1月22日の春節を控え、雪が降るなか多くの観光客が集まりお祭りのような賑わいの中国・西安の観光地。
ゼロコロナ政策を大幅緩和したこともあり、マスクを外して食事を楽しむ観光客の姿も多くみられる。
ただ、同じ西安でも、少し視点を変えると全く違う光景が広がっていた。
とある西安市内のビル。1階のテナントがすべて売り出し中になっていて、何も入っていないゴーストビルのようになっている。
廃墟のような雰囲気が漂う建物。近くの高層マンションでは業者と建築労働者の間で賃金不払いを巡って殴り合いになるトラブルも起きている。業者側に話を聞くと「今は(賃金を支払う)資金がない」という。
早朝5時。日雇いの労働者が集まる労働市場には仕事を求める人が溢れており、高齢者の姿も目立つ。新型コロナによる規制が緩和されたことで人が一斉に労働市場になだれ込み、競争が激化したという。
まさに光と影。ゼロコロナ政策の影響もあり、GDPの伸びは前年比で3.0%と、目標の5.5%前後から大きく下回り、さらに少子化という大きな不安材料も抱えている。現場を取材したANN中国総局 冨坂範明総局長に、ゼロコロナ政策後の中国経済と今後について聞いた。
「現状では、安い労働力で世界の工場として地位を築いてきた中国の経済モデルが成立しません。この構造を支えるために働いていた人は専門知識を身につけられずに取り残されて高齢化し、日雇いの労働者となっているケースもあります」(以下、全て冨坂氏)
人口は2021年末より85万人減少した。減少は61年ぶりだ。女性1人が生涯に産む子供の推計数を示す合計特殊出生率は現在1.15となっており、今後も減少傾向は続く見通し。
国家としては少子化にどのような対策をとっているのだろうか?
「習近平国家主席も事態を重く捉えており、『全面的で長期的で戦略的な問題である』と発言しています。補助金を増やし、育児休暇を長くするなどという方針を示していますが、補助金にも限りがあり地方政府も苦しい状況です」
一人っ子政策からの転換のタイミングも大きな影響を及ぼしたのであろう。
「子育ての不安、厳しい環境は変わっていません。習近平国家主席が言うニューノーマル、新時代という新しい発展の形はまだ見つけられていないのです」
(『ABEMAヒルズ』より)
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