将棋の藤井聡太竜王(王位、叡王、王将、棋聖、20)が1月18日に行われた順位戦A級7回戦で豊島将之九段(32)に勝利した。この結果で、藤井竜王は6勝1敗と単独首位を堅守。A級初参戦での挑戦権獲得、さらに史上最年少名人獲得記録更新に向けて、また一歩近づいた。次戦、8回戦では永瀬拓矢王座(30)との対戦が予定されている。
藤井竜王が名人初挑戦に向けて、大勝負を制した。昨期の王位戦七番勝負など公式戦30局で対戦している好敵手・豊島九段と順位戦A級で初対戦。直近10局連続となる「角換わり」の戦型選択となった。後手の豊島九段は自身の研究に誘導するも、藤井竜王も想定内だったか即座に反応してペースを握った。
豊島九段は決め手を与えないよう絶妙なバランス感覚で対応したが、藤井竜王が鋭い踏み込みでリードを拡大。後手の根性の粘りは実らず、藤井竜王が正確にポイントを積み重ね着実に勝利を手にした。終局後には、「(玉上がりまでは)考えたことのある形で、手を渡す感じにはなりますが2筋の交換を含みにしてどうかなと思っていました」と深く広い研究範囲の一片を振り返っていた。
この結果、藤井竜王は7回戦終了時点で6勝1敗と単独首位を堅守。二番手の5勝2敗からは2期連続名人挑戦者の斎藤慎太郎八段(29)、昨期の竜王戦七番勝負緒戦者だった広瀬章人八段(36)、さらに藤井竜王に唯一の黒星を付けた菅井竜也八段(30)3人が追走している。藤井竜王は、「ここまで苦しい将棋もありましたが、結果としては良いペースで来られていると思います。首位と言っても僅差なので、あまりトップという意識もないです。あまり意識せずに次の対局にも臨めればなと思っています」とコメントした。
次戦の8回戦では、デビュー以来の研究パートナーで昨期の棋聖戦五番勝負で激突した永瀬王座との対戦が予定されており、引き続き気の休まる間は無い。それでもA級初参戦で挑戦権獲得、さらに名人位奪取となった場合は谷川浩司十七世名人が保持する21歳2カ月の史上最年少名人獲得記録を更新するとあり、期待は膨らむばかりだ。残りは2戦に向け、「1局1局が大事になってくると思うので、集中して臨めればなと思っています」と気を引き締めていた。
一方、敗れた豊島九段は4勝3敗と挑戦権争いからは一歩後退。「銀打ちで長考したがどう指せば良いかわからなくて、飛車を打たれて厳しくしてしまったかなと思います」と一局を振り返った。次戦は、来期B級1組への降級が決まっている佐藤康光九段(52)と対戦。「残り2局ありますが、挑戦はかなり厳しくなってしまいました。最近は毎年そういう感じになってしまうので、もうちょっと改善していけたらと思います」と話した。
(ABEMA/将棋チャンネルより)