネスモデルを理解できていない」

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 松井氏の代理人を務めるマリタックス法律事務所の山下清兵衛代表(弁護士・税理士)は「そもそも役員報酬額に適正な基準などあるはずがない。上場企業のトップの中には30億円、40億円と得ている方もいるし、ソフトバンクのニケシュ・アローラ氏は2年で約300億円の報酬を得ていたという。たくさんの利益を上げている小さな会社が留保せずに役員にたくさんの報酬を支払うのも自由なはずで、そこに法的な制限もない。本人が頑張れば天井はないというのが当然で、それが資本主義・自由主義国家の社会のあり方だ」と訴える。

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 「松井さんは美味しいものを作る天才だ。そしてアップルのようなファブレスを食品業界に持ち込み、海外の優秀な工場で他人に真似されないように作らせ、大量に売れるルートを確保して大成功された。国税当局がそのようなビジネスモデルを理解できていないという部分も大いにあるのではないかと思う。優秀な経営者、従業員にお金をちゃんと払わなければ日本は発展しないし岸田さんにもそういう政策を採ってもらいたい。この裁判にも勝たなければいけない」。

■「日本が少しずつ劣化しているような気がする」

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 「32年前に海外にも工場を作り、焼肉のタレやラーメンのスープ、カレーなど、日本食にまつわる調味料などを各国に輸出、和食を普及する仕事を頑張ってきた。“節税”する方法はいくらでもある。しかし私は海外に住み始めてからの32年間、節税もせず、あえて日本に納税してきた。そんなこと、他の人は絶対にしないと思う」と話し、引き続き日本に納税する意向を示している松井氏。

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 「日本が少しずつ劣化しているような気がする。今まではチャレンジしなくても食えていたが、ハングリーなベトナムや中国やタイで戦っている私たちからすると、これで日本が勝てるわけがないと感じている。その一つが、頑張った者に対する報酬だ。社員で見ても、ASEANや中国でも、一部は日本よりも給料が高い。“中国製は安いんでしょ”と思っている方もいるけれど、新しく、革新的なものをどんどん作り出している」と指摘。

 さらに「学生時代、落合博満選手が1億円の年俸をもらって“すごいな”と感動したのを覚えているが、私たち経営者も、一生懸命にビジネスプランを考えて、成果が出ればどんどん上を見ることができる。それが海外では普通だ。だからこそ中国でもベトナムでも、すごく頑張る。それが日本では“やってもやっても同じ”というのはちょっとさみしい」と話していた。(『ABEMA Prime』より)

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