完全に極まったヒールホールドにおよそ8分間も耐え抜いた選手。根性論では語れない“グニャリ”のホラーシーンに視聴者からは「直視できない」「足がブラブラしてる」と悲鳴のようなコメント続出。試合後には勝者も「20回は極めたはず。靭帯が逝った音がしたのに…」と困惑ぎみに試合を振り返った。
1月14日にタイで開催されたONE Championship「ONE FIGHT NIGHT 6」で行われたグラップリング戦。マイキー・ムスメシ(アメリカ)とガントゥムル・バヤンドゥレン(モンゴル)の試合は一方的に攻めたムスメシが判定勝ち。足が捻じれ、完全に極まった状態で耐え抜いたバヤンドゥレンの特異性に驚きと心配の声があがった。
ブラジリアン柔術の世界王者として鳴り物入りでONEに登場するなり、初のグラップリング王者となった若きムスメシに、モンゴルのサンボ王者が挑んだ試合は終始一方的な展開に。しかし、バヤンドゥレンの“足が壊れても”タップしない驚異的な耐性に注目が集まった。
開始と共に引き込んだムスメシは、相手をコントロールしながら開始1分でヒールホールド“マイキーロック”を完成させジワジワと捻って行く。この時点でヒザが逆方向に捻じれた“グニャリ”状態。ABEMA視聴者も「終わった」「折れたかも」「もうタップして」と“勝負あり”の声が多数を占めた。
しかし、バヤンドゥレンはもがきながら耐え続ける。ムスメシはフィニッシュしようとさらにギアを上げて締め上げる。あらぬ方向に曲がった足の大惨事に実況陣からも「ああ」と悲痛な声が漏れる。
この日、ABEAMでゲスト解説を務めた竹浦正起は「我慢強い選手ですけど、足が壊れてるんじゃないかというくらい危ない。もうタップした方がいい…」とコメント。この惨状に視聴者も「直視できない」「止めろ」「変な汗でる」「これ歩けないって」と悲鳴にも似た声が殺到した。
ムスメシは完全にフックして終わらせようとするが、それでも耐えるバヤンドゥレン。技が極まっているのにタップしない。終わらない状況に「嘘だろ? 止めてくれよ」とばかりにムスメシが驚いた様子でレフェリーにアピールする様子も。
こうなると解説陣も「どれだけ極めても極まらない」「特別な柔らかい靭帯の人?」と驚くばかり。そんな状況の中、8分間の足関節地獄から抜け出したバヤンドゥレンは、防戦一方ながら10分間を戦い抜いた。
さらに試合後すぐに立ち上がったバヤンドゥレンに、ムスメシも「ホワイ? なんでやねん?」と手を広げて困惑ぎみ。判定勝ちとなったが勝利者インタビューでも「20回は極めたと思ったんだけど…ブチブチと靭帯が逝った音がしたんだよ」と最後まで困惑気味だった。
バヤンドゥレンのタフさに解説の大沢ケンジも「痛みに強い選手権優勝ですね。治療費をあげて欲しい。勝ちたい覚悟を感じた」とコメント。グラップリングを主戦にする竹浦はタップしない姿勢について「長期的に見たらヒザが一生治らないケガになることもある。競技は長く続けることが大事なので…僕も色々な意味で勉強になりました」と勇気は称えつつも競技者として複雑な心境を明かしていた。